日本マイクロソフトは9月11日、中堅中小企業の事業継続に向けた支援に関するプレスラウンドテーブルを開催した。同社の施策については、執行役員 コーポレートソリューション事業本部長を務める三上智子氏が説明を行った。
三上氏は、同社の顧客に行ったヒアリングの結果から、中小企業におけるリモートワークの実施状況を以下のように説明した。
「緊急事態宣言期間が終わったら、徐々にリモートワークを実施する企業は減っていったが、再び、新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、増えている。こうした中、リモートワークが減ったといっても、下げ止まりは50%程度であり、中小企業でもリモートワークが定着しつつある」
三上氏は、リモートワークの拡大や導入の妨げとなる要因のトップ5として、「通信環境」「紙ベースの業務フロー」「セキュリティリスク」「就業規則」「対面でのコミュニケーションが必須」を挙げた。
リモートワークを一斉に導入したことで、ネットワークの容量が不足して遅延や遮断が発生するといった問題が生じ、ネットワークを増強している企業も少なくないだろう。また、これまで日本では紙の請求書が一般的であり、押印が必要となるが、その作業のために経理スタッフは出社を余儀なくされることになり、社内でリモートワークができる人とできない人が出るという不平等な状況も生まれている。
こうしたリモートワーク拡大・導入の障壁に対し、マイクロソフトは、3つの新機軸に基づき、対策を提供していく。3つの新機軸とは、「Remote Everything」「Automate Everywhere」「Simulate Anything」だ。つまり、「より多くのビジネス領域をリモートに変え、 いまの社会を乗り越えていく」「ビジネスプロセスの自動化で、 さらに効率的で迅速な意思決定を実現する」「データを用いた予測によって、「いま」と 「これから」の進むべき方向を示す」といったことを実現していく。
この3つの新機軸について、三上氏は「これらはあらゆる規模、業種の企業にとって共通のテーマとも言える」と語った。
例えば、「通信環境」については、「VPNに依存しない通信環境」と「外線電話からのオンライン会議参加」を提供する。前述したように、全社で一斉にリモートワークに移行したことで、VPNがパンクした企業が続出しており、そうした企業への支援策となる。
また、リモートワークの実施によって、従来の就業規則では対応しきれないという問題も生じている。そうした企業に向けては、リモートワークの状況を把握できるツールやテンプレートを提供する。
そして、三上氏はリモートワークのコミュニケーションツールとして、多くの企業で利用されている「Microsoft Teams」の新機能を紹介した。その1つが「Togetherモード」だ。通常、Microsoft Teamsにおいて会議の参加者はグリッド表示されるが、Togetherモードでは参加者の上半身を抽出し、並んで椅子に座っているような状況で表示される。これは、ビデオ会議で感じやすい「疲れ」を防止することを狙った機能で、参加者が一堂に会するような感覚を持つことで、リラックスして会議に臨むことを実現するという。
また、Web会議は対面の会議に比べて参加者の反応が確認しづらいという課題があるが、それを解決するのが「ライブリアクション」だ。TeamsはSNSと同様に、会議の参加者の発言に対し、ハートマークや「いいね」を付与することができるが、ライブリアクションによって会議中に参加者が付与したマークがリアルタイムで表示されるようになる。
さらに、三上氏は中小企業のリモートワークを推進するための施策として、「リモートワーク スターター プラン」を紹介した。これは、PCプレインストール版およびオンプレミス版 Officeを利用している従業員数50名以下の企業に対し提供する、Microsoft TeamsとOneDriveを提供するオプションサービスだ。参考価格は1ユーザー当たり月額399円となっている。
三上氏は、「リモートワーク スターター プランは日本独自のプラン。Web会議をすぐにでもスタートしたいという中長期業のニーズに応えるもの」と語っていた。