昨年12月、お笑いトリオ・3時のヒロインが3代目女王に輝いた『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)。決勝戦は、過去2大会に比べて「面白かった」「レベルが上った」と評判の声があがり、松本人志も「見応えたっぷりのちゃんとしたコンテストになってきたなという感じしましたよね」(フジテレビ『ワイドナショー』19年12月15日放送)と評価している。

その背景には、事務所の垣根を越えた女芸人限定のライブ開催をはじめ、制作陣による“芸人ファースト”の精神から生まれた様々な改革があったのだ。統轄プロデューサーの宮本誠臣氏に話を聞いた――。

  • 『女芸人No.1決定戦 THE W』3代目女王の3時のヒロイン

    『女芸人No.1決定戦 THE W』3代目女王の3時のヒロイン

■ライバル同士でネタ披露の場を提供

『THE W presents 女芸人ネタ祭り』と題したそのライブは、昨年5月から9月まで、月1回のペースで5回開催。この目的は「一番は全体のレベルアップです。『THE W』を1回、2回とやってきて、『レベルが…』という声があったのですが、一朝一夕にはできないと思って、5年~10年経ったときに女芸人界が盛り上がることで良い大会になればと、わりと長期スパンで考えています。『M-1』も、長い年月をかけて今のステータスがあると思うので」という宮本氏。

吉本興業以外だと、劇場を持っている事務所も少ないことから、まずネタを披露する場を作ることを考え、ライブの立ち上げに着手。「これまでも各事務所さん主催のライブに参加するという手段はあったのですが、同じ女芸人のライバルが一定数いるという環境で刺激を受けることがなかったので、そういう場があるといいなという話を事務所さんがしていたんです。レベルアップには、やはり何度もお客さんの前でいろんなネタを披露することが必要だと思って、このライブをやろうとなりました」。

ライブの終演後には、毎回懇親会を行い、出演芸人のほとんどが参加。そこに、『THE W』のスタッフのほか、放送作家、さらには番組に直接関わっていない日テレ社員も出席し、「芸人さんとネタについてざっくばらんに話をする機会が設けられました」。その雰囲気は和やかだといい、「今まではダメ出しを聞く機会もなかったそうなので、ここに出てネタをブラッシュアップしていった効果は多少なりともあったと思います」と手応えを語る。

この懇親会で、芸人同士のコミュニケーションもでき、今回の『THE W』では、事務所を越えたユニットを組んで出場する例も。19年から「コントとピン」「グループとコンビ」など“併願エントリー”も2エントリーまで可能となったが、そうした異色ユニットを生み出す出会いの場としても機能した。

  • 3時のヒロイン=昨年の『女芸人ネタ祭り』より

■実績を積み重ねていた3時のヒロイン

1回のライブには30組前後が出演し、1組あたりの持ち時間は基本2分、『THE W』の準決勝進出者は4分。観客投票で3位まで順位が発表されるが、『THE W 2019』で優勝した3時のヒロインは、5回中3回出場し、すべてベスト3に入った(第1回:1位、第2回:3位、第4回:3位)。「しかも、全部違うネタをやっていたんです。その中で、彼女たちは『このネタのここがウケる』っていうのを掴んでいったんだと思います」と、ネタを磨いていったのだ。

また、3時のヒロインに破れ、準優勝だったはなしょーは、第3回で1位。ファイナリストのハルカラは、第2回と第4回で1位と、このライブで実績を積んだ芸人が、本番で着実に結果を残している。「回を重ねるごとに、ウケなかったところを修正して、徐々にネタが仕上がっていくのも見れましたし、逆に毎回違うネタで反応を見る芸人さんもいて、それぞれのやり方で、このライブを活用してくれました」。

  • はなしょー=同

  • ハルカラ=同

そして、長期スパンで大会のレベルアップを目指すという前述の通り、今年も同様に『THE W presents 女芸人ネタライブ2020』の開催が決定。初回は中野・劇場MOMOで3月14日(2月17日チケット発売)に行い、4月4日の2回目以降は新宿・シアターミラクルで毎回土曜日に固定して実施する計画だ。現在5月9日まで日程が決まっており、昨年と同じく月1回ペースを想定している。

「毎回『THE W』のファイナリストを1~2組入れたり、ある回はニューカマーを中心にしたりとか、毎回テーマを付けてやっていくことも考えています」といい、「まだ知られていない女芸人さんを青田買いしてお気に入りを見つけると、本番の楽しみ方も変わってくると思うので、ぜひライブに足を運んでほしいです」と呼びかけた。