新型コロナウイルスの影響で落ち込む観光需要を回復させるため、4連休を前にした7月22日から「Go To トラベルキャンペーン」が始まります。これは、国内旅行を対象に、「旅行代金の2分の1」もしくは「一人1泊につき2万円」のいずれか安いほうの額が補助されるキャンペーンです。
連泊や利用回数に制限はなく、お得に旅行へ行けるとあり注目を集めていますが、一方で、感染が拡大する状況下では、その活用法に悩むところです。Go To トラベルキャンペーンの概要や、最新情報による注意点などをまとめました。
旅行代金が割引になるGo Toトラベルキャンペーン
■概要
Go To トラベルキャンペーンは、新型コロナウイルスの影響を受けた地域における需要喚起と再活性化を目指す「Go To キャンペーン事業」の第1弾であり、国内旅行を対象に「宿泊・日帰り旅行代金の2分の1」または「一人1泊2万円」のうち少ない額が支援されます。支援額のうち、7割(旅行代金全体の35%)は旅行代金の割引に、3割(旅行代金全体の15%)は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与されます。なお、一人1泊あたり2万円が補助額の上限ですが、日帰り旅行の場合は1万円が上限となります。泊数や利用回数に制限はありません。
Go To トラベルキャンペーンの対象となるのは、旅行会社が販売する旅行商品(交通機関+宿泊のフリープラン、団体ツアーなど)や、ホテルや旅館などの宿泊施設が直販予約システムで販売する宿泊プラン等です。日帰り旅行の場合、バスツアーなどの「往復の移動費+現地での消費(温泉など)がセットになったプラン」が対象です。個人で手配する航空券や列車など「座席のみ」と見なされる交通機関は補助の対象外ですが、クルーズ船や夜行フェリー、寝台列車等の「宿泊に準ずる」移動手段は対象となります。また、Go To トラベルキャンペーンの対象外でも、独自で割引キャンペーンを実施する交通機関もあります。
■期間
Go To トラベルキャンペーンの期間は、令和2年7月22日~2021年(終了日未定)です。海の日を含む4連休前日の7月22日以降に開始する旅行代金の割引が、先行的にスタートします。地域共通クーポンが使えるのは9月以降となるため、それまでは旅行代金の割引のみ実施されます。この場合、支援額は一人1泊あたり1万4,000円、日帰り旅行については7,000円が上限となります。
7月22日以降の旅行をすでに予約している場合は、7月22日~8月31の宿泊分については、旅行後の申請により割引分が還付されます(9月1日以降は未定)。7月27日以降、旅行業者や予約サイト、宿の直販予約システム等のうち準備が整った事業者から、割引価格での旅行の販売が行われます。
■申し込み方法
Go To トラベルキャンペーンは、本キャンペーンに参加している旅行会社や宿泊予約サイト、宿泊施設に申し込むことで利用できます。7月22日以降の旅行をすでに予約している場合、旅行後に割引分の還付を申請することで支援額が受け取れます。申請は、旅行者から事務局へ以下の書類を郵送またはオンラインで提出します(宿泊の場合)。
・申請書(様式は事務局ホームページ※・宿泊施設等で入手)
・領収書の原本
・宿泊証明書(宿泊時に宿泊施設から入手)
・個人情報同意書(様式は事務局ホームページ・宿泊施設等で入手)
※事務局ホームページは今後公開予定
事務局で書類を確認後、旅行者に口座振込やクレジットカード振込等で還付されます。自分で還付申請をする手間や割引される範囲を考えると、始めから割引価格で販売されている旅行等を購入し、さらに、地域共通クーポンが付与される9月以降に旅するのがお得と言えるでしょう。
いくら安くなるのか
では、Go To トラベルキャンペーンを利用すると、旅行がどのくらい安くなるのでしょうか。一人で2泊3日10万円の旅行をしたケースで考えてみます。まず、旅行代金の2分の1は5万円ですが、一人1泊あたりの上限2万円×2泊と比較し、より安い金額である4万円の補助が受けられることになります。そのうち、旅行代金の割引は7割にあたる2万8,000円、地域共通クーポンによる割引は3割にあたる1万2,000円です。ただし、地域共通クーポンの付与が始まるまでは、旅行代金の割引2万8,000円のみの補助となります。
注意点は?
東京都で新型コロナウイルスの感染者が増加している状況を鑑み、政府はGo To トラベルキャンペーンの運用を見直し、本キャンペーンから東京都を対象外とする方針が決定しました。そのため、東京都を目的とする旅行や、東京都に居住する人の旅行はキャンペーンの対象から除外されています。なお、東京除外となったことで発生するキャンセルについては、政府が補償する方向で調整を進めています。ただし、詳細は今後変更となる可能性があります。
お得なクーポンや自治体独自の取り組みも
旅行代金の3割(旅行代金全体の15%)が割引となる地域共通クーポンは、9月以降に付与される予定で、旅行先の都道府県または隣接する都道府県において、旅行期間中に限って使用できます。紙媒体の商品券または、電子媒体のクーポンが想定されています。地域共通クーポンが使えるのは、地域共通クーポンに加盟している旅行先の土産物店や飲食店、観光施設、アクティビティ、交通機関などです。
なお、Go To トラベルキャンペーンに先駆け、独自支援を行っている自治体もあります。たとえば、福岡県は、九州在住者のレンタカー料金を条件付きで割引に、富山県は、県民を対象として、富山地方鉄道などの1日乗車券を半額にしています。この他にも自治体によって様々な取り組みが行われていますが、感染拡大防止と両立するため、当面は対象を地元住民に絞った支援が多いようです。
キャンペーンを活用するなら感染防止に配慮を
Go To トラベルキャンペーンは、平時なら何度でも利用したい非常にお得なキャンペーンです。しかし、首都圏を中心に感染者が急増している状況では、その使い方には充分気を付けたいものです。キャンペーンの対象から東京都が除外されましたが、感染者の多い地域では活用を控えるのも一つの選択でしょう。
また、旅行をするなら遠方への移動はせず近場で消費するといった配慮も必要です。なお、Go To トラベルキャンペーンについては、感染状況等によって詳細が変更となる可能性があります。利用する際は、最新情報を確認の上で旅行に申し込みましょう。