音楽プロデューサー・つんく♂にとって初となる絵本『ねぇ、ママ?僕のお願い!』(双葉社)が6月19日に発売されることが決定。つんく♂が双葉社を通じ、同書への思いを明かした。

『ねぇ、ママ?僕のお願い!』(双葉社) 6月19日発売 1,400円(税別) B6変型 (c)つんく♂・なかがわみさこ/双葉社

同書は詩をつんく♂、絵をイラストレーター・なかがわみさこ氏が担当。ある日、「ボク」は「買い物に行きたいんだ」とママにお願いするも、なかなか聞き入れてもらえず。ついには泣いてしまい、ママからは「泣いて頼んだってダメだから」と一蹴され……。

ゴールデンウィーク頃の発売に向けて昨年から準備を進めていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期に。ところがつんく♂は「例え、ひとときであっても、笑顔とキュンが世界中に響き渡れば」と発売前にYouTubeでの無料公開に踏み切り、ネット上ではその英断と絵本の内容に数多くの感動の声が上がった。

読み聞かせ用の絵本動画には少年と母の声も吹き込まれており、少年役に9歳の次女、母親役に太陽とシスコムーン・小湊美和を抜てき。一方で、「私も朗読にチャレンジしたい」という声を受けてBGMだけの「BGM only Version」を公開したかと思えば、海外在住の知り合いからの「他の言語Versionは作らないの?」に応えて「英語Version」(次女のほか母親役に12歳の長女を起用)も無料開放し、オフィシャルブログに「2020年の『母の日』はオンライン帰省、オンラインでの親子時間となる 方も多々いらっしゃると思いますので、そんな会話のきっかけにこの絵本動画を使っていただければ幸いと思います」とその意図をつづった。

■ソーシャルディスタンスが重要視される今だからこそ

「子育てをしている大人って実はなかなか浮かばれない。『子育てやって当たり前』と。もちろんそうなんですけど、昔みたいに“向こう三軒両隣”といった近所付き合いも、『頑張ってるな~』とか『ちょっと見といて~』みたいな支え合いも、核家族化が進む今、そう簡単ではないわけです(特にソーシャルディスタンスが重要視される昨今では当然ゆえ、夫婦喧嘩も増えるでしょうね)。子育てが、いつの間にか孤立化してるんじゃないでしょうか」と現状を憂うつんく♂。

音楽プロデューサーのつんく♂

そういった中で、「僕は絵心がなくて、自分が絵を書こうという発想はできない。やはり僕は歌詞を書く仕事なので、絵本といいつつ、ポエムありきなんですが、だからこそ、文字を読めない小さい子に、どう伝えようかなと熟考を重ね、その親や祖父母まで楽しめるメモリアルになるような本が良いのでは」「もはやわざわざ製本された本を買う時代じゃない中、メモリアルになるような、そんな絵本にしたい」とアイデアが浮かび、「小さい子に読み聞かせする絵本というよりは家族に向けての絵本」として企画した。

■ものづくりを止めてはいけない

きっかけは、NHK Eテレ『いないいないばあっ!』に楽曲提供をした際、子どもたちの未来を考える中で、「絵本も僕のすべきことの一つ」と実感したこと。「このような状況でも、我々クリエイターはものづくりを止めてはいけない」と自らに言い聞かせ、「絵本の内容は、文字を読めない小さい子へという意識はあるが、ただ単に子どもに向けてのものではない。小さな子の相手をするパパやママにメッセージを投げかけようと思った。お父さん、お母さんたちの元気本になれば」とも語る。

「僕も子を持つ親となって10年以上が経ちますが、我が子たちからも日々教わることだらけ。過去に経験したことの無い大変な状況でも彼らには僕たち大人のような経験値からの概念が少ないので、現状況が大変かそうでないかの前に、こんな惨事の中においても楽しみを見つけ、工夫し、ルールを作って兄妹で楽しみます。親が気がつかない間に日々成長してるんだなぁってつくづく思います」と感慨深げなつんく♂。

「僕らができるのは、ただ単に“子育て世代にエールを”ではなく、『よくやってるね! すごいよ!』と、喩えて言えば、応援団のエール交換のように、お互いに“称賛し合える関係を”と発信するのが役割かなと思っています」と胸の内を明かし、「子育てする人、これからの人。途中の人も、終わった人も、見守る人など。この絵本は、みんなで支え合ういろんなアイテムの一つかもしれませんが、子どもだけでなく、我々大人が子どもからたくさんの勇気や愛、希望。そして笑顔をもらう絵本です」と同書に大きな願いを込めている。