「片づけるとお金が貯まる」とよく言いますが、その効果がいちばんあらわれやすいのが冷蔵庫です。冷蔵庫の中を整理すると、ほぼ確実に食費が減ります。しかも、クローゼットや下駄箱の中を片づけるよりも短時間で作業が終わり、効果も実感することが可能です。

今回は、冷蔵庫の中の整理整頓→食費ダウン→貯蓄アップのゴールデンルートを解説します。

冷蔵庫の整理で食品ロスとダブリ買いがなくなる

冷蔵庫の中を整理して、お金が貯まる理由はおもに2つ。

1つめは食品ロスがなくなること。そもそも整理する必要があるのは、詰め込みすぎの冷蔵庫です。詰め込み過ぎだと、庫内の見通しが悪くなり、どこに何があるかわかりにくくなります。その結果、存在を忘れられた食品が出ることに。賞味期限切れの焼肉のたれ、消費期限切れの油揚げ、野菜室で溶けかかったきゅうり、冷凍室で冷凍焼けした肉……など。心当たりがある人も多いのではないでしょうか?これらは当然捨てることになります。

お金を出して買ったものを捨てるのは、お金を捨てるのと同じこと。お金を捨てていたら、お金が貯まるわけがありません。言い換えれば、食品ロスを減らすことで、貯蓄にまわせるお金が増えるというわけです。

冷蔵庫の中を整理して、お金が貯まる2つめの理由は、ダブリ買いがなくなること。「ないと思って買ったチューブ入りわさびがドアポケットの底にあった」というようなことがなくなります。余計なものを買わないことで、やはり貯蓄にまわせるお金を増やすことができるというわけです。

「食品ロス」のメモを作ろう

食品ロスを減らすのに効果があるのが、捨てた食材を書き出す「食品ロスメモ」。食材を捨てた際に、食材名、分量、だいたいの値段を紙に書きます。 たとえば、

・豚ひき肉 1/2パック 120円
・きゅうり1本 50円
・ドレッシング1/4本 65円

など。このメモを冷蔵庫に貼っておけば、冷蔵庫を開けるたびに目にするので、食品ロスにブレーキがかかる心理的効果に。ロスした食材の1カ月の合計額を出すと、食品ロスの抑制効果はさらに大きくなるはずです。

冷蔵庫収納は「見える化」と「指定席作り」がポイント

お金が貯まる冷蔵庫にするために、庫内を整理するときのポイントは大きく2つ。

1つめは「見える化」。ドアを開けたとき、庫内全体が見渡せるように食材を配置し、入れる量を調整します。食材を棚一段に、奥と手前へ置く場合は、奥に背の高いもの、手前に背の低いものを置き、奥の食材が見えるようにします。

保存容器は半透明か透明のものを使用すると、いちいちフタを開けなくても、中身が見えて便利。冷凍室の場合は、冷凍食品や冷凍保存した肉などを立てて入れると、冷凍室を引き出したときに上から見てすべてが見渡せるのでオススメです。冷蔵室の詰め込みを防止する目安は、どの段も後ろの壁の一部が見えること。壁がまったく見えない場合は、入れ過ぎのシグナルです。

2つめのポイントは「指定席作り」です。買ってきた食材を空いたスペースに適当に入れるのはNG。そのつど、食材ごとにだいたいの指定席を作りましょう。

たとえば、一番上の段はペットボトル飲料や缶ビール、2段目はバター、ジャム、みそ、ビンものなど賞味期限が比較的長い食材。3段目は作りおきおかずなど早めに食べるものなど。チルド室は冷凍しない肉や魚、ハム、豆腐、納豆などを。食材ごとの指定席を作ると、なくなりそうなものがわかるので在庫管理がしやすくなります。「ないと思って買ったら、あった」または、「あると思っていたのに、なかった」ということがなくなります。

どこに何を入れているのかを把握できていると、欲しいものがすぐに見つかるので、ドアを開けている時間が短縮するメリットも。節電にもひと役買います。

冷蔵庫の中の整理はスペースが限られているので、家の中のほかの場所に比べると片づけやすい場所といえます。片づけてスッキリしたうえにお金が貯まるメリットもアリ! 半日もあればできるので、大掃除シーズンになる前にぜひやってみてはいかがでしょうか。

  • 回遊舎

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。