『仮面ライダージオウ』の第17、18話に登場した仮面ライダーシノビ/神蔵蓮太郎(演:多和田任益)が主役のスピンオフドラマ『RIDER TIME 仮面ライダーシノビ』が、映像配信アプリ「東映特撮ファンクラブ(TTFC)」の完全オリジナル新作として製作された。

多和田任益(たわだ・ひでや)。1993年生まれ。大阪府出身。2010年、FINEBOYS専属モデルオーディションで特別賞を受賞した後、2011年に芸能界入り。2012年から2014年にかけて、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンに手塚国光役で出演する。2015年には『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の追加戦士、スターニンジャー/キンジ・タキガワ役でレギュラー入りし、子どもたちのヒーローとして人気を博す。東映特撮ファンクラブのオリジナル配信ドラマ『ヒーローママ★リーグ』(2018年)には、保育園の「ひろと先生」役で出演した。撮影:大塚素久(SYASYA)

2022年に活躍する"未来の仮面ライダー"であるシノビのテレビシリーズを2019年の東映特撮ファンのために特別にお見せする、という設定のもと、「忍術大会編」と題された全3話のエピソードが3週連続(3月31日より第1話、4月7日より第2話、4月14日より第3話)で配信されることになった。

マイナビニュースでは、『仮面ライダーシノビ』の配信を記念して、主要キャストそれぞれに単独インタビューを敢行している。今回は仮面ライダーシノビとなって妹・紅芭(演:華村あすか)を守る使命を帯びた若き忍者・神蔵蓮太郎を演じる多和田任益にお話をうかがい、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(2015年)のスターニンジャー/キンジ・タキガワ役以来の"忍者ヒーロー"を演じることへの思いや、ヒーローを愛する子どもたちへの優しい視線、そして作品の注目ポイントなどを熱く語ってもらった。

――『仮面ライダージオウ』で初登場した神蔵蓮太郎と比べて、今回の『仮面ライダーシノビ』での蓮太郎はちょっと雰囲気が変わったといいますか、明るくコミカルな印象を受けますね。

テレビ(ジオウ)のときは生真面目な性格で、自分に自信がなかったために悪のほう(アナザーシノビ)に走ったりしつつ、それを乗り越えてこれからは自分の信じる道を歩んでいくぞ、もっと強くなるぞ、みたいなキャラクターでしたからね。僕もあの蓮太郎の"その後"を描くものだとばかり思っていたら、台本を読んでちょっとビックリしました。あれから何か、蓮太郎に自信がつくような出来事があったのかな、とか思いましたね。

――『ジオウ』出演のあと、多和田さん主演でシノビのスピンオフを作るというお話はどのタイミングでわかったのですか。

第17、18話の撮影が終わって、アフレコも終って、あとはオンエアを待つばかり、みたいな段階で、「こんどスピンオフを作ろうと思っています」というお話がありました。テレビのほうのクランクアップの日に「2022年のスケジュール開けておきますから、『シノビ』作ってくださいよ! 監督は柴崎(貴行※柴崎監督の崎は立つ崎が正式表記)さんで!」なんて言っていたのに、もうこんなに早く話が進むなんて、と驚きました。

――TTFCのオリジナル配信ドラマとしては、昨年(2018年)5月に配信された『ヒーローママ★リーグ』で保育園の「ひろと先生」を演じられて以来、2作目となりますね。

『ママ★リーグ』は楽しかったですね。出番も多くなかったので、1日で撮影が終わったのですが、『ニンニンジャー』でもお世話になったカメラマンの松村(文雄)さんをはじめとする「スーパー戦隊」の撮影スタッフさんたちがいて、助監督だった葉山(康一郎)さんの監督デビュー作でもありましたから、久しぶりに家へ帰ってきたような、ホームの感覚がありました。レジェンドヒロインのみなさんとの共演も楽しかったですし、何より以前から子どもたちと接するのが好きでしたから、保育士の役を演じられたのはとてもうれしかったですね。ただ"変身"する役じゃなかったのは残念でしたけれど、保育園の窓に「ほしぐみ」と書かれているなど、スターニンジャーを思わせる"遊び"を入れてもらって、ほんとうに面白かったです。

――台本を読まれて、今回のスピンオフのストーリーにはどのような思いを抱きましたか。

ヒーローの在り方について、ですね。シノビは守るべき相手の前に出て「俺が守る」と宣言するようなヒーローではなく、テレビでも言っていたように「影になりて力なき者を守る」というもので、古風ではあるんでしょうけれど、僕としては非常に新鮮味を感じました。僕の思っていたヒーローとは「前に出て、人々を導く」存在だったんですけれど、シノビ/蓮太郎の場合はそうではなく、蓮太郎のときはちょっと頼りないそぶりを見せて、裏に回ってシノビとしてみんなのことを支えている。敵も味方も、誰がシノビなのかがわからないという……。そんな"秘密のヒーロー"という部分に魅力を感じました。

――多和田さんが以前に演じていたスターニンジャー/キンジ・タキガワやニンニンジャーの仲間たちは、基本的に「忍びなれども忍ばない」がモットーで、とても目立つ忍者でしたしね。

キンジは蓮太郎と真逆ですよね。前へ前へと出ていく。同じ忍者というカテゴリーではありますが、蓮太郎にはまったく「キンジらしさ」がないので、多和田任益としても新しいヒーロー像をお見せできるのではないかと思います。

――蓮太郎の衣装は、『ジオウ』に登場したときのものと一緒なのでしょうか。

テレビで着ていた衣装でも出てきますが、それがメインではなくて、いかにも"忍者"といえるようなコスチュームも身に着けています。会社に行くときはスーツに早着替えしますし(笑)。衣装については、「スーパー戦隊」キャラっぽくならないようにということで、じっくりと吟味して決まりました。イメージカラーを大きく入れてしまうと「スーパー戦隊」風になるため、シノビのイメージカラーである紫色をワンポイント的に、首に巻くマフラーにあしらいました。

――『シノビ』の現場でもエキストラの子どもたちが大勢いらっしゃったそうですが、子どもたちとの交流はされましたか。

子どもたちと一緒にいるシーンでは、財木(琢磨)くん演じる"イッチー"こと勇道のほうがモテていましたね。彼はなんといっても仮面ライダーハッタリに変身するところを撮っていましたから。僕はそのとき忍術大会の「審判」の格好をしていましたし、「やっぱり仮面ライダーは特別なんだなあ」って、財木くんを眺めていたんです。でも、お母さんと小さな男の子がこちらに近づいてきて「シノビさんですよね」って、僕に気づいてくれたんですよ。あれはうれしかった。でも、スターニンジャーじゃないんですよね。やっぱり『ジオウ』をみなさん観ているから、僕のことをシノビ/蓮太郎だと認識してくれているんです。今まではずっとニンニンジャーだ、とかスターニンジャーだと言われてきましたから、仮面ライダーで覚えてもらえるというのは意外で、衝撃的でした(笑)。