東京メトロはこのほど、定期的に検査を行う時間基準保全(Time Based Maintenance、略称「TBM」)を基本としてきた鉄道設備の保守に、状態基準保全(Condition Based Maintenance、以下「CBM」)を導入するための技術開発に着手すると発表した。
定期的な検査を基本としてきた保全体系に状態基準保全の概念を加え、異常の早期発見などにつなげることをねらいとしている。最新のセンシング技術を活用した状態監視技術、AIやビッグデータ分析による故障予知・劣化予測などの実用化をめざす。
設備状態データを活用することで、従来の検査周期や検査項目の見直しなど、保全業務の生産性向上も図る。設備故障時も設備状態データを総合指令所などでリアルタイムに監視することにより、現地保守社員の支援体制を強化し、復旧時間短縮をめざすという。
東京メトロはCBMの導入に向けた技術開発を長期的な取組みとしており、まずはCBMの基礎となる状態監視技術の開発を進める考え。具体的には、丸ノ内線2000系などを用いたブレーキ装置等の動態保守システムの開発や、軌道・電車線設備の状態監視技術の開発などに取り組む。状態監視技術が確立され、データが十分に蓄積された設備から順次、故障予知・劣化予測などの分析技術の開発に移る。