日常で使う言葉も、ビジネス用語ではまた別の意味を持つ場合があります。今回は、ITスタートアップ業界における「ランウェイ」について解説していきましょう。

  • ビジネス用語「ランウェイ」の意味を理解していますか?(写真:マイナビニュース)

    ビジネス用語「ランウェイ」の意味を理解していますか?

タイムリミットのある道

【Runway(ランウェイ)】はいくつかの意味をもつ言葉で、たとえばファッションショーの花道のことをいいます。ファッションモデル達が客席に向かって歩くあの道です。

他には、飛行機が飛び立つ際の滑走路や、走り幅跳びの選手のための助走路などもランウェイといいます。

デザイナーやファッションモデルにとっては、花道を歩くわずかな時間でいかに注目を集めて、認められるかが勝負です。飛行機やアスリートは、走路が尽きないうちに飛ぶための速度を稼がねばなりません。

つまりランウェイは「時間制限」のある道だといえます。

新たなビジネスを開拓するITスタートアップの分野でも「ランウェイ」という言葉が使われます。創業間もないスタートアップ企業にとってのランウェイは、「会社が潰れるまでに残された時間」のことです。

月々のキャッシュフローがマイナス100万円として、銀行にある手持ちのキャッシュが1,000万円だとしたら、1,000万÷100万=10ですから、このスタートアップ企業のランウェイは10カ月です。あと10カ月の間に、ビジネスを軌道に乗せなければなりません。

スタートアップ企業の成功とランウェイ

どんなに素晴らしいビジネスアイディアを思いついたとしても、それが市場に受け入れられ、会社のキャッシュフローがプラスに転じるまでには時間がかかります。スタートアップ企業が成功するためには、充分なランウェイを用意しておく必要があるのです

ランウェイは最低でも12ヶ月を確保しておくことが望ましいといわれています。もし短すぎると、資金調達ばかりに目を向けてしまい、事業戦略の見直しなど、必要な試行錯誤の機会を逸してしまうおそれがあるのです。

かといって、資金が潤沢ならば何年ものランウェイを用意して、ゆっくり成長できるかというと、そうではありません。

投資家はステージを駆け上がっていく企業を評価しますし、人材登用・PR・各機能の増築・特許の取得など、ビジネス立ち上げのために資金を注ぎ込むことはいくらでもできます。

ランウェイを歩くモデルのように、その瞬間に最大限のパフォーマンスを発揮する「切実さ」が、スタートアップ企業の成功には必要なのです。

【例文】
「最悪の売上げのときを想定してランウェイを計算しておこう」
「ランウェイを18ヶ月にするためには、いくら資金を調達すべきですか?」