バイトに行ったり、ラーメンを食べたり、電車に乗ったり、ゲームをしたり……そんな当たり前の日常を送るワニの余命は、残り100日。
漫画家・イラストレーターのきくちゆうきさん(@yuukikikuch)がツイッターに投稿した「100日後に死ぬワニ」には、死なないで!もっと生きて!という声が続出している。なぜ私たちは、こんなにもワニの日常に心を動かされてしまうのだろうか。
「100日後に死ぬワニ」 pic.twitter.com/RUblRfVWTs
— きくちゆうき (@yuukikikuchi) December 12, 2019
物語は"100日後に死ぬ"という斬新な設定のもとワニの日常を淡々と描く
2019年12月12日、突如ツイッターに現れた「100日後に死ぬワニ」。毎日更新される余命100日のワニの物語は、今や毎回10万いいねを超える大人気コンテンツ。
自分が100日後に死ぬことを知っているのかいないのか、ワニが過ごす貴重な1日は、言うなればなんの変哲もない、いたって普通の日常だ。
バイトをしたりラーメンを食べたり、続編映画の公開に浮き足立ったり……ワニが過ごす私たちの日常となんら変わらない日々が描かれている。そしてその中には、世界をちょっと優しくする、心温まる1日もたくさん登場するのだ。
もうすぐ死んでしまうワニだが、こんなに朗らかな笑顔を見せる。そんな姿にどこか愛着を感じている読者も多いことだろう。
揺れ動くワニの感情が読者の共感を誘う
もちろん、ワニの日常は心温まるものばかりではない。駅員さんの態度に腹を立てたり、何も面白く感じることができずに布団に潜り込む日だってある。
毎日はいいことばかりではない。そんなリアルさが、ワニという存在をより読者にとって身近なものにさせている。
漫画の中ではワニの恋心も描かれている。バイトの先輩といい雰囲気のワニだが、告白する勇気を出せずバイトを辞めてしまうのだ。そんな少し不器用なワニには、背中を押してくれる友人も。勇気を出せない自分と、後押しする友人との間で、揺れ動くワニの心情も見逃せない。
ワニの結末やいかに……?
毎日更新されるワニの日常。1日1日を一緒に過ごしていくにつれ、ワニはまるで私たちの分身のような、身近な友達のような存在になっていく。日常に隠れているいいことや悪いこと、嬉しいことや悲しいこと……ワニの日常は、自分の日常を改めて見つめ直す時間をくれる。だから私たちは、ワニの心が動くたび、自分の心も動かされてしまうのではないだろうか。
日を重ねるごとに「幸せになってほしい」「もっと生きて」と、終わりを惜しむ声が寄せられる「100日後に死ぬワニ」。残された時間はもう2週間を切った……果たしてワニの恋は、人生は、どのような結末を迎えるのか。最終回まで見守りたい。
きくちゆうき
漫画家/イラストレーターとして活躍中。「100日後に死ぬワニ」の筆者。
1986年、東京都生まれ。その他の作品には「どうぶつーズ」「FaceArt」などがある。
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