人気YouTuber「ぶんけい」さんが自身が経営するトウメイモードの事業に専念する決意を固めた。本稿では、経営者としてのぶんけいさんに話を聞く。

  • パオパオチャンネルぶんけいが選んだYouTuberとは別の道とは?

    人気YouTuberのぶんけいさん

多くのファンが衝撃を受けた今回の発表。ぶんけいさんの今後の動向に注目している方は多いだろう。そこで本稿では、経営者としてのぶんけいさんにフォーカスし、トウメイモードの今後について伺った。なお今回の取材の中で、トウメイモードが事業内容を拡充し、新たに社員を募集することがわかった。このあたりも詳しく紹介していきたい。

トウメイモードってどんな会社?

まずは、これまで運営してきたトウメイモードの設立について聞いた。ぶんけいさんによると、京都の大学で映像を学んでいたが3年生の時に同級生らと会社を設立したとのこと。同級生1名、後輩1名とともに2015年に設立を決め、2017年に実行に移したそうだ。「未熟ながらも、自身の可能性を100%使いたかった。100%の自分を出すにはどうすればいいのか。その答えが会社を作ることだった」という。

当時はMV(ミュージックビデオ)が注目され始めた時期で、大手の事務所に所属するアーティストだけではなく、様々なジャンルのインディーズバンドなども制作しており「これから普及するはず」とニーズを感じたそう。そのタイミングにMVを制作する会社「トウメイモード」を設立した。

社名には「ずっとまっさらなものでいたい」という思いが込められており、トウメイは色でモードが流行という意味をなしているそうだ。

MVなどの映像制作を行うなかで、ぶんけいさんはプラットフォームとしてのYouTubeの魅力に気が付く。

「YouTubeは世の中に公開したものが、翌日には結果がでています。人の気持ちをくみ取る、ニーズ、世間の動きなどにふれることができる、いい場所でした」とぶんけいさんは語る。

自身がYouTuberであったのは会社にとってプラスに働いたという。トウメイモードには「人の心をくすぐる」という理念があり、「常に意表を突いていたい」「メジャーなニーズだけでなく、思いつきそうで思いつかない隠れたニーズを探る」ことを意識して制作することにあるという。こういったコンセプトとYouTubeという動画プラットフォームの相性がよかったのだ。

ぶんけいさんが映像制作を始めたのは「元々、人が楽しんでくれるのが好きで、友達に見せるため、絵やマンガ、迷路などを描いたのがきっかけ」だという。映像を作り始めたのは、高校の時に放送部に入ってから。この部活動でドラマやドキュメンタリーの番組を作っていたそうだ。

だが映像制作だけにこだわっていたわけではない。当時から「楽しんでもらえるなら、表現手段は映像じゃなくてもいい」と考えていたという。

新たな社名とは?

  • 「トウメイモード」からアップデートした「ハクシ」のWebサイト

ぶんけいさんは、新たなフィールドに羽ばたく決意表明のひとつとして「トウメイモード」を「ハクシ」に社名を変更するという。社名変更の理由は「会社のメンバーも増え、自分なりに理念を整理したかった。トウメイとモードを混ぜて、まっさらな気持ちで心機一転したい」からだという。

  • 所属する作家や作品も閲覧できる

社名を変更し、業務内容もアップデート。これまで中心だった映像制作事業だけにこだわるのではなく、幅広いジャンルでクリエイティビティを発揮していきたいと考えている。前述の通り「人に楽しんでもらうためには映像だけに縛られない」。

また、今回の社名変更にあわせて、Webサイトも刷新する。ハクシのWebサイトでは、「映像を主軸に、『人の心をくすぐるものづくり』をする作家たちのアトリエです。企画、制作、デザイン、ライティング、キャラクタープロデュース、振り付け全てのものづくりに新しい気持ちで取り組むため。『ハクシ』と名付けられました」とある。

「会社はアトリエ」つまり白いキャンバスに想いを描く自由な発想が産まれる場。ドアを開ける前は緊張するけれど入ってみたらすごくアットホームなアトリエのような会社を目指しているという。

採用活動もスタート!? ユニークな選考方法とは?

さて、ぶんけいさん率いる「ハクシ」では、人材の採用活動も積極的に行っていくという。事業を行う中で知り合った人や仲間が集まったトウメイモードとは異なり、広く社員を募集する考えだ。

取材時にお聞きできた採用方法もユニークなものだった。「白紙採用」という独自制度での採用を行うそうだ。この白紙採用は、課題などを提示するのではなく、「真っ白い紙」を自由に使ってエントリーできるというもの。

「エントリーシートだけではその人の思いは伝わらない。応募者を採用側の一方的な基準で判断したくない」という考えから着想した採用手法で、一枚の白い紙を自由に使って、「思うがまま」「気楽に」「自由に」自身を表現してほしいという。「ハクシの活動に共感いただける方と一緒に働ければ」とぶんけいさんは話す。

既存の観念に囚われない自由な発想で、人々を楽しませてきたぶんけいさん。会社経営においても柔軟な思考で我々が驚かせてくれるだろう。