俳優の東山紀之がこのほど、主演を務めるフジテレビ開局60周年特別企画ドラマ『砂の器』(28日19:57~22:54)の取材に応じ、今作に臨む心境を語った。

『砂の器』主演の東山紀之=フジテレビ提供

松本清張による不朽の名作で、1974年の映画化以降、何度も映像化されてきた同作が、現代を舞台に新しい解釈でドラマ化。東山演じる鋭い観察眼を持つベテラン刑事・今西栄太郎と、中島健人(Sexy Zone)演じる父との“宿命”を背負う天才作曲家・和賀英良の攻防、そして和賀が幼い頃生き別れた柄本明演じる父・本浦千代吉との複雑でせつない“絆”が描かれる。

今回再び映像化し、演じることについては「できると思わなかった」という東山。「清張先生の中でも、『砂の器』と『点と線』は名作中の名作なんで、これに手を付けるのは、勇気がいることだと思う。批判も覚悟しないといけない」と考えていたが、「ありがたいことですから、これも縁だと思って、思い切ってやろうという気持ちになりました」と、心境の変化を語る。

原作は、1960年にスタートした読売新聞の連載。「戦後落ち着いて、日本人が少し豊かになり始めて、その中でハンセン病に対する人々の偏見と差別に対する怒りを非常に感じる」と解釈した上で、「あれからだいぶ時間は経っているんですけど、ネットの世界になってもそれは全くなくなってないなと。顔が見えない分、余計そのようなものが根深くなっているような気もするので、そういう意味では今作品を現代に置き換えてやるっていうのは、とても意味があることだと思う」と、意義を強調した。

今西刑事は、映画版で故・丹波哲郎さんが演じた役柄だが、「ちょうどあのときの丹波哲郎さんといまの僕の年齢が同じくらい」と驚いたそう。また、2004年の連ドラ版(TBS)では、当時SMAPの中居正広が和賀英良役で主演しているが、「中居にも(今作を)やるってことを連絡しました。礼儀として。中居からは『がんばってください』とメールが届きました」と、やり取りしたことを明かした。

また、今回共演する中島については、「実際にピアノが弾けますから、彼の技術的なものは説得力がある。それを見ているのが楽しい」と、後輩の頼もしい姿に目を細め、「非常にまじめな青年だから、いろんな方々が演じてやっていたのも見て、その中で人物を作り上げていると思うので、そこは邪魔しないようにしようと思う。その感性は彼にしか持っていないものだと思うから」と見守る姿勢で撮影に臨んだそうだ。

現場で中島とどんな会話をするのかを聞かれると、「役柄における立場もあるので、いつもみたいに『セクシーサンキュー』とは言わない(笑)」と話しつつ、取材時間が終わって退席する際、記者たちに不意打ちの「セクシーサンキュー」を発し、その場を和ませていた。

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