近畿日本鉄道は23日、賢島駅にて志摩線開通90周年記念式典を実施した。式典の中で「復刻塗装車両&神都バス撮影会ツアー」列車の出発式も行われ、賢島駅や沿線に多くの鉄道ファンらが集まった。

  • 志摩線開通90周年を記念し、1440系に三重交通志摩線時代の塗装が施された(写真:マイナビニュース)

    志摩線開通90周年を記念し、1440系1編成(2両編成)に三重交通志摩線時代の塗装が施された

いまから90年前の1929(昭和4)年7月23日、近鉄志摩線の前身である志摩電気鉄道(鳥羽~真珠港間)が開業。1944(昭和19)年に神都交通が志摩電気鉄道を合併し、同線は三重交通志摩線として運行された。現在の近鉄志摩線になったのは1965(昭和40)年のこと。5年後の1970(昭和45)年、近鉄難波駅(現・大阪難波駅)および近鉄名古屋駅から賢島駅まで結ぶ直通特急列車がデビューした。

近鉄は今回、志摩線開通90周年を記念したさまざまな企画を実施する。その一環で、三重交通志摩線時代の塗装を再現した復刻塗装列車を運行することになった。ちなみに、この復刻塗装は三重交通で現在運行されている「神都バス」と同色だという。当日は復刻塗装車両を利用した「復刻塗装車両&神都バス撮影会ツアー」も開催された。

  • 復刻塗装車両はシンプルなクリーム色と緑色の組み合わせ

  • 偶然にも現行塗装と復刻塗装の1440系が並んだ

  • イベント当日、「復刻塗装車両&神都バス撮影会ツアー」も開催された

  • 発車前に方向幕が「貸切」に変更される

多くのファンらが待ち構える中、復刻塗装となった2両編成の1440系(1438・1538)が賢島駅4番線に入線した。塗装はシンプルなクリーム色と緑色の組み合わせ。偶然にも現行塗装の1440系と並んだが、塗装が大きく異なるせいもあってか、同形式には見えない。今後、さまざまな形式との連結も考えられるだけに、復刻塗装車両を見るのは楽しいものになるだろう。

記念式典では主催者を代表し、近鉄鳥羽駅長の瀬川克典氏が挨拶。「志摩線は鳥羽駅から賢島駅の間、風光明媚な伊勢志摩国立公園を通る路線です。沿線周辺には志摩スペイン村、伊勢志摩サミットの舞台となった賢島があり、伊勢志摩は近鉄にとっても重要な観光地であります」と近鉄における志摩線の重要性を説明した。続いて志摩市産業振興部長の濵野由人氏が志摩市長の祝辞を代読。志摩線の貢献をたたえ、志摩の観光地と同線の主要駅を結ぶ二次交通の利便性を高める次世代の移動サービス「MaaS(マース)」の構築に言及した。

  • 記念式典で挨拶する近鉄鳥羽駅長の瀬川克典氏。3番線には「伊勢志摩ライナー」が停車中

  • 志摩市産業振興部長、濵野由人氏は挨拶の中で「MaaS(マース)」の構築に言及した

  • 関係者と志摩市PRキャラクター「しまこさん」によるくす玉開花

  • 復刻塗装車両は鳥羽駅長の出発合図で発車。宇治山田駅へ向かった

12時5分、ツアー客を乗せた復刻塗装車両は関係者らが見送る中、賢島駅を発車し、宇治山田駅へ向かった。1440系の復刻塗装車両は当分の間、近鉄名古屋~賢島間を主体に運行され、大阪線にも入線する可能性があるとのことだった。