回転寿司チェーン「無添くら寿司」を運営するくら寿司は21日(火)、「グローバル事業戦略発表会」を開催。新たな進出国である中国を含めた中期の海外戦略の説明と、世界で活躍するクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏によるロゴデザインの刷新などの施策が発表された。

  • 無添くら寿司がグローバル事業戦略発表会を行った

    無添くら寿司がグローバル事業戦略発表会を行った

アメリカ23店舗、台湾22店と海外出店を加速させ、昨年8月にはアメリカのNASDAQに新規上場したくら寿司は、今期を“第二の創業期”と位置づけ、様々な改革をスタート。世界が日本に注目するオリンピックイヤーに合わせ、グローバルでのさらなる事業展開に注力する。

最新テクノロジーを駆使した新サービスも

くら寿司の田中邦彦社長は冒頭、食べたお寿司のお皿を入れるとガチャ玉が出てくる「ビッくらポン!」や自社開発の寿司カバー「鮮度くん」など、これまでのイノベーティブな取り組みの数々を紹介。年内に中国・上海へ出店し、巨大な中国市場へ進出することを発表した。

  • 田中邦彦社長

    田中邦彦社長

2030年中に売上高3,000億円、全世界1,000店舗を目標に掲げるくら寿司は、こうしたグローバル事業を遂行していくにあたり、ブランド力の強化などの観点から世界共通の新しい統一ロゴをこのほど作成。

  • 新たに作成された世界共通のロゴ

    新たに作成された世界共通のロゴ

ユニクロやセブンイレブン、楽天グループなどの案件を手がけてきたクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏は新ロゴについて、「“くら”という平仮名は伝統の江戸文字をベースにデザインしています。日本や和食の記号となるこの墨で書かれたような江戸文字と、“KURA”というアルファベットを組み合わせることで、世界中の方が一目でくら寿司とわかるようなデザインにしました」と説明した。

浅草にグローバル旗艦店がオープン

  • くら寿司浅草ROX店

    くら寿司浅草ROX店

また、グローバル戦略の一環として、グローバル旗艦店となる「くら寿司浅草ROX店」が22日にオープン。このグローバル旗艦店のデザインも手がけた佐藤氏は、歌川広重の浮世絵『東都名所 高輪二十六夜待遊興之図』からインスパイアされたと語った。

  • クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏

    クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏

「旗艦店をデザインしていく上でこの絵が“食のアミューズメントパーク”という、くら寿司のコンセプトそのものを表していると思いました。お寿司屋さんだけでなく天ぷら屋さん、だんご屋さんの屋台があって、後ろの大屋根の掛かった桟敷みたいなところで、みんなが自分の好きなものを買って食べている。タコの被り物をしている賑やかしがいたり、エンターテイメントと一緒に江戸時代にファストフードを楽しんでいる。江戸の町のこの雰囲気を現代で置き換え、毎日がお祭りのようなお店、縁日のワクワクする高揚感を表現できるようなお店を作ろうと思いました」(佐藤氏)

  • いろんなお面を展示するなど縁日の雰囲気を感じられる店内の装飾

    いろんなお面を展示するなど縁日の雰囲気を感じられる店内の装飾

  • 縁日スペースを設置し、「ビッくらポン!」の景品として射的や輪投げができる

    縁日スペースを設置し、「ビッくらポン!」の景品として射的や輪投げができる

「くら寿司浅草ROX店」の店舗面積は通常の店の約2倍である約225坪、座席数は272席で通常の1.3倍で店舗面積・座席数ともに世界最大の店舗となる。従業員の制服は、これまでの法被からTシャツという少しモダンなかたちにリニューアルした。

  • 新しくなった制服

    新しくなった制服

くら寿司の広報宣伝IR本部本部長・岡本浩之氏はグローバル旗艦店の特徴を紹介。「浅草という場所柄、海外のお客様が多いということで、海外の言語ができるスタッフを胸元に国旗のバッジでどの国の言葉ができるかを明確化し、配置しています。加えて、104カ国の言語に対応する『Langogo (ランゴーゴ)』という音声翻訳機を店に2台配備しています」とのことで、外国人観光客が多く集まるエリアならではの店舗となっている。

  • 胸元にバッジに国旗を付け、言語対応できるスタッフの明確化

    胸元にバッジに国旗を付け、言語対応できるスタッフの明確化

さらに、最新テクノロジーを駆使した新サービスも特徴となっており、最新のICTを活用して、食べたお皿の枚数を自動でチェックするシステム「セルフチェック機能」を導入。小型カメラを設置して画像をAIで解析することで、人手を介さず正確な枚数がリアルタイムで自動計算される。

同システムはAIの学習期間が必要なことから本格稼働は3月からの予定で、2月から他の既存店にも順次導入する方針を示した。

  • 広々とした明るい店内

    広々とした明るい店内

日本の伝統文化を感じられる特徴的な内装やエンターテイメントを掛け合わせた独自サービスなど、通常店舗とは異なる最新の回転寿司カルチャーの世界観を楽しめる今回のグローバル旗艦店。モデル店舗として、今後はアメリカ・台湾、新たに進出する中国など各国に設置していくという。