「齟齬」という言葉の意味や由来、類語や対義語について解説していきます。

齟齬とは? 読み方と意味

  • 齟齬とは

    齟齬とは

齟齬の読み方

齟齬は「そご」と読みます。どちらも見慣れない漢字なので、読めないという人も多いでしょう。また、後述の「相違」と混ざってしまい、「そうご」と間違って覚えてしまう人もいるようです。この機会に正しい読み方を覚えておきましょう。

齟齬の意味

齟齬とは、意見の食い違いや、つじつまが合わないことを意味します。

齟齬の「齟」とは、ちぐはぐな様子を指しています。「齬」とは、食い違うという意味を持っており、類似している二文字が一つの単語になっています。

辞書では下記のように解説されています。

・いわゆる「食い違い」の意味で用いられる漢語表現。互いの見解や行動にずれが生じ、上手くかみ合わないさま、または、そうしたずれによって事が円満に進まなくなっているさまなどを意味する語 (Weblio辞書)
・物事がうまくかみ合わないこと。食い違うこと。ゆきちがい。(goo辞書)

齟齬と相違の違い

  • 「齟齬」と「相違」の違い

    齟齬と相違の違い

齟齬の類語に相違という言葉があります。

どちらかというと相違の方が馴染みのある言葉かと思われますが、どのような意味の違いがあるのでしょうか?

相違の意味

相違とは、二つのものがまったく異なっている様子を表しています。

例えば、飲食店でアイスコーヒーを頼んだにも関わらずアイスティーが運ばれてきた場合「注文内容に相違がある」と言えるでしょう。

齟齬を使うシーン

齟齬という言葉を使う場合、両者の間で認識をすり合わせていたという前提が必要になります。

例えば、話した内容について後日改めて確認を取った際に、自分の認識とは異なる内容の回答が来た場合、「齟齬が生じている」と言えるでしょう。

相違を使うシーン

相違という言葉は、とある状況の中で間違いや矛盾が生じている場合に使用されますが、齟齬とは異なり、当事者間での間で事前の認識すり合わせがないことが最大の違いです。

例えば、ネット通販などで。注文した商品と実際に届いた商品が違う場合、「相違がある」と言えます。

齟齬の使い方と例文

齟齬という言葉は名詞ですので、「齟齬がある」「齟齬が生じる」「齟齬が大きい」などといった使われ方をします。

齟齬という言葉を「食い違い」と置き換えれば理解がしやすいと思います。

齟齬を使った例文

例1)彼との間で認識の齟齬が生じている。

例2)話した内容と資料の内容に齟齬がある。

例3)お互いの意見に齟齬が生じている。

齟齬を使う際の注意点

  • 「齟齬」を使う際の注意点

    齟齬を使う際の注意点

齟齬を使う際の注意点についてご紹介します。

目上の人には使わない方がベター

齟齬という言葉には、互いの衝突や意見が食い違いといったニュアンスが含まれているため、使い方によっては相手に不快感を与えることがあります。

齟齬は、一見汎用性の高い言葉に感じますが、取引先や上司に対し「齟齬が生じています」という使い方をした場合、一方的に自身の正当性を主張することになりかねません。

例えば、自分自身の勘違いにより生じたミスに対し、「認識の齟齬があった」などと表現することは避けましょう。そうした場合には、「勘違いしていた」「認識が甘かった」などと、素直に謝罪することが好ましいです。

自身に落ち度がある場合は使用しない

前述の通り、齟齬とは意見や主張の食い違いのことです。 自分の主張や認識が正しいということが前提になるため、自身に落ち度がある場合には齟齬という言葉は使わないように気をつけておきましょう。

ビジネスでよくある齟齬の誤用

齟齬を使わない方がいいときはどのような場合なのか、わかりやすい例で紹介します。不要なトラブルを避けるためにも確認しておきましょう。

<状況>
取引先から今日中に納品してほしいと言われていた製品がまだ届いていないと連絡があった。あらためて当該メールを確認したところ、自分が日付を勘違いしていたことが原因で、まだ出荷できていないことがわかった。

【誤った言い方】
ご迷惑おかけし申し訳ございません。確認したところ、納品日の認識に齟齬があり、まだ出荷できていないことがわかりました。至急手配させていただきます。

【正しい言い方】
ご迷惑おかけし申し訳ございません。確認したところ、当方の手違いにより、まだ出荷できていないことがわかりました。至急手配いたしますので、明日の午前中にはお届けできるかと思います。

自身の勘違いが原因の場合は、上記のように、こちらの手違いであるということを素直に伝えた上で謝罪しましょう。また、今から手配した場合はいつになるのかという点も伝えられるとベターです。

齟齬の類語・言い換え表現

  • 齟齬の類語と対義語

    齟齬の類語と対義語

軋轢

軋轢は「あつれき」と読みます。二者間でのすれ違いという意味では共通していますが、使われる状況が大きく違います。

軋轢とは、二者間にすれ違いが生じ「仲が悪くなること」や「関係性の悪化」というニュアンスが含まれています。 対して齟齬とは、意見の食い違いになるため、両者間での関係性の変化が含まれるかどうかが異なります。

例)彼女の発言によって二人の間に軋轢が生じる。

不一致

不一致は齟齬と近い意味を持っています。 「不一致がある」という使われ方をしますが、意味としては基準となる数値や要求に対して過少・過多や違いが生じている状態のことを指します。

例)二人の間で意見の不一致がある。

行き違い

行き違いとは、お互いがもつ認識の違いから予定どおりにいかないことや調和が乱れることを指します。

例)お互いの認識に行き違いが生じていた。

齟齬の対義語

合致

合致は複数のものがぴったりと合うことや、物事の論理に整合性が取れていることを指す、齟齬の対義語です。

例)二人の意見が合致する。

符合

符合は合致と比べ、日常に浸透している言葉ではありませんが、同じ意味を持ちます。 合致が口語であるのに対し、符合は文章語になります。

例)彼の話していた内容は事実と符合する。

齟齬の意味や使い方をマスターしよう

  • 齟齬の意味・使い方とは

    齟齬の意味や使い方を知ってビジネスシーンで活かしましょう

齟齬という言葉は、食い違いが生じている状態表す名詞です。

ネガティブな状況下で使われることが多い言葉であるため、表現には注意を払いましょう。