マイナビニュースで好評連載中の「こわもてパパのガチ育児」。一見怖そうな風貌の父親・メガロが、子育てに奮闘する日々を描いた漫画作品です。
著者で、イラストレーター・漫画家の栗生ゑゐこさんは、どのような思いでこの漫画を描いているのか、お話を伺いました。
パパは"無視されている"
――なぜ、パパを主人公にした漫画を描こうと思われたんですか?
育児漫画ってママ目線のコミックエッセイが多いですよね。フィクションで、パパが主人公の漫画ってあまり見ないなと感じていました。そういう背景もあって、"こわもて"っていう意外性のあるキャラクターを入り口にしたら、面白く読んでいただけるかなと思い、挑戦してみたんです。
私には2人の娘がいるのですが、出産してから、赤ちゃんを抱っこしているパパを見るとキュンとするようになってしまって(笑)。抱っこ紐に赤ちゃんを入れて、ママが横にいて歩いている光景を「もっとやれやれ~!」って思いながら見てしまうので、そういうパパの姿を描きたかった、というのもあります。
また、妊娠・出産を経験し、日々子育てをする中で、パパとママが分けられて考えられている社会、みたいなものを実感することがよくありました。
例えば、夫と赤ちゃん用品のコーナーに行っても、メインターゲットはママ。「ママの●●」とか「ママにとって便利」といったようなキャッチが直接的に書かれていたり、一戸建ての不動産のチラシにだって「ママ目線で導線を考えました」「ママ座談会を開いて考えました」とか書かれていたりするわけです。
そういうのを見て、家事・育児の分野では『パパは無視されている』と感じていました。 確かに、ママがメインで家事・育児をしている家庭が多数だと思いますが、赤ちゃんのオムツを替えたり、洗濯物を干したり、「戦力」になっているパパもたくさんいるわけです。彼らが戦力外であるかのように受け取れる表現には、違和感があります。
そういった自分の気持ちも作品作りに影響しているかもしれませんね。
男女の別なく「なるべく一緒にできたらいい」
――漫画の中では現在、主人公・メガロは育休中という設定です。栗生さんの旦那様も育休を取得されていたそうですね
長女が1歳になる前の1カ月、次女が6カ月~1歳の半年間、夫は育休を取得しました。それまで夫婦仲が良くても、出産後、夫への信頼感が下がっていくという話は結構良く見聞きしますが、我が家の場合は、夫が育休を取ったことによって、家族中からの信頼度が上がっていますね。
夫は家事・育児が苦ではないタイプなので、合う人、合わない人がいるかもしれませんが、我が家の場合はこの育休取得のスタイルが良かったと思っています。
家事・育児のルーティーンを前提から共有できているため、復帰後の生活もスムーズですし、今でもご飯作りは夫のメインタスクです。ご飯以外の家事はけっこう私がやっているので、夫が家事をやりすぎているとは思いませんが、お互いの苦手分野・得意分野に合わせて分担できるようにもなりました。
――性別の違いではなく、それぞれの得意分野で役割分担されているんですね
子育てには「パパの役割」と「ママの役割」があると考えている方は多いかもしれません。でも、少なくとも0歳の子育てに関しては、そういった役割の違いはないと思っています。
授乳以外はパパもできるという話はよく聞きますが、母乳だって直でなければ、冷蔵庫や冷凍庫で保存したものをあげることができます。直で母乳を出す以外は、全部できるのではないでしょうか。
パパが時々代わって、母乳やミルクをあげれば、ママは睡眠時間を確保でき、かなり疲労回復できます。男女、パパ・ママの隔たりを作らずに、『子育てはなるべく一緒にできたらいいね』とシンプルに思っています。
パパだってママだって、ワンオペは大変
――「こわもてパパのガチ育児」でも、メガロがワンオペ育児にならないように、復職した妻が夜泣き対応を代わる場面があったり、最終的には2人で育休を取得したりしていますね
マンツーマンで赤ちゃんといると、孤独を感じたり、お世話を交代して欲しいけれどできなくて鬱々としてしまったり、ということが私自身もけっこうありました。だから、そういう育児の実態や、解決策の提案なども描きたいと思っています。
そして、パパであっても、ママであっても、孤独な育児は大変です。だから、この漫画はパパが1人で育児をがんばる話にはしたくない。パパ友に会ったり、ママ友と交流したり、妻に子どもを預けて1人で外出したり……1人じゃない、みんなで育児をしていくメガロの姿を積極的に描いていきたいですね。