そして、いよいよ迎えた本番収録。関係者でのテストがうまくいったとは言え、ほとんどが一般参加者の中、予想外のハプニングが次々に発生したという。
「突然、画面から1人、2人とブロッカーが消えてしまうんです。1つの壁の25人が一気に全部消えてしまうこともありました(笑)。また、スタジオと話す解答者には自分でミュート解除してもらうんですが、それを忘れてしまう人が二朗さんとの会話がチグハグになったりもしましたね」と振り返るが、「逆にそういうハプニングが、収録を面白くしてくれました」とスタジオを盛り上げた。
『99人の壁』と言えば、“壁”の人たちのガヤと佐藤とのやり取りも面白さの1つだが、基本はミュート参加のため、そうしたシーンは見られない。
そこで、事前に佐藤に伝えたいメッセージを紙に書き、画面に見せてアピールするという手法を採用。「二朗さん映画観ました!」という東大生に佐藤が反応し、「何の映画を観てくれたんですか?」と聞くと、『スマホを落としただけなのに』と答え、佐藤が「それ俺出てないな!」と即ツッコミを入れる場面もあった。
2択クイズの解答も、思い思いの字で紙に「A」「B」と書いて見せる方式となっており、こうしたアナログなやり取りと、最新の技術が組み合わさった番組作りも面白い。
■理論上は“1,000人の壁”も可能
今回の収録で予想外だったことを聞くと、「2時間番組が成立したことです(笑)」とのこと。撮れ高が放送枠に足りなかったら、過去の名場面で埋めることも「全然想定していました」という。
「頼みの綱の技術チームですら『理論上はできるけど、本気でやったことがないから、何が起こるか分からない』と言っていたくらいだったんですが、途中からはわりかし回線が安定しだして、予定通り収録することができたんです」
佐藤のMCは、進行を完全に把握しないまま臨み、スタッフに身を任せるという独特のスタイルだが、今回はそのスタッフに「今日はうまくいくか分からないです」と言われていたことから、本番が終わると「本当にできると思わなかった」と、ホッとしていたそうだ。
このシステムにより、通常収録ができるようになったときに向けて、新たな可能性を見出したという。
「収録中に解説の伊集院光さんが『この方式はコロナだからやむを得なく作った感じだけど、普通に新企画として成立してるよね』と言ってくださったんですが、実際にそうで、理論上は“1,000人の壁”もできてしまうんですよ。だから、今後コロナが終息したとしても、このシステムを使って実験的な企画がいくつか打てるなというのは、すごく感じました」