JR西日本は4月の社長会見にて、今年3月の新幹線・在来線特急列車の利用が4割程度に落ち込んだことを明らかにした。緊急事態宣言が発令された後の4月8・9日、山陽新幹線の利用状況は対前年17%にまで落ち込んだという。

  • 関西空港駅発着の特急「はるか」。新型コロナウイルス感染症にともなう利用状況を踏まえ、4月から全列車6両編成で運転されている

同社によれば、3月の収入計は対前年56.3%で、4月1~7日の収入計はさらに落ち込み、40.8%となった。3月の利用状況は前年同月比で山陽新幹線が42%、北陸新幹線が43%、在来線特急列車が39%、近畿圏が63%。4月1~7日の利用状況は、新幹線・在来線特急列車がいずれも2割程度、近畿圏が約4割となり、さらに激減している。

こうした状況を踏まえ、「売り上げや利益、資金など財務の面で、経営的には会社発足以来の最大の危機」に面しているとJR西日本。資金繰りのため、3・4月で合計1,000億円のコマーシャル・ペーパーを発行したことを明らかにし、今後の資金調達についても金融機関などと具体的な協議を行っているとした。

今年度の業績について、「現時点では全く見通せない」としており、山陽新幹線や特急「はるか」など、利用が大きく減少している列車の運行計画見直しを検討するとした。さらに、グループ会社を含めた短期的な雇用調整措置の可能性も示唆。常勤の取締役については、4月から当分の間、月額報酬の10%を自主返上すると表明した。

なお、例年4月25日に実施している福知山線列車事故追悼慰霊式はすでに開催取りやめを発表しているが、その前後の期間にも例年多くの人が来場していることから、4月20~30日は「祈りの杜」を臨時閉場することを決めた。「苦渋の判断ですが、新型コロナウイルスの感染拡大防止を第一に考えたものであり、皆様のご理解を賜りたいと思います」とJR西日本は説明している。