7月期の夏ドラマが、続々とスタートする。従来のリアルタイム視聴率ではなく、“視聴者満足度”を研究してきた「テレビ視聴しつ」の室長であり、テレビドラマの脚本家や監督、音楽などの制作スタッフに精通している自称ドラママニアが、過去作や放送枠の満足度に焦点をあてながらこの夏注目のドラマを紹介する。
■高満足度間違いなしの森下佳子脚本
大沢たかお主演『JIN-仁-』(09・11年、TBS)や、内野聖陽主演『とんび』(13年、TBS)、佐藤健主演『天皇の料理番』(15年、TBS)、杏主演の朝ドラ『ごちそうさん』(13~14年、NHK)、昨年は綾瀬はるか主演の『義母と娘のブルース』(TBS)と、数々のヒットドラマを手掛けてきた脚本家・森下佳子氏の最新作が、桜井ユキ主演『だから私は推しました』(NHK 27日スタート、毎週土曜23:30~)。
『義母と娘のブルース』は満足度4.29(5段階評価、「テレビ視聴しつ」調べ)と、年間2位の高数値を記録しており、データが残る13年以降の森下作品の平均満足度は3.95と、高満足度の基準3.7を上回るハイアベレージだ。唯一高満足度を獲得できなかった作品の『わたしを離さないで』(満足度3.58)も、クローン人間を扱った英国のヒットSF小説をベースにした難しいテーマだっただけに多くの支持は得られなかったが、舞台を日本に置き換えても全く非現実的ではないリアルなヒューマンドラマに仕上げていた。
今回放送されるNHK「よるドラ」は、1月期に『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』、前クールにも『腐女子、うっかりゲイに告る。』と、キャッチーなタイトルに負けないチャレンジングな人間ドラマが続いており、今密かに注目度の高い枠。高満足間違いなしの脚本家と注目度の高い枠とで、どんな新しい人間ドラマが見られるのか楽しみだ。
■『翔んで埼玉』『電車男』『のだめ』の武内英樹監督
今年大ヒットを記録した二階堂ふみ主演の映画『翔んで埼玉』や、阿部寛主演の人気シリーズ『テルマエ・ロマエ』、テレビドラマでは伊藤淳史主演『電車男』(05年)、上野樹里主演『のだめカンタービレ』(06年)、杏主演『デート~恋とはどんなものかしら~』(15年、いずれもフジテレビ)など、いずれも “ハイテンション”な作風の武内英樹監督が手掛けるのが、深田恭子主演の『ルパンの娘』(フジ系 11日スタート、毎週木曜22:00~)。
今回は監督、脚本、プロデューサー、音楽、衣装デザインまで、『翔んで埼玉』のスタッフが集結しており、映画同様キャスティングも個性豊か。主演の深田や瀬戸康史、渡部篤郎のほかに、小沢真珠、栗原類、マルシア、藤岡弘、、麿赤児、『カメラを止めるな!』で注目を集めたどんぐりなど、一体どんな仕上がりになっているのか。出演者を眺めただけでもワクワクしてくる。
そして、脚本の徳永友一氏は、昨年の満足度トップだった『グッド・ドクター』をはじめ、北川景子主演『探偵の探偵』(15年)や、中島裕翔主演『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(16年)、『海月姫』(18年、いずれもフジ)など、原作付きドラマの巧手で前期『ストロベリーナイト・サーガ』に続く“木曜劇場”を連投。今回も、原作ファン納得の作品に仕上がっているに違いない。