社会人になると、毎日多くのビジネス文書に触れ、自分でも作成しなければならないことがあります。そんな時、「拝啓」とは書いてはみたものの、次にどんな言葉で続ければいいのか、迷う人も多いのではないでしょうか。

  • 「ご厚誼」の正しい使い方を理解していますか?(写真:マイナビニュース)

    「ご厚誼」の正しい使い方を理解していますか?

そこで今回は、ビジネス文書の決まり文句「ご厚誼」について解説します。

「ご厚誼」の意味

厚誼【こうぎ】という言葉は、心遣いが厚いことを示す【厚】と、「よしみ」「以前からの親しい関係」といった意味を持つ【誼】で構成されており、その意味は、「情愛のこもった親しい付き合い」「厚いよしみ」です。

また、実際に使用する場合には、敬意を表す接頭語【ご】を付けて「ご厚誼」とするのが一般的で、取引先や目上の人に対し、ご厚誼(親しいお付き合い)をお願いしたり、ご厚誼に対する感謝を伝えたりする場合に使用します。

「ご厚誼」と「ご交誼」の違い

ご交誼も【ごこうぎ】と読みます。交誼という言葉は、交際や親交など「人付き合い」を意味する【交】と、「よしみ」「以前からの親しい関係」といった意味を持つ【誼】で構成されており、その意味は、「心の通い合った親しい付き合い」です。

つまり交誼は、親しい間柄にある人との交流を指す言葉であることから、親しい友人や同僚など、自分と対等な立場にある人に向けて使用する言葉になります。

ご厚誼・ご交誼ともに、敬意を表す接頭語【ご】が付いているため、どちらも目上の人に対して用いるものと思われがちですが、そうとは限りません。

例えば、親しい友人との会話の中で「おまえ、相変わらずバカだなぁ」と言うのは構わないと思いますが、「部長は相変わらずおバカでございますね」はどうでしょうか。いくら丁寧な用語を付け足したところで、失礼であることに変わりはありませんね。

「交誼」のように、元の意味が目上の人に相応しくない場合には、目上の人には使わないのが鉄則です。

ご厚誼は目上の人に、ご交誼は対等な立場の人に使用するという違いをしっかりと抑えて、相手に応じて正しく使い分けるようにしましょう。

「ご厚誼」「ご交誼」の使い方と例文

ご厚誼とご交誼の違いは、相手が目上の人か対等な立場の人かにありました。つまり、使う相手が違うだけであって、基本的に使い方は同じなのです。

いずれも格式張った表現であるため、冠婚葬祭や記念式典など、何か特別なスピーチで使うことはあっても、会話の中で用いることはほとんどありません。基本的には、年賀状や挨拶状、ビジネス文書など、書き言葉として使用されます。実際にどのような使い方をするのか、例文とともに見ていきましょう。

(取引先や目上の人へ)

  • 日頃のご厚誼に厚く御礼申し上げます。
  • 今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  • 在職中のご厚誼に対し、心より感謝申し上げます。
  • ご厚誼を賜りましたことに心より感謝申し上げます。

(友人や同僚へ)

  • 今後とも変わらぬご交誼の程よろしくお願いいたします。
  • 末永くご交誼を賜りますようお願いいたします。
  • 生前のご交誼に対し、故人に代わりまして心より御礼申し上げます。
  • 昨年は、ご交誼賜りまして大変ありがとうございました。

「ご厚情」とは

ご厚誼やご交誼と読み方は違うものの、ビジネス文書等でよく使われる言葉に「ご厚情」というものがあります。

ご厚情は【ごこうじょう】と読みます。文字通り「厚い情けをかける」という意味で、深い思いやりや親切な気持ちを指しています。そのため、特に精神的に支えてくれた目上の人からの思いやりに対し、感謝の気持ちを示したい場合に用いる言葉です。

こちらも、ご厚誼やご交誼と似た言葉ではありますが、意味の違いに注意して使用しましょう。

  • 旧年中は並々ならぬご厚情を賜り心より御礼申し上げます。
  • これも皆さまのご厚情の賜物と、従業員一同心より感謝申し上げます。
  • 一方ならぬご厚情を賜り、誠にありがとうございます。

まとめ

ご厚誼は、目上の人との「情愛のこもった親しい付き合い」「厚いよしみ」
ご交誼は、友人(上限関係のない相手)との「心の通った親しい付き合い」
ご厚情は、目上の人からの「思いやりや情け」

ビジネス文書の書き出しに用いられる言葉には、ご高配・ご清栄・ご繁栄・ご愛顧など、ほかにも多数存在します。文頭にどんな言葉を置くべきか、迷う人も多いでしょう。

しかしながら、漢字一字の違いであっても、それぞれに意味があり、相手や状況に応じて使い分けなければなりません。その時々の気分で何気なく選ぶのではなく、それぞれの意味を理解した上で、適切に選ぶよう心がけたいものですね。