アニソンシンガー・YURiKAのライブイベント「YURiKAデビュー2周年ワンマンライブ『Shiny Stage ~今年も言おう、全曲やるぞ!!~』」が2月22日、下北沢Gardenにて開催された。
昨年に続き、アニソンシンガー・YURiKAがアーティストデビュー日に行ったワンマンライブでは、こちらも前年同様持ち歌全曲を歌唱。今の彼女だからこそやる意義のある、やりたいことを全部詰め込み切ったステージを見せてくれた。
●幕開けを飾ったのは、ファンと作り上げたあの曲
開演時間を迎えると、ステージにかかった紗幕には、彼女が水曜日のパーソナリティーを務める『A&G ARTIST ZONE THE CATCH』のOPが映し出される。そして「時刻は(開演時刻の)7時を回りましたー!」と、いつものようなOPトークへ。そのなかで「2年間の感謝を込めて!」と意気込みを語ってからOPナンバーとして曲振りを行ったのは、この番組を通じて誕生したナンバー「#ザキャッチ」。
アニソンに加えてアニラジもこよなく愛する彼女ならではの、2周年ライブが始まる。そしてイントロ中に紗幕がゆっくり開けば、咲くような笑顔のYURiKAの姿が。Bメロなどにふんだんに詰め込まれたコール部も含めてファンと一緒にアツく盛り上がれば、1サビではお立ち台に登って、フロア全体を見下ろしながらの歌唱。
このOPナンバーは、まさにやりたいことをまっすぐにやり続けてきた彼女のこの1年間を見せるには最適な選択だった。そして「全力で楽しもうねー!」とフロアをさらに乗せて、「MIND CONDUCTOR」へ。音を取るだけでも難しいこの曲も、まっすぐ正面を見つめて力強さの感じられるパフォーマンスを展開。それにファンも高いジャンプで応える。
さらにもう1曲のロッキンでハイテンポな「Fairy Way」では、今度は凛とした表情でより力強さを提示。落ちサビと大サビの歌声の緩急も良好で、かっこよく聴かせる部分もありつつもどこか彼女の楽しさも伝わってくるような1曲に。
曲明け、「こばんわー!」とおなじみの挨拶でファンへ呼びかけるYURiKA。足を運んだファンへ感謝の気持ちを伝えるトークを展開すると、早くも次のナンバー「Snowy Daydream」へ。ハイスピードなロックチューンであるこの曲でも、音と歌で真っ向勝負。
特にこの曲は、かわいげと力強さとをあわせ持つ彼女の中音域の魅力を感じられるものになっていたようにも思う。そして「冬のあとは夏!」との言葉に続いて、タオル曲「サマーテイル」へ。ゲーム『Summer Pockets』のキャラソンCDに収録されたこの曲で、YURiKAは作品に紐づくようにサングラスを頭に乗せ、タオルを手に歌唱。
これもデビュー前からの“鍵っ子”(※ゲームブランド・Keyの熱烈なファンの意)である彼女ならではの、ライブでの愛の表し方だったのだろう。一方で歌唱後には、早速揃ったファンからのコールに驚きの言葉を語っていた。
また、「Dive into the colors」ではアツさというよりもスーッと抜けるような要素も歌声に混ぜつつ、それでいてストレートなバンドサウンドに負けないボーカルをぶつけると、続くミドルポップ「薄明パラレル」のイントロでは、フロアからクラップが湧き起こる。
それを目にしてうれしそうな表情を浮かべたYURiKAは、最前とコミュニケーションを取りながらのAメロでファンと繋がる。そのAメロでは程よく力の抜けた歌声を響かせ、サビでの感情の乗せ方とのコントラストでまたファンの心を捉えていた。
●中盤にも、次々登場するキラーチューン
披露後のMCではこの1年間を「本当に激動で、皆さんの前で歌うことに対して強くたくましくなった」と振り返ると、そのなかでゲーム楽曲を歌う機会が多かったことに触れ、その1曲「時のFoliage」からライブ再開。
ファルセットに近い歌声で歌われたこの曲は、高音も引く巧さを活かしたナンバー。その歌声とコーラスとの美しいハーモニーとが胸にキュンとくる聴かせるナンバーを、しっかり観客の胸にも届けていく。特に落ちサビでのハイトーンの美しさは白眉で、生で聴いて改めて魅了されてしまった。
そのまま続けたデジタルチューン「Beautiful Future」では歌声の持ち味の長所を残しつつ、どこか余裕や懐の広さを感じる歌声で自身の成長を見せると、「My Destination」はAメロをまっすぐに、少しだけ悲しさを乗せて歌い始めるが、Bメロ終盤2小節からサビにかけて一気に盛り上げて、前へと進む激情を乗せていく。
その後奏中にYURiKAは一旦降壇。『THE CATCH』特別編その2が上映される。ここではいつもの放送通りの頭文字を指定されての無茶振りジングルも挟みつつ、ふつおた紹介の流れでグッズ紹介やこの1年の振り返りを行うと、再びの自身の曲振りに続いて「鏡面の波」へ。
主人公・フォスフォフィライトを連想させるエメラルドグリーンに染まったステージの最前に立つYURiKAは、この曲ならではの浮遊感を保ちながら、透き通るようなボーカルで歌いゆく。中盤ではファルセットと地声の強い部分とのメリハリをはっきり出しつつ、絶妙な力の抜け感でボーカルから棘を取りつつも欲しい部分には芯を作り、幻想的な空間を見事に作り上げる。
完奏後に訪れた一瞬の拍手も歓声もない間が、その圧倒ぶりを表しているようだった。そして今度はデビュー曲「Shiny Ray」のイントロでお立ち台に登り、「後半戦、まだまだ盛り上がっていくよー!」とシャウトし一気にフルスロットル。楽曲のテイストとしては対称的だが、しかし間違いのないキラーチューンを2曲続けてフロアを再びアゲていく。
すると今度は恩師から贈られたバラード曲「Song That Never Ends~夢の続き~」を歌唱。そのテイストは様々だが、大事な曲が次々と歌われていく。そんなこの曲は優しく穏やかに歌っていくが、それが大サビで一気に力強さを持つさまからは、今後も一歩一歩踏みしめてしっかり歩み続けるという意志が見えるようだった。
歌唱後には、この日の『THE CATCH』SP版は台本も自ら手がけたと明かし、「私はアニソンシンガーだからアニメの曲と一緒にありたいと(昨年初出場した)アニサマで感じたので、その姿をまた見てもらいたくて、同じ衣装にしました」と、ステージ上の姿に至るまでこだわりを伝えてくれた。
そして「今のうちに水飲んどいたほうがいいよ」と煽ると、「魔導戦士グランシャリオン」で後半戦突入。頭サビ後のコールから、一気にフロアのファンのハートを燃やしていく。YURiKAもここまでとはまた違った荒々しいボーカルでフロアをたぎらせると、1サビ明けのコールではイヤモニを外してフロアからの生声を聴いていた。
さらに続けた「AKATSUKI DEPARTURE」ではキリッとオーディエンスを引っ張っていき、1サビ後には挑発的な表情も。さらに2サビ明けにはお立ち台の上から「もっと叫べー!」とシャウト。フロアは再び燃え上がるが、その一方で落ちサビ前のブレイクではピタリと一瞬の静寂が。これもまた、ファンと生み出した至上の瞬間であった。