NHKの大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(毎週日曜20:00~)で、五りんこと小松金治役を好演している神木隆之介を直撃。10月13日に放送された第39回では、五りんと師匠の志ん生(ビートたけし)をつなぐ知られざるエピソードが明かされる感動の回となった。

脳出血を起こすも、一命を取りとめた志ん生(ビートたけし)は、戦争中に満州へ、兵士たちの慰問興行に行った時の秘話を五りんに明かす。実は、志ん生こと孝蔵(森山未來)は、満州で五りんの父親、小松勝(仲野太賀)と出会っていたのだ!

  • 神木隆之介

    『いだてん~東京オリムピック噺~』で五りんこと小松金治役を演じている神木隆之介

――五りんの父親が、仲野太賀さん演じる小松勝だと知った時の感想から聞かせてください。

太賀か! マジか! と思いました。太賀とは『桐島、部活やめるってよ』(12)などで共演していますが、太賀をお父さんと呼ぶのかと(苦笑)。もちろん、時代が違うから直接会うことはないのですが、もしどこかで会ったら「お父さん」と言わないといけないんだなと。

――太賀さんとは同い年だから、違和感はありますか?

やっぱり同級生が父親役だと不思議な雰囲気だし、複雑です。実は『平清盛』(12)でも、同い年の武井咲さんを「母上」と呼ばなければいけなくて。彼女は12月生まれで僕は5月生まれなので、年下なんです。もちろん芝居ですから疑問は覚えませんが、なんだかなあと思いながら演じていました。

もちろん太賀が父親役で、うれしさも半分あります。ただ、太賀のことを知らなかったらまだいいんですが、親近感がありすぎたので「ええ! この人がお父さん!?」となりました。

――五りんは、金栗四三さん(中村勘九郎)と同じく水を浴びるシーンがあったので、てっきり金栗さんと血縁関係があると思っていました。

僕も、最初は金栗さんの血が入っていると思っていました。でも、実は早くに伏線が張ってあったんです。第1回では、何も知らないまま入っていますが、父親から母親にあてたはがきの宛名に「小松」とあって。ああ、名字は小松なんだと思ってはいたんですが、それほど重要視はしてなかったです。

水を被るシーンも「金栗さんの映像を見ますか?」と聞かれて「じゃあ、観ます」というやりとりがあったので、やっぱり父親は金栗さんだと思うわけですよ。まあ、狙いどおりといえば狙いどおりですよね。僕も金栗さんをイメージしながら水浴びをやっていましたから、余計に驚きました。

  • 神木隆之介

――落語をするシーンには、どんな気持ちで挑まれたのですか?

最初に五りんは「落語に興味がない」と聞いていたので、落語はやらないものだと安心してたのですが、やることになって。個人的にはいっぱいいっぱいなので、一生懸命やっています。五りんは、みんなに話しながらも、自分に聞かせているようなスタンスなので、観てくださっている方と一緒に「ああ、そうなんだ。こういう歴史なんだ。こういう関係性なんだ」と、自分自身も知っていくキャラクターだなと思いました。

――楽しそうにやっていらっしゃる印象を受けます。

実際に、芝居でも笑ってくれるとすごくうれしいです。反応してくれると、こちらものってくるというか。お芝居だとしても、楽しさや結束感などを共有できているという実感はすごくあるので、楽しくやらせていただいています。

――改めて、落語の魅力や難しさをどう感じましたか?

普通に話すことだけでも難しいのに、話だけで人の気持ちを動かせるなんてすごいことです。ましてや何十人、いや何百人というテレビの向こうの人たちも楽しませてくれる落語家のみなさんは素敵だし、すばらしいと思います。この先もずっと残ってもらいたい、日本が誇れる伝統芸能の1つだと思います。2020年は、海外の方もたくさん来られると思うので、ぜひ落語を聞いてもらいたいです。また、そんな世界に誇れる芸能を、五りん役で体験できたことは、本当に幸せなことだなと思いました。

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■プロフィール
神木隆之介(かみき・りゅうのすけ)
1993年5月19日生まれ、埼玉県出身の俳優。1999年、テレビドラマ『グッドニュース』でドラマデビュー。2005年、映画『妖怪大戦争』で主演を務め、日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。近年の主な出演映画は『3月のライオン 前編/後編』(17)、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(17)、『フォルトゥナの瞳』(19)、『屍人荘の殺人』(12月13日公開)『ラストレター』(20年1月17日公開)。また、『君の名は。』(16)や『メアリと魔女の花』(17)では声の出演も。ドラマは『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』(18)や『集団左遷!! 』(19)などに出演。

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