高見泰地叡王に永瀬拓矢七段が挑戦する第4期叡王戦七番勝負第1局が4月6日、台湾・台北市「圓山大飯店」で行われます。
高見の初防衛か? 永瀬の初戴冠か?
叡王戦七番勝負が他のタイトル戦番勝負と大きく異なる点は、[第1局・第2局][第3局・第4局][第5局・第6局][第7局]で持ち時間が変動する点。持ち時間1時間、3時間、5時間の中から、振り駒で先手番を得た棋士が[第1局・第2局]、後手となった棋士が[第3局・第4局]の持ち時間を選択し、[第5局・第6局]はどちらにも選択されなかった持ち時間で、[第7局]までもつれ込んだ場合は持ち時間6時間で指されます。
有利とされる先手番で第1局を指せる上に、勝負の流れを左右しかねない持ち時間まで先に決められるのであれば振り駒で勝ちたいと思うもの。東京都港区「ニコファーレ」で開催された第4期叡王戦決勝七番勝負発表会内、VTuberひふみちゃんの中の人によって行われた運命の振り駒の結果、第1局の先手は永瀬七段に決まりました。 (※第2局以降は交互に先手を持ち合い、第7局は開始前に再び振り駒が行われます。)
そして永瀬七段は[第1局・第2局]の持ち時間に5時間を、高見叡王は[第3局・第4局]の持ち時間に3時間を選択。[第5局・第6局]は1時間と決まりました。前期第3期は振り駒で第1局の先手を得た金井恒太六段が5時間、高見六段(当時)が3時間を選択しましたので、まったく同じ並びに落ち着いた形です。
第3期、第4期とも、各棋士の選択理由は推測するよりありませんが、「プロ棋士ならば持ち時間が多いほうが力を出せるのが当然」という矜持がそうさせるのでしょうか。または、1時間制は1日で2局指されると決まっているので、第4局までに1時間制を選択した場合、どちらかの4-0で七番勝負が終わると3日で興行が終わってしまう点を考えて、ということもあるかも知れません。前期第3期は4-0で終了し、棋界初の持ち時間1時間での対局は行われずじまいとなりました。見たいと願っていたファンも多かった1時間制、今期は実現するでしょうか。
両者の公式戦においての対戦成績は高見叡王0勝、永瀬七段3勝となっています。ただし、最後の対局は2015年2月、この七番勝負で約4年ぶりに相まみえることになります。第1局はおよそ5年ぶりに行われる海外対局、いつもと異なる環境でよりパフォーマンスを発揮できるのはどちらか? そして持ち時間変動制という特殊ルールを味方につけるのは? この辺りが勝負を分けるシリーズとなりそうです。