2016年10月期に放送され一大ブームを起こしたTBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』を再編集した『逃げるは恥だが役に立つムズキュン! 特別編』が19日にスタートし、世帯平均視聴率11.0%(ビデオリサーチ調べ、監督地区)を記録。本放送時の10.2%を上回り、根強い人気を証明した。また、SNS上では「#おかえり逃げ恥」など関連ツイートが続出。「逃げ恥」がツイッターの世界トレンド1位となった。

この特別編は、未公開シーンや未公開カットを加えた再編集版。ネット上では、未公開シーン・カットを当てるツイートが相次ぎ、まとめサイトも誕生するなど大盛り上がり。そして、「編集に携わってくれた方々ありがとうございます!」と制作陣への感謝の声も。そんな注目を集めている再編集の裏側についてプロデューサーの峠田浩氏にインタビュー。反響を受けての感想なども聞いた。

  • 『逃げるは恥だが役に立つ』森山みくり役の新垣結衣(左)と津崎平匡役の星野源

監督、プロデューサー、編集スタッフが、リモート会議や電話で意見を出し合いながら作り上げているという再編集版。1話は当時15分拡大で放送されていたため、大幅なカットが必要に。峠田氏は「拡大分を切るだけでなく、未公開を足してまた切るということが必要だったのでけっこう切ない作業でした」と振り返り、「2話以降は、当時より3分くらい尺が長いので、未公開を足していくだけで大丈夫。ほとんどカットなしになると思います」と明かす。

再編集で心がけていることは「流れを崩さないのはもちろんですが、みくりや平匡の今まで見えなかった表情など、2人の思いや感情がわかるところを足そうと考えています」とのこと。撮影素材から改めて編集し直しているそうで、「撮影したシーンを監督と一緒にスタッフで見直して、どれを足すか。『面白い表情だな』と視聴者の皆さんに楽しんでもらえるのではないかと思ったシーンやカットを探して入れています」と語った。

1話の未公開シーン・カットにSNS上では歓喜の声が続出。本放送よりも長くなった、伯母の百合(石田ゆり子)がみくり(新垣結衣)の頭をくしゃくしゃするシーンに、「かわいい」という声が上がったが、「あのシーンはスタッフもみんな『かわいい』ってなり、伸ばすことに(笑)。百合ちゃんとの仲良しな関係が最初にわかるシーンで、2人の空気感もわかるということもあって伸ばしました」と、制作陣も「かわいい」と盛り上がったという。

新たに加えられた平匡(星野源)がバニラアイスを味わう表情も話題に。峠田氏は「勝野APが克明に撮影のことを覚えていて、もう1回撮影素材を見直したらとてもいい表情で食べていたので。みくりはあの食べている表情を見て『萌える』って言っていることもあり、しっかり映せたらいいなと思って追加しました。こういったちょっとしたみくりや平匡の表情を引っ張ってこれたらいいなと思っています」と説明した。

■視聴者の観察力に感嘆!「気合いを入れ直して」編集やり直し

提供クレジット表示のところで、「未公開カットいくつ気づいてもらえるかな」というテロップが流れたが、「まさにあれが僕らの思いでした」と峠田氏。「できるだけ多く気づいてもらえたらいいなと思っていたら、SNSで皆さんがまとめまで作ってくださっていて。それを金子文紀監督と見たんですが、ここまで細かく見てくれているんだと改めて知り、身が引き締まる思いで、もう1回2話の編集をやり直そうという話になりました(笑)。もちろん頑張って作っていたんですけど、1話の反応を受けてさらに、こういう編集の仕方とか未公開カットもあるんじゃないかと、気合いを入れ直して」と明かした。

視聴者のコメントで気付いた変化もあったという。「シーンを入れ替えたときにセリフが微妙に入れ替わる時があるんです。例えば、石田ゆり子さんの『手出さないでしょうが!』っていうセリフの語尾が微妙に違う。僕たちそれに気づいてなかったんですけど、気づいてくれた方がいて、『すごい』『ありがたいね』って言いながら編集しています」と視聴者の観察力に感嘆。「皆さんのつぶやきやブログを見て、さらに頑張ろうという風になっています」と語った。

■4年経っても揺るがない『逃げ恥』の魅力

初回の視聴率が本放送時を上回ったことは、制作陣も驚いたという。峠田氏は「監督やプロデューサー陣で連絡し合って、『ありがたいね』って。ツイッターも世界トレンド1位になったので、これは本当に驚いたし、うれしかったです」としみじみ。出演者とも連絡を取り合ったそうで、「『おめでとうございます』って言い合いました。LINEで『おめでとうございます』『ありがとうございます』ってお互いに(笑)」と明かした。

4年経っても愛され続けている『逃げ恥』。その魅力について峠田氏は改めて、「4年経って僕たちもどういう受け取られ方をするのかなと思いながらやっていたんですけど、やはり出演者の皆さんの魅力と演技、野木(亜紀子)さんの脚本、原作の素晴らしさ、面白さ。『逃げ恥』としての揺るがないものはあるんじゃないかと思っています。一方で『4年前とは違うところで刺さった』と言ってくださっている人もいましたが、新たな発見もあり、そんな部分は次に繋げていけたらと思います」と分析。

「未公開カットを探そうと思って見始めたら、思い出話で盛り上がっている間に終わってしまって、もう1回見直すときも(笑)。やはり僕たちもすごく思い入れのあるドラマなので、見始めるとそれぞれの思いや解釈の話になったりと、前に進まないっていうことがあります」と制作陣の愛情もハンパない!