プラストはこのほど、「新型コロナウイルスによる営業制限の工夫や取り組み」に関する調査を実施し、結果を公表した。

同調査は2020年4月28日〜4月30日、店舗型事業を営む経営者1,100人を対象にインターネット調査にて実施。モニター提供元はゼネラルリサーチだった。

  • 新型コロナウイルス感染拡大により「通常と異なる形で営業している」「休業している」割合が、全体の6割以上に

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一部の店舗・施設に休業要請が出された。緊急事態宣言の発令により外出自粛の動きが高まり、街から人々の姿が減ったことで、営業が困難になっている店舗は多いのではないか。やむを得ず休業する店舗や、宅配やオンラインなど通常とは異なる形で営業している店舗も多いことだろう。

まず、「新型コロナウイルスの感染拡大により営業を制限していますか?」と質問したところ、「通常と異なる形で営業している」(32.7%)、「休業している」(29.6%)と回答した人の割合が、全体の6割以上を占めた。新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けている店舗や施設は多い様子がうかがえる。

では、休業や、通常と異なる形での営業が強いられる中、具体的にどのような取り組みを行っているのだろうか。そこで、「休業している」と回答した人に「休業中に取り組んでいることはありますか?(複数回答可)」と質問したところ、「資金調達」(41.7%)との回答の割合が最も多く、次いで「メニュー見直し・新規メニューの開発」(24.7%)、「レイアウト変更」(18.2%)、「価格の見直し」(14.2%)、「オンライン教室開催」(11.1%)と続いた。

休業中の具体的な取り組みとしては、

・「公的機関や銀行等の相談窓口に出向いている」(飲食/30代/女性)
・「営業再開に向けて新メニューの勉強をしている」(エステサロン/40代/女性)
・「従業員の給料の支払いや家賃支払いのため、資金繰りしている」(飲食/40代/女性)
・「オンラインでレクチャーできるように準備している」(プログラミングワークショップ/60代/男性)

などの声が寄せられた。やむを得ず「休業」している店舗は、営業再開に向けての準備はもちろんだが、「資金調達」に関する具体的なエピソードも目立つ。

また、「通常と異なる形で営業している」と回答した人に「どのような形で営業をしていますか?(複数回答可)」と聞いたところ、「営業時間を短縮している」(61.7%)と回答した人の割合が最も多く、次いで「客数を制限してお客様同士の接触を避けている」(28.7%)、「テイクアウトを始めた」(12.4%)、「パーテーションを設置した」(10.7%)、「マンツーマンの接客にした」(5.1%)、「フェイスシールドを着用して対応している」(4.5%)、「自社で宅配を始めた」(3.1%)と続いた。

  • 通常と異なる形での営業は、「営業時間を短縮している」(61.7%)、「客数を制限してお客様同士の接触を避けている」(28.7%)、「テイクアウトを始めた」(12.4%)が上位に

通常と異なる形の営業方法としては、

・「ウェブレッスンを始めた」(学習塾/60代/女性)
・「テイクアウトとデリバリーのみ対応」(飲食/50代/男性)
・「Skypeによるレッスン」(英会話スクール/40代/男性)
・「予約が入った時のみの営業」(理美容院/60代/女性)

などがあった。コロナウイルス終息の目処が立たず、不安を抱えている人は多い。多くの店舗が、感染の可能性を抑え少しでも営業ができるよう取り組んでいるようだ。

新型コロナウイルス感染拡大で経営に影響を受けている人は多く、国や自治体も助成金や補助金の支給を発表している。「国や自治体からの助成金制度や補助金制度を利用する予定はありますか?」と質問したところ、4割以上が「ある」(46.9%)と回答。少数ではあるが、「既に申請済み」(3.2%)と回答した人もいる。

  • 半数が助成金を「利用する予定」「既に申請した」と回答

ここまでの調査で、通常通りの営業ができない事業主の方の様々な取り組みが判明した。ではそういった工夫や取り組みをどのようにしてユーザーに伝えているのだろうか。「現在の営業の工夫や取り組みをお客様に向けて発信していますか?」と質問したところ、半数以上が「はい」(50.7%)と回答した。

  • 現在の営業の工夫や取り組みの発信、半数以上(50.7%)が「はい」と回答

「どのような手段で伝えていますか?」と聞くと、「店頭張り出し」(37.7%)と回答した人の割合が最も多く、次いで「SNS」(25.5%)、「メール」(23.7%)、「チラシ」(3.8%)と続いた。

「短縮営業」や「客数制限」、「テイクアウトのみ」など、通常とは異なる形で営業をしている場合、ユーザーにその情報を伝えたいもの。しかし実際、すべてのユーザーにしっかりと伝えられているのだろうか。

そこで、「すべてのお客様にしっかり伝わってると思いますか?」と聞いたところ、半数以上が「いいえ」(51.6%)と回答した。

  • 「全てのお客様にしっかり伝わってると思いますか?」--半数以上(51.6%)が「いいえ」と回答

店の取り組み・努力を直接伝えることでユーザー側も安心でき、今後、通常営業に戻った際にも安心だ。大型チェーンの取り組み等はメディアで取り上げられるが、小規模店舗の取り組みは伝わりにくいのが現状となっている。

情報発信は小規模店舗のBCP対策のひとつ。SNS発信だけだと埋もれがちだし、すべての常連客がSNSを使いこなしているわけではない。同社では、多くのユーザーにきちんと伝えるための一つの手段として、「専用アプリ」の活用をすすめている。