発売から1カ月で約3万1,000万台を受注するなど好調な滑り出しを見せているホンダの新型「フィット」。愛らしい見た目や視界の良さ、シンプルなインテリアなどが話題だが、肝心の走りはどうなのか。実際に乗ってみると、侮れない実力を備えていることが分かった。

  • ホンダの新型「フィット」

    ファミリーカーでありながら侮れない実力を備えるホンダの新型「フィット」

基本的には2つの選択肢がある新型フィット

新型フィットには「BASIC」(ベーシック)、「HOME」(ホーム)、「NESS」(ネス)、「CROSSTAR」(クロスター)、「LUXE」(リュクス)の5つのタイプがある。これにより、既存モデルよりもグレード構成は豊かになった印象だが、ガソリンエンジン搭載車の排気量が1.3Lに集約されたので、実質的にはハイブリッド(e:HEV)車かガソリン車かの2択になった。もちろん、全タイプで両方のパワーユニットが選択可能だ。駆動方式は2WDと4WDから選べる。

つまり、どのタイプのフィットを選んでも、パワーユニットと駆動方式は好みの組み合わせに仕上げられる。グレード毎に装備や装飾は異なるものの、メカニズムは共通なので、中身は「ハイブリッド」か「ガソリン」かの違いにとどまると考えてもらえばよい。

今回の試乗車はガソリン車が「HOME」、ハイブリッド車が「e:HEV LUXE」だった。

  • ホンダの新型「フィット」
  • ホンダの新型「フィット」
  • 左が「HOME」のガソリン車、右が「LUXE」のハイブリッド車

愛らしさと機能性を両立させたスタイル

新型フィットがこれまでと異なるのは、ハイブリッドとガソリン車で見た目にほぼ違いがないことだ。先代までのフィットでは、ハイブリッド仕様のグリルやエンブレムなどが専用デザインとなっていたが、新型の見た目は基本的に同じ。ハイブリッド仕様を見分けるには、前後のホンダエンブレムの控えめなブルーの差し色か、テールゲートの「e:HEV」エンブレムを確認しなくてはならない。電動車の拡大普及を宣言しているホンダとしては、「もう、ハイブリッドは特別なものではない」とのメッセージを伝えたいのかもしれない。

  • ホンダの新型フィット

    「e:HEV」のエンブレムがなければガソリンエンジン車と見分けがつかない新型「フィット」のハイブリッド

最近のホンダ車は押し出しの強いデザインを多用しているが、新型フィットではその印象が一変。親しみやすいフロントマスクは、フレンチブルドックなどの“ブサカワ犬”を彷彿させる。

  • ホンダの新型フィット

    犬っぽい新型「フィット」の顔つき

ボリューム感のあったボディは新型でシャープなスタイルに。これにより、クルマ自体もコンパクトになったのではと思ったのだが、調べてみるとボディサイズはほぼ同等で、全長はむしろ伸びていた。前後共にドア開口部が大きく、乗降性に優れる点も好印象だ。