野村不動産は11月1日より、小規模オフィスサービス「H1O(エイチワンオー)日本橋室町」を開業する。同施設を見学してきたので、紹介したい。

  • H1O(エイチワンオー)日本橋室町

オフィス環境がパフォーマンスを変える

同サービスは、従業員10人未満のスタートアップ企業、ベンチャー企業に対して専有オフィスを提供する取り組みで、野村不動産が手がけるサービスオフィス事業。これは、スモールビジネスの成長支援と、利用者のwell-beingな職場環境を実現し、業務パフォーマンスを最大化することだという。

似たサービスで「コワーキングスペース」があるが、これは場のシェアでコミュニティが重視されているが、サービスオフィスは占有契約による「個室」により価値を置くところが違うと、同社の常務執行役員 都市開発事業本部長 黒川洋氏は話す。

  • 野村不動産 常務執行役員 都市開発事業本部長 黒川洋氏

エイチワンオーの4つの特徴

同施設には4つの特徴があり、「個室空間」「ABW(Activity Based Working)可能な共用ラウンジ」「有人レセプションサービス」「最新テクノロジー搭載」となる。

オフィス利用となる個室空間は、1区画の平均約20平方m(4~6名利用)、最小で約5平方m(~2名利用)、最大で約40平方m(8~13名利用)となり、最短3カ月~の利用が可能となる。また間仕切り壁の撤去が可能なので、事業の成長に伴い部屋を拡張利用することも可能となる。

なお空調は全体空調でなく、部屋ごとの個別空調となるので、入居者の好みで空調設定ができる。

  • 個室空間へ続く廊下

  • 定員2名利用でのイメージ

  • 定員3名利用でのイメージ

  • 定員7名利用でのイメージ

また打ち合わせやリフレッシュ時に利用できる共用ラウンジは24時間、365日利用可能で、食事利用もできるそうだ。なお軽食はいつでも取れ、においのある食べ物は時間を制限している。

コワーキングスペースの場合、こうした共用ラウンジを外部貸し出しすることで、セキュリティ面に不安を感じる利用者もいるそうだが、同施設は入居者のみの利用となるのでセキュア環境が担保されるそうだ。

  • 24時間、365日利用可能な共用ラウンジ

なお入居者が利用できる会議室は8名用、6名用、4名用の3つと、1~2名で使える「集中ルーム」が1つあり、15分単位で予約利用でき、利用するたびの精算となる。もちろん、ラウンジ同様、入居者のみの利用で外部利用は不可となる。また、会議室ごとに雰囲気を変えているという。

  • 8名利用の会議室

  • 6名利用の会議室

有人によるレセプションサービス

そして有人レセプションには、平日の9~18時は受付スタッフが常駐し、来客の取り次ぎ、不在時の宅配物の受け取り、会議室への案内、ティーサーブなど対応する。

  • 有人レセプションで各種対応を行う

なお郵便物に関しては、1日2回、受付スタッフが建物の郵便ボックスから回収し、それを個別の郵便ポストに投函するという。

  • 入居者用の個別郵便ポスト

顔認証システムがキーレスを実現

個室空間の空調や照明はIoTテクノロジーにより、スマホなどで遠隔操作が可能。また、共用ラウンジやトイレの混雑状況も確認できる。そして生体認証システムにより、建物入り口から占有部屋への出入りは「顔認証」「指紋認証」で、完全キーレスの高セキュリティを実現しているという。

  • 顔認証システム

なお社員証やスイカなど交通系ICとの併用も可能となる。

  • 共用の複合機

賃料は占有部分の坪単価で8~10万円を超える程度で、共有部分や会議室などの利用、受付サービスを含めるとお得感があるのでは? と黒川氏は話す。なお、2024年までに、都内を中心とした15拠点のオープンが予定され、地方を含めたそれ以外もニーズを確認しながら拡大するそうだ。


野村不動産は「働く人の気持ち」を重要な要素とした、ヒューマンファーストをサービスのキーワードとして掲げている。職場環境によるモチベーションの変化は、最近ではワーケーションなど多様な働き方にもつながっている。

働き方改革というと、残業時間の抑制に注視しがちだが、職場環境の変化による労働生産性向上も大事な取り組み。働き方だけでなく、職場環境も多様な在り方を考えるべきなのだろう。