金融業界に就職して1年目。「金融リテラシーを目指して」というテーマで、専門家による社内研修会が開催されることになったけど、「リテラシー」ってどういう意味?
そこで今回は、ビジネスシーンにおけるリテラシーの意味と使い方について解説します。
リテラシーの意味
リテラシーは、「読み書きの能力」という意味の英語【literacy】を語源とするカタカナ用語です。日本語の意味としては、「読み書き」に限定せず、「与えられた材料や情報などを正しく理解・分析し、活用する能力」という意味で捉えられています。
ビジネスシーンにおけるリテラシーの使い方
ビジネスシーンでは、「○○リテラシー」というように関連する分野の用語と組み合わせて使用するのが一般的です。
例えば、金融業界では「金融リテラシー」という言葉で用いられているわけですが、特定の分野でリテラシーを用いる場合には、より専門的で高度な「知識」「応用力」「活用能力」を意味します。単に「一応金融関係の仕事をしているので、お金に関することならある程度わかりますよ」というレベルではリテラシーとはいえませんので、注意しましょう。
リテラシーのつく言葉
では、具体的にどんな○○リテラシーがあるのか、幾つかご紹介しましょう。
金融リテラシー
金融の仕組みや情報を理解した上で、お金を適切に管理・運用できるだけの高い能力のことを指します。また、金融を深く知るためには、経済に関する知識まで幅広く見に付けておく必要があるでしょう。
情報リテラシー
与えられた情報を収集・分析し、活用する能力のことです。
IT分野では、「情報=IT」と捉えられることから、情報機器やネットワークを活用した情報管理・活用能力のことを指すこともありますが、一般的なビジネスシーンでは、ITに関連したものだけではなく、広い意味での「情報」を指しています。
メディアリテラシー
情報の発信源となるテレビ、新聞、ラジオ、雑誌、インターネットといったメディアから集めた膨大な情報を整理して主体的に読み解く能力や、メディアそのものを利用する能力のことを指します。
特に、SNSの発展によって膨大な情報が飛び交う近年、中には「フェイクニュース」「フェイク動画」といった偽りの情報も存在しますね。そういったものに惑わされてしまうことのないよう、生きていく上でもメディアリテラシーを身に付けておくと良いでしょう。
コンピュータリテラシー
パソコンや携帯など、IT機器を使用することで情報を収集する知識や能力のことを「コンピュータリテラシー」といいます。
これに対し、メディアから得た膨大な情報のうち、必要とする一部分を主体的に読み解く能力が「メディアリテラシー」です。いずれも「情報リテラシー」の一種と捉えることもできます。
ネットリテラシー
インターネットに関連した知識全般における能力を指します。インターネットを正しく利用するための知識や、活用能力はもちろんのこと、SNSなどによるトラブル回避能力なども含まれます。
また、業種によっては、プログラミングやシステム開発といった特定の能力を指している場合もあります。
ビジネスリテラシー
ビジネス全般に共通して必要とされる知識や能力のことで、主に。コミュニケーション能力や対人スキル、物事の筋道を立てて考えることのできる思考能力のことを指します。
健康リテラシー
健康面での適切な意思決定に必要とされる情報やサービスを収集・理解し、健康のために活用する個人的能力のことです。ヘルスリテラシーや医療リテラシーとも呼ばれます。
リテラシーの使い方と例文
リテラシーは、「高い・低い」「ある・ない」「持つ・身に付ける」「高める・向上させる」といった言葉で表現することができます。
(例文)
- 彼は確かに金融リテラシーは高いが、ビジネスリテラシーが低いのが欠点だ。
- 企業は、ビジネスリテラシーを持った人材を求めている。
- 情報リテラシーがない人は、だまされやすい。
- 健康リテラシーを高めて、長生きしましょう。
- SNSを利用したビジネスを始めるならば、ネットリテラシーを身に付ける必要がある。
リテラシーとコンピテンシーの違い
リテラシーと間違いやすい用語に「コンピテンシー」【competency】というものがありますが、これは、「経験を積むことで身に付けた行動特性」のことを指します。
リテラシーが「知識を基にした能力」であるのに対し、コンピテンシーは「経験を基にした行動特性」になります。
また、リテラシーは個人の努力によって身に付けられるものですが、コンピテンシーは、ハイレベル層の共通した行動特性をモデルとし実践することで向上できるもので、いずれも能力に関する概念ではあるものの、観点が違うことを頭に入れておくと良いでしょう。
どの程度の知識や能力を身に付ければ「リテラシーがある」といえるのか、その基準は、業種や会社によってさまざまです。誰からも認められるようなリテラシーを身に付けて、ぜひ、自身の強みにしてください。