昭和から平成の前半は、新幹線のチケットや航空会社の株主優待券などをお得に入手できるところといえば金券ショップが主流でした。しかし、いまやキャッシュレス決済でポイントが貯められる時代。スマホでサクサクチケットの予約ができるため、金券ショップの存在をすっかり忘れている人も多いのではないでしょうか。世代によっては利用したことがない人もいるかもしれません。

しかし、節約派には根強い人気がある金券ショップ。それはどうしてなのか、どのように活用するとお得なのか、令和時代の金券ショップ活用法を考えてみましょう。

そもそも金券ショップって何?

金券ショップとは、その名の通り商品券などの金券や鉄道の乗車券(主に回数券)を売買する古物商。かつては鉄道会社の回数券のバラ売りや航空会社の株主優待券、商品券やギフト券、コンサートやプロスポーツチケットの委託販売を行う存在感のある店舗でした。

しかし交通関連はインターネットでの予約や割引サービスが拡充され、イベントチケットは基本的に転売禁止となり、かつてより魅力が薄れています。とはいえ、一般的な普通預金金利は0.001%、クレジットカード還元率の主流は0.5%の現在ですから、節約を意識するならば、たとえ数%であっても上手に使えばお得ということになります。

いまも昔も定番は新幹線回数券と航空会社の株主優待券

金券ショップの定番商品といえば、新幹線の回数券と航空会社の株主優待券。それらをはじめ、金券ショップで人気の商品をまとめたのが下表です。

現在では、航空会社はもちろん東海道新幹線でも早期予約することで各社のサイトやアプリから割引チケットを入手することができます。ただし、東海道新幹線では割引対象が限られていますし、日程が迫ると定価で購入するほかありません。そんなとき、お得にチケットを購入できるのが金券ショップです。

東京では新橋や新宿、神田、大阪では梅田、難波といった会社員が多く利用する駅周辺に店舗が多いのは、出張する会社員が主な利用者だからです。ちなみに新幹線の回数券は繁忙期に利用できませんが、航空会社の株主優待券は年末年始でも利用可能ですから旅行や帰省でも利用価値は大いにあります。

カード会社のギフト券は、クレジットカードのポイント還元率が0.5%ならば多少有利になりますが、最近はキャンペーンなども多く差がわずかなので利用には慎重な損得勘定が必要です。それに対して、全国の大手ファミリーレストラン、ファストフードなどで使える全国共通お食事券・ジェフグルメカードは、使用期限がなく5%程度の割引で購入できるため使いやすいと人気が高く、また飲食系企業の株主優待券も注目の存在です。

たとえば、人気の日本マクドナルドの株主優待券はバーガー券+サイドメニュー券+ドリンク券の3枚が1セット。それぞれのカテゴリーの中から好きな商品を選んで引き換えることができ、切り離して使うことも可能です。バーガーはバリューセットのメインに選べる商品ならどれでもOK、ドリンクのサイズも自由なので、選び方によったらかなりお得に使うことができます。

株主優待券はお得な金額になっているものが多いので、よく利用する店舗が株主優待券を発行している場合はチェックしてみるといいでしょう。

表には入っていませんが、東京ディズニーリゾートの株主優待券やパークチケットを取り扱っているショップもあります。定価との価格差はわずかな場合がほとんどですが、少しでも節約したいという人はチェックしてみてもよいでしょう。

これからの時期は、消費増税ではがき代がアップした年賀状も注目アイテムです。今年の価格動向はまだわかりませんが、金券ショップで買えば消費増税分をカバーできる可能性は大きいです。

金券ショップを利用するときの注意点は?

金券ショップでは、買取と販売のわずかな差益で利益を上げるため、クレジットカードは使えないことがほとんどです。また、価格は需給や在庫状況によって変わるため、店舗ごとに日々異なります。最近はネットショップもありますが、送料を考えるとお得にならないこともありますし、店頭で購入する場合もわざわざ足を運ぶと交通費代がかかりますから注意が必要です。

金券ショップは購入だけでなく、買取で利用するという方法もあります。もらったのに使っていないギフト券、使う予定のない株主優待券など、自分で購入したものでないとうっかり期限切れにしてしまうことがあります。換金できるものは見逃さないことも、節約のひとつの方法です。まずは金券ショップのオンライン店やショップの店頭で、どんなものがいくらで販売されているのかを知り、自分の日常に取り入れられるお得を探してみましょう。

  • 鈴木弥生

鈴木弥生

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。