賃貸の引っ越し先を探していると「どうすれば満足できる住まいが探せるの?」「みんな何を重視して部屋を選んでいるの?」と気になることでしょう。今回は部屋探しの際に参考になる「住まい探しの重視項目」について紹介していきます。

広さよりもバス・トイレ別を重視する人、多数

家賃、駅からの距離、設備、広さ、間取り、日当たり……。住まい選びではすべてを妥協したくないもの。とはいえ、何を重視したら納得・満足できる部屋が見つかるのか、イメージがわかないという人もいることでしょう。そんなときに参考になるのが、多くの人の意見を集めたアンケート結果です。今回はリクルート住まいカンパニーが2019年9月に発表した「2018年度賃貸契約者動向調査」を読み解いていきましょう。

まず、妥協できるポイントと妥協できないポイントからチェックしていきましょう。妥協できないポイントには「家賃」、そのほかに「路線」「駅」「最寄り駅からの時間」などが上位項目に来ています。「家賃」や「路線」は、毎日の暮らしに関わることだけに、安易に妥協できないもの。1つの変えられない「軸」として、住まいを探している様子がわかります。このあたりは、多くの人が同意するところではないでしょうか。

  • 住まい選びで妥協できなかったポイント、妥協したポイントは?
    ※1初期費用は敷金礼金など。※2キッチン・お風呂・トイレなど
    リクルート住まいカンパニー「2018年度賃貸契約者動向調査」をもとに筆者作成

一方で、何を妥協しているのかというと、「築年数」が多く、ついで「面積(広さ)」「家賃」「最寄り駅からの時間」が同じような割合でランクインしています。人によってこだわりはさまざまですが、築年数を筆頭に広さや家賃などを少しずつ妥協し、「完璧ではないけれど、現状の選択肢のなかではベター」という選び方をしているのかもしれません。

また、たとえば"2000年築"と"1990年築"の物件があった場合、なかなか差はわかりにくいものですが、実際に見学してみると、「この築年数と家賃であればいいかな」と妥協しやすいのかもしれせん。

妥協ポイントには、その人の価値観・個性が現れます。生活音が気になるため「構造(木造か鉄骨造か軽量鉄骨造)」が妥協できないという人もいれば、「日当たりがよくないと嫌だ」という人も。自分が何を大切にしたいのか、物件を見学するなかで改めて気がつくことも多いので、現地に足を運んだ際に、思ったこと、感じたことを忘れないうちにメモしておくとよいでしょう。

満足度の高い設備は「24時間ゴミ捨て」「お風呂の追い焚き機能」

では、ひとり暮らし、二人暮らし、ファミリーに関わらず、住んでからどんな点に満足しているかを見ていきましょう。

アンケートでは満足度の高い設備が、「24時間出せるゴミ置き場」が堂々ナンバーワンに輝いています。学生よりも社会人に支持されていて、仕事で忙しい人にとっては「いつでもゴミが捨てられる」という住環境が気楽で満足度が高いようです。次いで「追い焚き機能付きお風呂」「TVモニター付きインターフォン」「浴室乾燥機」「独立洗面台」「ピッキング対策のカギ」「室内物干し」と続きます。

  • リクルート住まいカンパニー「2018年度賃貸契約者動向調査」をもとに筆者作成

特徴的なのは、「水回り」と「玄関まわり」の設備が多くを占めているところでしょう。特に、玄関まわりの設備であるTVモニター付きインターフォンとピッキング対策カギは、「実際に住んでから役立った」「怖い思いをせずに済んだ」という経験が背景にあるのかもしれません。このあたりは実際の部屋探しの際も、役立てたいポイントといえます。

また、こちらの調査で上位に多くランクインしている水回りの設備は、現在の満足度が高いだけでなく、次の住まいでもほしいポイントにもなっていました。というのも、ひとり暮らしの人が今後、住み替えたい間取り・仕様を比較して聞いたところ、「広い部屋+バス・トイレ一緒」と「狭い部屋+バス・トイレ別」では、後者と答えた人が多数を占めたのです。

お風呂、バス、トイレが一体となった「三点ユニット」は一人暮らしの住まいの定番でもありましたが、最近では働いている・いないに関わらず、敬遠する人が増えています。キッチンは中食・外食を活用することである程度カバーできますが、トイレ・お風呂・洗面台は毎日使う設備で、他で代用しにくいものです。水回りの設備で迷ったら安易に妥協しないほうが、「お部屋の満足」につながると憶えておきましょう。

回遊舎

嘉屋恭子

フリーライター。編集プロダクションなどを経て、2007年よりフリーランスで活動。主に住まいや暮らしに関わる分野で取材・執筆を続ける。FP技能士2級取得。