PayPayがサービス開始1周年となる10月5日に、1日限定の還元キャンペーン「PayPay感謝デー」を開催すると発表した。

PayPay全ユーザーが対象で、実店舗でのPayPay決済に対して20%を還元。同時に、50回に1回の確率で全額を還元する「感謝デー限定PayPayチャンス」も実施する。

9月13日に開催された同社の発表会で、中山一郎社長は、この1年間の利用に感謝するとともに、今後PayPayは「多機能なスーパーアプリになる」と話し、さまざまなサービスに連結する決済プラットフォームへの意気込みを語った。

  • 10月5日はPayPay感謝デー!全額還元も

    1日限定で、最大10万円を還元するPayPay感謝デーを実施

スマートフォンを使ったコード決済サービスのPayPayがサービスを開始したのは2018年10月5日。12月には20%還元によって100億円を費やした「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施して知名度を高め、今年2~5月には第2弾の100億円キャンペーンを行うことで、繰り返しの利用者獲得を目指した。

その結果、決済サービスの認知度としては1番を獲得し、9月13日時点でユーザー数は1,250万人、加盟店申込数は140万カ所、決済回数は累計1.4億回にまで拡大した。

  • 中山一郎社長

中山社長は、「決済回数が一番大事」と指摘。これがユーザーとの関係(エンゲージメント)を意味する数字で、この決済回数が継続して上昇するように施策を打ち出していく意向を示す。エンゲージメントでは、SNSでの投稿も重視。この1年でPayPayへの言及は240万件を超えており、「本音の部分で生々しいコメントをもらえるのは財産、宝物。本当の声はここにある」(中山社長)と重視する。

当初は使える場所が少ないなどの否定的な声が多かったが、最近は前向きな声が増え、「全てユーザーから学んでいる」と中山社長。課題があれば「全社で向き合い課題を解決する」(同)としており、こうした取り組みで「ユーザーと向き合ったサービスにしたい」と意気込む。

「これからも是非、ソーシャル(ネットワーク)を通じて、PayPay、そして私(中山社長)に忌憚のない声を聞かせてもらえれば」(同)。

今回のキャンペーンは、1周年を記念して1日限りで提供するもの。PayPay残高での買い物は20%、Yahoo! JAPANカードは19%を還元する。1回の決済は1,000円相当、1日は5,000円相当が上限だ。50回に1回(2%)の確率で1日10万円相当の全額還元も行う。ほかのクレジットカードでの支払いは対象外だ。

  • 感謝デーの詳細。最大20%の還元に加え、抽選で最大10万円を還元する

同時に大手加盟店ともキャンペーンを実施。ユニクロとは、PayPayでヒートテックを購入するともう1枚が無料になる。日本コカ・コーラとは、「Coke On」アプリへの対応を行い、100円以上のコカ・コーラ製品を対応自販機で買うと毎週100円相当を還元する。

DiDiとのキャンペーンは、9月27日から実施するが、詳細は今月中にDiDiが発表するという。

10月からは消費税増税が行われ、それにともなってキャッシュレス決済に対してポイント還元を行うキャッシュレス・消費者還元事業が政府によって実施される。

これに対してPayPayでは、最大5%の還元事業のポイント(1回最大25,000円、1カ月最大25,000円)に加えて、PayPayも最大5%(1回最大1,000円、1カ月最大25,000円)を還元し、合計して最大10%の還元を行う。 キャッシュレス・消費者還元事業は10月1日から翌年6月30日までの9カ月間実施され、まずはこのキャンペーンを11月30日まで実施。それ以降はさらに別のキャンペーンを用意するという。

中山社長は、日本のキャッシュレスには伸び代があると指摘。さらなる利用拡大に向けて、これまでもさまざまな施策を打ってきた。

加盟店拡大については、ほぼ毎週のように大型チェーンの加盟店獲得を発表してきて、大手ドラッグストアは9割、コンビニエンスストアはほぼ全て、全国5,000店舗以上のスーパーマーケットといったように、全国で大手のチェーン店を加盟店としてきた。中小個店でも、全国20カ所の営業拠点が積極的に加盟店を開拓。商店街への営業にも注力して拡大を図ってきた。

肝心のアプリについては、リリース以来「1週間に1回以上」(中山社長)という60回以上のアップデートを実施。使い勝手の向上に努めた。日本、インド、カナダに開発拠点を設けて、24時間体制で開発を行っていることが、このスピード感に繋がったという。

チャージ方法では、10月以降は銀行口座登録が1分以内に完結する改善を実施。セブン銀行ATMからのチャージでは、「想定以上」(同)の利用頻度だという。利用可能店舗を示すマップ機能も拡充し、さらに「アイデアがいくつもある」(同)ため、さらなる機能向上を図る。

画面をカスタマイズする「きせかえ機能」も「思いのほか関心がある」(同)という意外な人気で、デザイナーも色々なデザインを提供するほか、さまざまな企業とのコラボレーションも提供する。

利用機器の拡大では、Apple Watchの画面にコードを表示して支払いを行うなどの対応を実施。Apple Watchの機能はまだ一部の対応だが、「来年の今ごろはもっと使いやすくなっている」と中山社長は語り、今後の機能拡充を約束する。同社広報によれば、Wear OSを使ったスマートウォッチについては、今後検討していくとしている。

これまで実店舗での加盟店開拓に注力してきた同社だが、オンライン決済への対応も今後力を入れる。6月からはグループのYahoo!ショッピングやヤフオク!、LOHACOでの決済に対応したが、さらなるオンライン決済可能な加盟店を拡大していく考えだ。12日に発表したZOZOTOWN買収が成立すれば、そこでもPayPayの決済に対応したい考え。

公共料金などの支払いが行える請求書払いについては、現時点で東京電力など6サービスのみだが、9月30日には300サービスに対応する、という。

キャッシュレスを利用しない人の多くはセキュリティと使い方が分からないという2つの不安があると中山社長。セキュリティに関しては、不正利用防止、補償制度、相談窓口といった対策を打ち出している。

使い方に関しては、全国のソフトバンクショップでサポートを開始しており、10月以降はソフトバンクユーザー以外もぺいぺいの使い方を説明するサービスを開始する。「ソフトバンクショップで全面的にサポートする」と中山社長は強調する。

こうして利用機会の拡大や不安の解消を図ってきたPayPayだが、今後「単機能の決済アプリではなく、多機能なスーパーアプリを目指す」と中山社長。「スマートフォン上でなんでもできるような機会を提供していきたい」というのが中山社長の考えで、ソフトバンクグループの新しいプラットフォームとして、決済にまつわるさまざまなサービスを連結していきたい考えだ。

現在、トランザクションの拡大に注力して収益は度外視している同社だが、「事業なので収益化は考えている」(同)。これがスーパーアプリ化の戦略で、決済事業としての手数料ビジネスではなく、プラットフォームとしての収益を重視する考えを示している。