東京駅からわずか1時間半。森でくつろぎ、遊べるグランピングエリア「グランヴォー スパ ヴィレッジ」がオープンした。雑木林という「ちょうどいい自然」の中で、アメニティの充実したテントやコテージに宿泊し、アウトライフを満喫できるリゾート施設である。

もともとは本年4月1日の開業だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、臨時休業をしていた。その期間も「泊まりたい」という電話が殺到していたという。

  • 東京駅から1時間半で着く「グランヴォー スパ ヴィレッジ」

都心に近いグランピングで過ごす

都心からほど近い場所にありながら、人の少ない自然を優雅に過ごせるグランピングは、これからの時代にぴったりだ。ふつうのアウトドア・キャンプのように、道具をそろえて運んで組み立てて、それでいて地面が固くて寝苦しい思いをするような不便を感じずにすむ。

  • アメニティが充実したテント内

  • 広さ4万3,000平方メートルのグランピング・リゾート

広さ4万3,000平方メートルの敷地には、カップルや友人同士、子ども連れで宿泊可能なテントキャビンが8張。屋外でBBQもできるテラスハウスが29室。立派なキッチンがあり、長期滞在も可能な「グランテラス」が11室。このゆとりある空間なら、たとえハイシーズンであっても、人で窮屈な思いをすることはない。

  • 長期滞在も可能な「グランテラス」

  • グランテラスのキッチン

この森にチェックインすると、好きなハーブの苗をひとつもらえる。料理に添えてもいいし、摘み立てのままハーブティにしたっていい。間近に広がる森が風にそよぎ、ティーカップからほのかな香りが漂ってくる。まさに、五感で自然を味わえる趣向だ。春にはシモクレンの花、初夏にはナツツバキの花、秋には紅いモミジが揺れている。

  • 好きなハーブを選べる

スイスと関係が深いのも特徴

滞在期間中、芝生の上のモーニングヨガで身体と心をほぐすのも、木漏れ日の下での読書も、ハンモックでのお昼寝も、なんならデッキガーデンでのテレワークだって、思いのまま。行き来する通路には、鳥やタヌキが横切ったかのような足跡がデザインされている。それを見つけるのも、歩く楽しみの一つだ。

森の中にはプール「ラク・レマン」が併設されており、昼でも夜でも、夏のアクティビティを楽しめる。プールがスプーンみたいに変わったかたちをしているのは、スイスの同名の湖を模しているから。

  • プール「ラク・レマン」

「グランヴォー スパ ヴィレッジ」は、千葉県の長柄町に位置する。半世紀前、昭和天皇がスイスを訪れたことをきっかけに、長柄町とグランヴォー村は交流をはじめ、姉妹提携に至った。敷地内の和食レストラン「翠州亭」は、かつてスイス大使館として利用されていたヒノキ造りの家屋を移築したもので、国の登録有形文化財にもなっている。

  • かつてはスイス大使館として利用されていた和食レストラン「翠州亭」

軽食がとれるグランヴォーカフェは、スイスのシャレー(山小屋)風の木造建築であり、Barもみじに並ぶのはスイスワインの数々。オープン記念式典には、スイス大使館の駐日スイス特命全権大使であるジャン=フランソワ・パロ氏がおとずれ、「まるで故郷にいるようだ」と語った。

宿泊者限定の温泉施設

スイスは古代ローマの時代から温泉の歴史を持つ。当然、スイスと日本の文化が融合するこのグランピング・リゾートにも温泉があり、露天風呂がある。宿泊客のみ利用できる温浴施設「紅葉乃湯」は、炭酸水素ナトリウムを豊富に含んだ黒褐色の弱アルカリ性鉱泉だ。古くなった角質や皮脂汚れを溶かし、ツルツルにするため、「美肌の湯」と呼ばれる泉質である。

  • 温浴施設「紅葉乃湯」は宿泊客のみ利用可能

  • 黒褐色の弱アルカリ性鉱泉が特徴

この森には、フォレストアドベンチャー・乗馬・リリパットゴルフ・テニスコート・アーチェリー場・ジョギングコースなど、豊富なアクティビティ施設が揃っている。たっぷり遊んだあとは、ゆったり温泉で身体を癒やせるわけだ。

グランヴォー スパ ヴィレッジでは、新型コロナウイルス感染予防として、消毒・換気の徹底はもちろん、サーモカメラによる検温や、AIコンシェルジュを活用した極力話さない案内などに取り組んでいる。

自粛期間中、散歩で住む街の隠れたスポットを見つけ出せたように、今、いつもは目が向かない東京近郊の魅力が再発見されている。こうした近場リゾートは、新しい楽しみの一つとなるだろう。