「銀翼のイカロス」編に突入したTBS系日曜劇場『半沢直樹』(毎週日曜21:00~)。第5話では、一枚岩ではなかった帝国航空の役員・社員一同を、半沢直樹(堺雅人)の信じる“正義”によってまとめあげたものの、きょう23日放送の第6話では、国土交通大臣・白井亜希子議員(江口のりこ)が掲げる私設の再生検討チーム・タスクフォースのリーダー・乃原正太(筒井道隆)、さらに金融庁の黒崎駿一(片岡愛之助)ら難敵が、半沢の前に立ちはだかる――。
「日本の空輸を支えてきた」というプライドを持つ帝国航空の役員および社員たち。半沢は2週間にわたる調査の結果「ここは腐っていない」と強い思いで再建に挑む決意を固める。
しかし、一方で白井議員は、取引銀行に対して「帝国航空の持つ債権の7割を放棄すること」という案を打ち出す。東京中央銀行にとって7割の債権放棄というのは、500億円の損失を意味する。
帝国航空のメインバンクではないという立場ながら、なんとか国に頼らない再建案を模索する半沢。第5話では、帝国航空のメインバンクである開発投資銀行の担当である谷川幸代(西田尚美)に話を持ち掛けたものの、政府系銀行という立場から、谷川は「政府に任せるべき」と一蹴してしまう。
■「トーシロ(素人)が」“乃原”筒井道隆が新境地の演技
途中、『半沢直樹』お約束の内部裏切りなどがあったものの、なんとか帝国航空の役員、社員たちの信用を得た半沢。ここから巨大な敵・政府との激しい戦いを予感させたが、最初に半沢の前に立ちはだかったのが、タスクフォースのリーダー・乃原。公式HPには「大手企業の再建で数々の実績を上げてきた有名弁護士」と紹介されているが、初対面から半沢が名刺を差し出しても、ソファーにふんぞり返ったまま受け取ると、そのまま名刺ケースに投げ捨てる。さらに「お前」呼ばわりすると、陰でこそこそと独自再建案に向けて動いていることを叱責し「トーシロ(素人)が」とにらみを利かせる、かなりのヒール役だ。
演じるのは筒井。1990年に映画『バタアシ金魚』で俳優デビューを飾ると、90年代前半はドラマ『あすなろ白書』(1993年)や『君といた夏』(1994年)などで主演を務め、心優しき素朴な好青年役で評価を得る。その後、三谷幸喜が手掛けたドラマ『王様のレストラン』(1995年)や『総理と呼ばないで』(1997年)でコミカルな一面を見せ役柄の幅を広げていくが、どちらかというと、ヒールなイメージよりは、やや気弱な善人が良く似合う俳優だ。
一方で、『ゴンゾウ 伝説の刑事』(2008年)では、警視庁捜査一課の癖のある刑事・佐久間静一や、WOWOWドラマ『罪人の嘘』(2014年)でのハードな刑事役、『歪んだ波紋』(2019年)では手段を選ばないフリージャーナリスト・桐野弘役など、乃原に通じるようなキャラクターもしっかりと演じてきている。
瞬発力系というよりは、じっくりと見せる俳優。大和田暁役の香川照之や、ロスジェネの逆襲編で大立ち回りを演じた伊佐山泰二役の市川猿之助のようなネットリとした芝居ではないが、半沢との対決には注目が集まる。
■「直樹」呼びに大反響! 黒崎と半沢の関係性の変化に注目
また、6話の予告編に登場した金融庁の黒崎の再登場も『半沢直樹』ファンは胸が躍ったのではないだろうか。本作の制作発表会見で、愛之助は「オネエに磨きをかけて頑張っています」と語っていたが、その言葉通りさらにパワーアップしている。
最新シリーズでは、第3話に「金融庁証券取引等監視委員会統括捜査官」として半沢が出向している東京セントラル証券にやってくると、「二流の証券はいやーね! 天井は低いしオフィスはせこい」と“オネエ黒崎”全開で登場。そこからは、東京セントラル証券が、IT企業フォックスの経営情報を漏洩した証拠を探すためにやりたい放題。途中、思い通りに成果を上げない部下に対して「あんた男でしょ!」と得意の股間掴みを見せるなど、ファンにはたまらない展開が続いた。
前作では「半沢」と呼んでいた黒崎だったが、今回は「直樹」と声をかけるとニヤリ。このいきなりの距離の詰め方に「黒崎さんと半沢の間に何があった?」「愛に溢れすぎ!」とSNS上は大反響。今回もお約束通り、半沢にしてやられた黒崎だったが、その表情はどこか嬉しそう。「直樹」呼びで関係性が変わった半沢VS黒崎は『半沢直樹』の大きな見どころである。
第6話では半沢とどんなバトルを繰り広げてくれるのか、はたまた味方になるのか……。パワーアップしたオネエ黒崎は、大和田と同じく、このドラマには欠かせないキャラクターだ。
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