映画顔負けのカー・アクションが繰り広げられることが魅力のAmazonプライム・ビデオのバラエティシリーズ『戦闘車』。11月13日にDVDが発売されたシーズン2では、ダウンタウンの浜田雅功とナインティナインの矢部浩之がそれぞれチームを結成し、重量級の車両をぶつけ合い、危険を顧みぬチャレンジ精神を見せている。そんな本番組で圧巻の技術を見せているのが、プロレーシングドライバーの脇阪寿一だ。プロレーサーとして感じる番組の魅力や、浜田雅功との関係から出演を決めた経緯について語ってもらった。
――シーズン1から引き続きの出演ですが、シーズン2では演出やルールを含めて、シーズン1から変化している点が好評です。演者としては、どんな点がシーズン2では面白くなったと感じていますか?
基本的に、僕はレーシングドライバーなんですね。レースって、勢いで車を運転するイメージを大半の方々が持たれていると思いますが、僕の感覚ではレースは詰将棋。一個一個を頭の中で考えながら、車を安全にゴールまで導くという作業をしています。そういった意味では、今回は運転しているテクニックだけではなく、運転しながらいろいろ考えて戦略的に詰めていく競技として楽しめました。普段レースをやっているときの能力と技術を、より示せたのかなと思っています。
――セットの規模がすごくて、改めて驚きました。
僕はテレビの番組のことはそんなにわからないんですけど、出演されている方々が、ロケ現場に入って、とにかく驚いていました。「ハリウッドか!」みたいなことをおっしゃっていましたね。そこそこ年齢がいかれている方は「昔のテレビみたいだ!」と言って、ものすごく喜んでいました。
――今回の競技は、サッカー、棒倒し、カーリング、横転グランプリ、連結レースというラインナップでした。ドライバーとしての脇阪さんは、どんな面に難しさを感じていましたか?
やばいのは埃です。いくら水を撒いても埃がどんどん出てきて、僕らはいいですけど、よう大御所の方々…(笑)。それこそ、口の中ジャリジャリになってやっているんですよ。それぞれ世代は違いますけど、子どもの頃に戻って服が汚れることも気にせずに、大の大人が車を使ってこれだけ楽しく遊んでいる。仕事で遊べるという非現実空間がすごいと思いました。基本は、車ってぶつけたらダメなんですよ。僕らレーサーも、車はぶつかることがあっても、ぶつけることはないんです。こんなことをこの規模でバカ真面目にやってしまうという(笑)。本当にすごいことを経験させてもらったなと思います。
――確かにレーサーは基本的に車をぶつけないように心掛けるのだと思います。そういう意味では、真逆のことを要求されるのが『戦闘車』ですよね。脇阪さんはシーズン1から出演されていますが、オファーを初めて受けたときはどう感じましたか? 正直、抵抗はありましたか?
バリバリ抵抗ありますよ(笑)。でも、昔から『ジャンクSPORTS』で浜田さんに本当にお世話になっているんですね。モータースポーツを盛り上げるのに、あれだけ影響力があった番組で、本当に面白おかしく、おいしく使っていただいて。正直に言うと、土屋さん、亜久里さん、織戸学さんには、僕がオファーしました。織戸さんは二つ返事で「ありがとー!」と飛びつきました(笑)。織戸さんはこういうの好きなんですよ。織戸さんはアウトローで、好き勝手やるところにファンがついているんです。
――土屋さんと鈴木さんは、どうやって口説き落としたんですか?
土屋さんと亜久里さんはNOだったんですけど、テレビ業界が変わってきて、浜田さんが一つのチャレンジとしてやられているという話をしたときに「そういうことなら俺たちも協力するよ」と参加してくださいました。浜田さんがおられたので。僕たちは今までお世話になった部分を、いくら自分たちのイメージが多少悪くなったところで、これは「お返し」したいなということで、参加させていただいたんです。
やっぱり現場でも、浜田さんが亜久里さんと土屋さんに対してきちっと配慮いただいて。2日間ロケをしたんですけど、初日が終わったら、亜久里さんも土屋さんもニコニコ笑っていました。その日の晩に、レーシングドライバー4人でご飯を食べたんですけど、「寿一、本当に楽しい番組に呼んでくれて、ありがとう」という形になりました。
――浜田さんに対する「恩返し」の思いが強かったと。
「恩返し」という思いも強かったですし、ちょっと形は違えど、若者やいろいろな方々に、車の楽しさ、素晴らしさを伝えたい。子どもたちの車離れとか言われてますけど、その層の人たちに見ていただける、車を意識してもらう一つのきっかけにもなる。いろいろなリスクはあるんですけど、いい番組を作りたい、車で楽しいことをしたいという、究極的な思惑は同じなので。そういう部分では、本当に感謝しながら参加させてもらいました。