10年後のキャラクターたち

  • 『カナエルケシキ』

――曲のセレクトはどのようにしていきましたか?

私の「この曲を入れたいな」という意見と、これまで関わってくださったスタッフさんの「この曲は絶対に入れたほうがいいよ!」という意見を合わせて決めていきました。

――2枚組というボリューミーなベストアルバムですが、Disc2にはご自身が演じられたキャラクターのキャラクターソングも収録されていますね。

先ほどお話したTVアニメ『大正野球娘。』の挿入歌「パイノパイノパイ(東京節)」を含めて4曲収録しています。うち3曲はRearrange Ver.として新たにレコーディングもさせていただきました!

――Rearrange Ver.としてアルバムに収録されているのは、『宙のまにまに』明野美星、『しゅごキャラ!』』日奈森あむ、『花咲くいろは』松前緒花のキャラクターソング。

これまで色々なキャラクターを演じ、キャラクターソングも歌わせていただいたので、どの楽曲にするかとっても悩みましたが、この3人にしました。Rearrange Ver.のレコーディングでは、自身の10周年と絡めて、それぞれのキャラクターが10年経ったらどんな成長をしているのか、というテーマで考えました。それぞれのキャラクターの10年後を想像しながら歌ったので、きっとマイク前の立ち姿も全然違ったんじゃないかな。でも、キャラクターたちの10年後を考えていたらなんだか嬉しくなっちゃって! ずっと泣きそうでした(笑)。

――泣きそうになるくらいキャラクターを大切にされているということが伝わってきました! ちなみに、どんな想像をしていましたか。

美星ちゃんは星のことが大好きだから、星にまつわるお仕事、例えばプラネタリウムとかで子供たちに自分の大好きな星のことを優しく教えてくれる子になっていたらなって想像していました。そういう絵も浮かんできちゃって、「トキメキ座流星群☆」のレコーディング時はとても幸せな気持ちになりましたね。あむちゃんは小学生だったので、10年後も20~22歳くらい。まだ大学生かなと考えるときっと自分のやりたいことを見つけて選んでいく段階なんだろうなと思います。ただ、彼女に関してはどんな子に育ったのか考えるのが難しかったです。

――それはどういった理由から?

あむちゃんはクールにみられがちだけれども、実は恥ずかしがりやで可愛いものが好きという内面のギャップに悩んでいる子。そんな子が強く育つのか、それともより優しくなって色々な子に寄り添えるようになっているのか、どっちなんだろうと悩んじゃって。

――「これ!」という答えがあるわけではないですもんね。

そうなんです。ただ、そうやって悩みながらレコーディングしたっていうのも何だかあむちゃんらしいかなって。あとは、どんな方向性に育っていても、明るく真っすぐに、すごく前向きではあるんだろうなという想いで「君のBirthday」を歌わせていただきました。

――『花咲くいろは』の松前緒花はいかがですか?

緒花ちゃんは最初の頃、流されやすくて「ふにゃ」ってなっちゃう子でした。ただ、物語が進むにつれて、人を引っ張ったりまとめたりして信頼されているおばあちゃん(四十万スイ)のようになりたいって思うようになったんですよね。彼女自身がそう言葉にもしていたので、人を引っ張っていけるような、強い子になっていたらいいなと思い、「空に近い場所」は力強く歌わせていただきました。

――もしかしたら、彼女もおばあちゃんと同じく女将さんになっているかもしれませんね。

だとしたらすごいですよね! アニメの一話では「なるようになればいい」みたいな子がそこまで考えて行動するようになっていたら、感動しちゃいます!

――伊藤さんがこれほどキャラクターへ思い入れを持ってくださっていることが嬉しい方々は多いと思います。

そう言っていただけると私も嬉しいです。

――私もいままさにエモさを感じています。

エモい! これがエモいってやつなんですね(笑)。