車に乗っていると様々な税金がかかりますが、その中に「自動車税(種別割)」というものがあります。これは、令和元年10月1日の税制改正により「自動車税」から名称が変更されたもので、車の所有者に課される財産税の一種です。では、この自動車税(種別割)とは、具体的にはどのような税金なのでしょうか。

本稿では、自動車税(種別割)の内容や納税通知書が届く時期、支払い方法、また、新型コロナウイルスによる納税の猶予措置などについてまとめてみました。

  • 自動車税(種別割)を解説

自動車にかかる税金の種類は

まず、車にかかる税金には「自動車税(種別割)」のほかに、どのようなものがあるのか確認してみましょう。主なものとしては、「自動車重量税」「環境性能割」などの税金です。

自動車重量税は、車の新規登録時や車検時に納めるもので、車の重量に比例してかかる税金です。普通車の場合、車の重量が0.5トン増すごとに税額が高くなります。一方、軽自動車の場合、重量には関係なく税額は定額です。

なお、新車の新規登録から13年以上経過すると税額が高くなり、18年以上経過でさらに税額が上がります。また、環境性能に優れたエコカーについては優遇措置があり、2021年4月30日までに新車登録を行った場合、燃費基準の達成度合により大幅な減税が受けられます。

環境性能割は、「自動車取得税」が廃止された代わりに、自動車税(種別割)と同じく令和元年10月1日から導入された税金です。これは、車の取得時にかかるもので、燃費性能等に応じて税率が決まり、新車と中古車で税率に違いはありません。また、令和元年10月1日から令和3年3月31日までに自家用乗用車を取得した場合、環境性能割の1%が減税される「環境性能割の臨時的軽減」が適用されます。

そのほかにも、車を走らせる燃料として使うガソリンや軽油(ディーゼル車の場合)を購入する際にも、ガソリン税や軽油取引税といった税金がかかっています。また、大型特殊自動車には、固定資産税が課税されています。

自動車税(種別割)の支払いはいつ?

自動車税(種別割)とは

昨年の10月より、自動車税は「自動車税(種別割)」に、軽自動車税は「軽自動車税(種別割)」に名称が変更となりました。自動車税(種別割)は普通車やトラックにかかる税金で、軽自動車税(種別割)は軽自動車や二輪の小型軽自動車にかかる税金です。

税金には、国に納める国税と地方自治体に納める地方税がありますが、自動車税(種別割)は地方税のひとつであり、そのうち自動車税(種別割)は都道府県税、軽自動車税(種別割)は市町村税に区分されます。

自動車税(種別割)の税率は自動車の総排気量によって決まり、総排気量が多いほど税率は高くなります。また、令和元年10月1日に名称が変わっただけではなく、それ以後に初回新規登録される自家用乗用車(登録車)について、税率が恒久的に引き下げられています。たとえば、総排気量が1,000ccまでの自動車の税率は、現行では29,500円でした。それに対し、令和元年10月1日以後に初回新規登録を受けた自動車の税率は、25,000円です。

この新制度は、同日に施行された消費増税に合わせたものであり、特に、排気量が小さい車の税率が大きく引き下げられています。また、全排気量で減税が行われておりますが、これは自動車税の制度が始まって以来、初めてのこととなります。なお、令和元年9月30日以前に登録を受けた車は現行の税率が適用されます。

納税通知書が届く時期と支払い方法

自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点での車検上の所有者に必ず課せられる税金です。毎年5月初旬に「納税通知書」が届き、5月31日(または6月1日)までに納税する必要がありますが、一部では6月30日が納期限となっている自治体もあるようです。

自動車税(種別割)を支払う方法は様々あり、銀行の窓口やコンビニ払いのほか、Pay-easyなどでも支払いが可能です。注意したいのは、期限を過ぎるとコンビニ払いができなくなり、納期限の翌日から1カ月以内は2.6%、それ以降は8.9%の延滞金が発生する点です。また、自動車税(種別割)を納めていないと、車検が受けられませんので気を付けましょう。

新型コロナウイルスによる納税の猶予措置

自動車税(種別割)の納期限を過ぎると督促状が届きますが、それを無視していると催告状が届きます。さらに、それでも納税を行わない場合、差し押さえ通知書が届き財産や給与を差し押さえられることもあります。

このように、自動車税(種別割)は取り立ての厳しい部類の税金ですが、今年は、新型コロナウイルスの影響を受け、減収や失業などによって納税が難しい人が多くいるとみられています。そのため自治体によっては、納税に一定の猶予が設けられ、その間の延滞金も発生しないといった措置が講じられていることもあります。

今年は様々な税金やそれに関わる申請等に特別な対応がとられていますので、自動車税(種別割)の納税が困難である場合は、お住まいの自治体のホームページを確認したり、問い合わせてみたりしましょう。

納期限を守りしっかり納税を

今年の自動車税(種別割)の納期限はすでに過ぎてしまっていますが、もしまだ納税が済んでいない場合は、速やかに納付を行いましょう。一方で、コロナ禍による経済や家計への打撃は、想像以上に大きくなっています。

自動車税(種別割)の税率は、車によってはそれなりの金額ですので、収入減や休業、失業などにより納税が難しい場合は、猶予措置などが取られていないか確認のうえ、自治体の担当に相談してみましょう。