東京2020や訪日外国人客の増加もあり、国内主要都市におけるホテルの開業が国内の主要都市で増えている。ホテルの建設ラッシュともいえるなか、グローバルエージェンツが8月、「THE LIVELY(ザ ライブリー) 大阪本町」をオープンした。
同社は「文化創造」をバリューとする企業で、今回開業したホテルをライフスタイルホテルと説明する。従来のホテルと何が違うのだろう、疑問を解消するため行ってみた。
さまざまなパブリックスペース
宿泊客がホテルに着くと、まず行うのはチェックインだろう。多くは入り口からすぐに見える場所にあるが、このホテルのフロントはなんと2階だ。
では1階はどうなっているのか? と見回すと「THE LIVELY KITCHEN」というデリカテッセンとテラス席などのパブリックスペースや、なぜかDJブースが目に入る。
DJブースが常設されたり、フロントが2階にあったりするなど、通常のホテルとは違うようだが、なぜこんな構造にしているのだろう? その理由を聞いてみた。
ホテルは生活する場所以上の「場所」
グローバルエージェンツの代表取締役である山崎剛氏は「このホテルは人が集まる場作り、生活する場所以上の『場所』。様々な人間が集まり交流してもらうため、客室数を減らしてもパブリックスペースを充実させています」と話す。
従来のホテルのようにフロントを1階に置くと、2階にあるパブリックスペースに人が寄らない可能性がある。それを避けるため、宿泊客には多少不便でも2階に配置し、1、2階にあるパブリックスペースを楽しみながらコミュニケーションしてもらいたいのだと言う。
また、「人の溜まり」を作るためのきっかけとして、DJブースの常設やホテル内のBGMをDJ KOMORIによるオリジナル曲とするなど、音楽にもこだわっているそうだ。
同社のメイン事業はソーシャルアパートメントの開発・運営。ソーシャルアパートメントとは、建物内にラウンジやキッチン等の交流スペースを設け、住人同士の自発的な交流を誘発した住居形態を指す。プライベートな場である自分の部屋、共用部であるパブリックスペースという組み合わせと、場作りという考え方はホテルも変わらないそうだ。
ライフスタイルに合わせ、滞在中の仕事や遊びで自由に利用できる場所、それがライフスタイルホテルだと山崎氏は説明する。
続いて、パブリックスペース以外の場所も見てみよう。
最上階のバーとテラスで夜景を楽しむ
最上階となる14階には「THE LIVELY BAR」があり、オリジナルのシグニチャーカクテルなど各種アルコールを楽しむことができる。
また吹き抜けの階段を上がり、ルーフトップテラス「THE ROOF」で夜景を眺めながら歓談することも可能。
ライティングを凝らした客室
客室は全部で174あり、ライティングを計算した間接照明で非日常空間を感じることができるという。部屋は5タイプで、「スタンダードダブル」(12,000円)「スーペリアダブル」(13,000円)「スーペリアツイン」(16,000円)「スーペリアツイン&バンク」(26,000円)「プレミアキング」(20,000円)が用意されている。
スタンダードダブル、スーペリアダブルはともにダブルベッドを備えた部屋で、スタンダードダブルが17平方メートル、スーペリアダブルは20平方メートルとコンパクトな広さだが、カーテンを使うことで部屋の圧迫感を減らして開放感を出し、居住性を高めているという。
またグループやファミリー利用に最適なスーペリアツイン&バンクは、ツインベッドと2段ベッドを備えている。
対面ソファのあるリビングエリアがあり、洗面が2つあるのも宿泊客にはうれしい配慮。チェックアウト前の朝など、バタバタする時に重宝するだろう。
キングサイズベッドと二面採光がポイント
角部屋となるプレミアキングは180センチのキングサイズベッドと解放的な二面採光が特徴。ソファエリア、デスクエリアも充実し、このタイプだけバスタブが付いているので、バスタイムをゆったりと過ごせる。
※他の部屋はシャワールームのみ
そして手に取りやすいアメニティの配置や、備え付けの歯ブラシを他の人のものと混同しないよう色を変えたり、バスローブにフードが付いたりするなど、宿泊客の利便性を細かく考えているそうだ。
人と情報と機会が集まる場所
山崎氏はライフスタイルホテルは「人と情報と機会が集まる場所」だと話す。だからこそ、ホテル内のパブリックスペースを宿泊客が自由に利用したり、滞在期間の昼間にコワーキングスペースとして2階にあるバンケットスペース「LIVERALLY」を無料で使ったりできるようにしたのだそう。
山崎氏「ライフスタイルホテルは、コンシェルジュがいたり、部屋まで荷物を運んだりするフルサービスホテルや、宿泊だけに限定したホテルとは違います。我々はコミュニケーションを『サービス』として提供し、それがライフスタイルホテルと他との違いなのです」。
6月に宿泊予約を開始、8月17日よりオープン。宿泊客の1/3が日本人でそれ以外はアジアや英語圏を中心とする外国人観光客だという。
多様性が求められる社会において、コミュニケーションを軸にスペースを自由に利用できるというコンセプトは、国外の旅行客を中心に賛同されているようだ。
※料金はシーズン曜日により変動