ツアー旅行や航空券は早期予約するとお得なケースが多いこともあり、長期休暇の計画は早めに立てる人が多いのではないでしょうか。しかし、あまり早く決めすぎると直前になって思わぬトラブルで行けなくなってしまうことがあります。

そんな心配を解消してくれるのが、旅行のキャンセル保険です。旅行当日の交通機関の遅延や自然災害で家屋に損害があった場合も対象になるなど、補償される事由が現実的でいざというとき役に立ちそう。レジャーの予定を立てるときに検討してみてはいかがでしょうか。

キャンセルする際のルールを確認する習慣を!

世界中の関心事となっている新型コロナウイルス。現時点(2020年2月)では収束の見込みが立っていないことから、今年の旅行プランを考え始めていた人や予約をしてしまった人は不安を感じているのではないでしょうか。まずは、すでに決済してしまった海外旅行の代金はどうなるかを見ていきます。

ツアー旅行は外務省の危険レベルが2以上になると旅行会社は中止することが多く、中国や香港へのツアーは当面の中止が発表されています。中止になった場合は、もちろん全額返金されます。

中止になるエリアではないけれどいま海外へ行くのは不安という人は、旅行開始日の30日前(年末年始、ゴールデンウィーク、夏休み期間のピーク時は40日前)からキャンセル料が発生しますから、それまでにどうするかを決めるようにしましょう。しかし3日前までならキャンセル料率は20%ですから、30日前を過ぎてしまった人も行先によっては検討可能です。

航空券やホテルを自分で手配した場合は、航空会社や予約方法によってケースバイケース。香港やマカオを含む中国便についてJALやANAといった大手キャリアは特別対応を行い、1月31日以前に購入し3月31日までの搭乗予定分は手数料を取らずに払い戻しをしています。

しかし格安航空会社は、通常通り運航している限り予約の変更やキャンセルには規定の手数料がかかります。ホテルは海外予約サイトで予約した場合は、キャンセル不可の可能性が大。

ですが、ホテルへの直接予約ならば、前日~1週間前くらいまでは無料でキャンセルできることが一般的です。予約した際に受け取ったメールの、キャンセルポリシーを確認してみるとよいでしょう。

今回は全く予想をしていなかった感染症の流行ですが、近年は自然災害も増えています。数カ月先の旅行の予約をするときは、いつまで、どんなときは無料でキャンセルできるのか、キャンセルすることになった場合の手数料はいくらなのかを、しっかり確認する習慣を持つ時代になってきたようです。

突然の病気やケガでのキャンセルを補償してくれる保険がある

今回のようなことがたびたび起こることはありませんが、数カ月先の予定を決めて費用を支払う旅行は、考えてみればリスクのある行動です。シングルならば自分自身のことですから仕方ないと思えるかもしれませんが、家族旅行は人数が多いだけに費用もかかり見過ごせる金額ではありません。

にもかかわらず家族旅行は幼い子どもや高齢の親と同行することも多く、誰かが突然、病気やケガをするリスクが高いといえます。そのような想定していなかった突然のトラブルで旅行をキャンセルすることになってしまったとき、支払った旅行代金を補償してくれるのがキャンセル保険です。

海外旅行へ行くとき多くの人は海外旅行保険に加入しますが、海外旅行保険は旅行中のさまざまなトラブルを補償してくれる保険となります。航空機遅延費用特約があるタイプもありますが、これは予定の航空機が搭乗不能になった場合の宿泊費や食事代を補償してくれるもので、1回につき2~3万円が限度です。

これに対して、旅行へ行く前にトラブルが起こって行けなくなったときに旅行費用を補償してくれるのがキャンセル保険です。旅行へ行く本人や家族の病気やケガ、出発日の交通機関の遅延で乗り遅れた場合に旅行費用を補償してくれるもので、それぞれの主な補償内容を整理した下図を見ると、目的が違う保険だということがわかるでしょう。

どこで加入できる? 保険料はいくらかかる?

では、具体的にどんな商品があるのでしょう。主なものをまとめたのが下図です。

大きく分けると、ツアーが対象のものと航空券が対象のものがあります。注意したいのは、ほとんどが旅行会社や航空会社と紐づいた商品で、その会社の商品を購入しないと保険に加入できないこと。また補償の対象となる事由も、本人や家族の通院、入院、親族の死亡、旅行出発日の交通機関の遅延は共通していますが、その他は商品によって異なるので詳細を必ず確認しましょう。

上図の中で、単独加入できるのは「トリップキャンセル」のみです。国内・海外を問わず、どこの旅行会社の商品でもAWPチケットガード少額短期保険のホームページから加入できます。ただし募集型企画旅行や受注型企画旅行のみで、個人で航空券やホテルを手配する旅行の場合は加入できません。

キャンセル保険のラインナップは今後、充実することが予想されますが、単独で加入できる商品が増えるまでは、旅行商品を選ぶ際のひとつのチェックポイントになりそうです。

  • 鈴木弥生

鈴木弥生

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。