鹿児島県鹿屋市にある、国内唯一の国立体育大学「鹿屋体育大学」。ここにある「スポーツパフォーマンス研究センター」は、アスリートの体の動きを最先端機器で測定し、競技力向上につなげる研究を行う施設。陸上競技100メートル走で日本人初の9秒台を成し遂げた桐生祥秀選手らをはじめとした五輪選手が活用した設備もある。
今回、この最先端施設で運動の苦手な普通の"おっさん"が見学を兼ねて体験してきた。
3,500平方メートルという広大な敷地の中で、最新の測定機器を用いて実践的なスポーツパフォーマンス研究を行う「スポーツパフォーマンス研究センター」。
赤外線を発する専用カメラ複数台で三次元空間を構築し位置情報をデジタルデータとして取得する「モーションキャプチャ」や、上方から広範囲の映像を撮影する「可動式カメラ架台」などさまざまな機器を備えているが、今回は代表的な3つを体験させてもらった。
ウサイン・ボルトはおっさんの2倍速い
最初に体験したのは、「フォースプレート」。1m四方のプレートに各種センサーが埋め込まれており、これを連続して踏んでいくことで、歩行や走行などの動作を行う際に地面にかかる力の大きさを測定できる。
50mという国内最長の長さを誇っており、「フォースプレートを踏まなければならない」と意識することなく測定可能。陸上競技以外にも、野球などさまざまな分野で応用できる機器だ。普段はプロアスリートや体育大学生が利用するシステムを、ここ十数年まともに運動していないおっさんが走る!
準備運動もそこそこに、スターティングブロックに足をかけるおっさん。「On Your Mark、Set」の掛け声ののち、スタートピストルの音が鳴り響く!
スタートと同時によろめきながらも、なんとか転ばずに50mを走り切った。その結果をコーチング学博士の永原隆氏に聞くと……。
「50mで9秒20ですから、ウサイン・ボルトが100mを走り切る9秒58とおおよそ同じタイムですね」
おっさんが50mを走り切る間に、ウサイン・ボルトは100m走れるという衝撃(?)の結果に。本当に同じ人類か!! ……おっさんのスペックの低さが露呈したところで、コーチング学博士の永原氏は詳しいデータを見せてくれた。
フォースプレートからは、ピッチ(1秒間に何回足を地面に着いたか)やストライド(歩幅)、接地時間(地面にどれだけ足が着いていたか)、滞空時間、歩隔(左右足の間隔)と、選手の走り方の特性情報が得られる。
図表の赤がおっさんで、他はすべてアスリート。数値の開きが圧倒的だと一目瞭然。上の計測項目を時間軸で表示させたのが、下の図表。トラックのどの位置を走っているか、どこで力がかかりどこでピークに達しているかもわかる。