大型リニューアルの目玉はクラゲ
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月3日から臨時休館していたサンシャイン水族館。6月8日から営業を再開し、2020年4月に公開予定だった新展示エリア「海月空感」を7月9日より公開することになった。
展示エリアに入ると、ワイドな水槽「クラゲパノラマ」がお出迎え。
大きな水槽の中を透明なミズクラゲがふわふわと漂う。展示されているミズクラゲはおよそ1,500匹。水槽内に複雑な水流を作ることで、水の流れに身を委ねてゆったりとした動きを見せてくれる。水槽のヘリ部分には鏡面加工がなされ、その奥行き感のためか、クラゲに包み込まれるような感覚が生まれる。
控えめな照明と穏やかな音楽が流れる中、水槽を眺められるソファーに腰を下ろしてゆっくり過ごせる。
照明では水中のゆらぎを表現され、音楽はこの展示エリアのために制作されたオリジナルサウンド。これら視覚と聴覚だけでなく、嗅覚による癒やし効果向上のため、オリジナルアロマも取り入れている。
メインの水槽の他は、触手の長いシーネットルの仲間のクラゲを展示する「クラゲスクリーン」が誕生。
従来のクラゲ展示もパワーアップ
新水槽の他、これまでのクラゲ展示エリアもリニューアル。ぐるり360度の視界全方位をクラゲに囲まれる「クラゲトンネル」をくぐるのも楽しく、SNS投稿も盛り上がりそう。その他、「クラゲルーペ」や「クラゲドロップ」、「夢幻海月(むげんくらげ)」などといったユニークな水槽としてパワーアップした。
「クラゲは世界に3,000種以上もいるといわれ、クラゲを表す漢字も海月・水母・久羅下・水月・海月魚・海象・鏡虫・久良介などと、多様性そのものです。ゆったり漂う様子や、傘の部分が脈打つように動く様子など、生態も魅力に満ちています。生き物好きの方はもちろんのこと、非日常やリラックスを求める方に体験いただきたいです」とのこと。
ストレス解消にもクラゲが効く!?
サンシャイン水族館で、精神科医・産業医の奥田弘美氏にインタビューを行ったところ、「ストレス解消には毎日6時間以上の睡眠と、バランスの良い食事に加え、『何も考えずにリラックスする時間を取り入れる』のがお勧めで、ふわふわと漂うクラゲをぼーっと見ることは効果的」という回答があったそうだ。
確かに、最近は新型コロナウイルスの脅威もあり、強いストレスを感じている人は少なくないだろう。クラゲを見ることで心身の緊張状態を解きほぐしてみてはいかがだろう。
関東ではここでしか見られないゾウギンザメにも注目
サンシャイン水族館といえば、コツメカワウソやバイカルアザラシなどの海獣類に目が行きがちだが、魚類の展示が堅実で実に渋い。今見るべきは、ゾウギンザメ。国内ではここと大阪の海遊館以外では飼育していない貴重な生物で、生態や繁殖方法について謎が多い。
ゾウギンザメの飼育展示は2019年3月からスタートし、2020年1月27日に日本で初めての孵化に成功している。6月8日から、館内1階「冷たい海」水槽にて展示中。孵化に8ケ月もかかるのもミステリアスだし、ゾウのような長い鼻も不思議。
ワシントン大学医学部では「ゲノム進化速度が極めて遅く、シーラカンスよりも進化速度が遅いということになる」という研究結果を得ている。
親は優雅に泳ぐが、幼魚はもがくように必死で泳いでいるようでかわいらしい。クラゲとはまた違った魅力があるので、まさに必見だ。
なお、サンシャイン水族館は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため入場制限がある。詳細は公式サイトで確認してほしい。