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【この記事のエキスパート】
料理研究家&食専門ライター:松本葉子
紙媒体およびwebで食関連記事を執筆するほか、食物学専攻の学生時代から継続している料理研究および多くの料理人や飲食店、生産現場を取材してきた経験を生かして食品メーカーや飲食店などにレシピ提供・メニューアドバイスを行っている。
また、毎日のように取り寄せる食品・調理関連品の中から厳選した「価値あるお取り寄せ情報」を限定読者に発信していたが、近くブログとして公開予定。
この記事では、魚をさばくときに必要な出刃包丁の選び方と、サイズ別におすすめ商品を紹介します。一生ものの鋼製や、手入れしやすいステンレス製、左利きに対応したアイテムなど、初心者向けからプロ向けまでを厳選。使い方や研ぎ方の解説もあるので要チェック!
魚をさばく際に必要な和包丁
出刃包丁とは?
出刃包丁とは、魚をさばくときに使う和包丁のことで、刃が厚くずっしりと重みがあります。鋭利な切れ味も特徴で、魚や鳥などを骨ごと切ることもできます。刃の背中でうろこをとったり、肉類をたたいてつみれにしたりと幅広い調理に使えるため、ひとつ持っておくと便利です。
本出刃・中出刃(相出刃)・小出刃など種類がありますが、家庭用にべんりなのは刃渡り15~16cmほどの「中出刃包丁」や10cmほどの「小出刃包丁」です。
【料理研究家に聞く】
実用的な出刃包丁の選び方
料理研究家の松本葉子さんに、出刃包丁を選ぶときのポイントを教えてもらいました。
【1】刃渡り・用途
【2】素材
【3】柄の形状や材質
【4】利き手
これらのポイントをおさえることで、用途に合った出刃包丁を選べます。ひとつずつ解説していきます。
【1】刃渡りや用途で選ぶ
出刃包丁には、本出刃包丁、中出刃包丁、小出刃包丁、アジ切り包丁などの種類があり、それぞれ形状や刃の長さ・厚み・幅が違います。なお、刃の長さは、商品によって「cm」表記と「寸」表記があります。1寸が3cmほどになるので、覚えておきましょう。
また、まな板の大きさや調理台の広さ、収納場所のスペースも選ぶ際のポイントとなります。
本出刃包丁(刃渡り15㎝以上)|中型魚の下処理に便利
「本出刃包丁」はもっとも一般的な出刃包丁のことを指し、魚をおろしたり、骨をたたいたりなど、魚の下処理全般に用いられます。全体的に重量感と厚みがあり、丈夫なのが特徴です。タイやハマチ、ブリなどの中型魚をさばくのに適しています。
家庭用には刃渡り15cmほどのものがよく使われます。魚以外に、肉をさばいたり、カニなどの甲殻類の殻を割ったりする作業にも使えます。タイやハマチ、ブリなどの中型魚を本格的に魚料理をしたい人におすすめです。
中出刃包丁(刃渡り13㎝~15㎝)|おろしや切り身にぴったり
「本出刃包丁」より細身で峰の厚さが薄く、軽いのが「中出刃包丁」です。「相出刃包丁」ともいいます。魚の二枚おろし、三枚おろしや切り身にするために使いますが、頭を落としたり、硬い骨を切断したりするのには向きません。
イワシやアジ、サンマなど、小型の魚をさばくには刃渡り15cmほどのものが扱いやすいでしょう。魚をさばく包丁が欲しいけれど、本格的な出刃包丁を買うほどでもないと思う人におすすめです。
小出刃包丁(刃渡り10cm前後)|小魚をさばくならコレ
「小出刃包丁」は、その名の通り本出刃包丁の小型版で、重くて分厚いのが特徴です。比較的小さな魚をさばくのに適しています。小魚の二枚おろし、三枚おろしのほか、中骨、小骨を断ち切るのに使うことができます。
刃渡りは9~12cmくらいが一般的。すでに大きめの出刃包丁を持っていて、小さい魚をさばくために欲しいのならば9cmほどの小さ目のもの、小出刃包丁だけを使いまわしたいのならば12cmのものがおすすめです。
アジ切り包丁|アジなど身の薄い小魚に
「小出刃包丁」より板厚が薄く、アジなどの身が薄い小魚をさばくのに適しているのが「アジ切包丁」です。刃先が鋭利なので、切ったときに身崩れや身割れしにくく、小回りがきくので一般の家庭でも使いやすいのが特徴です。
サイズは8~12cm程度。小出刃包丁と同じくらいです。小出刃包丁では重くて扱いにくい人におすすめです。釣りに持っていって魚をさばく人には、カバー付きのものが便利です。
まだまだある出刃包丁の種類!
「身卸し出刃」「鮭切り出刃」「タタキ出刃」など
出刃包丁には、ほかにも魚を卸すことに特化した「身卸し出刃(舟行)」、鮭のような大型の魚をさばくための「鮭切り出刃」、タラなど叩いてぶつ切りにするための「タタキ出刃(黒打ち)」など多くの種類があります。地方によって呼び名がちがうこともあります。
また、出刃包丁は一般に片刃ですが、両刃になっている「洋出刃」という種類もあります。
【エキスパートのコメント】
「出刃包丁」はさばく魚の大きさに合わせてサイズを選ぶのが一般的です。
ただし、刃に厚みがあるためサイズが大きくなるほど重く扱いにくくなります。家庭では20cm前後のものを選ぶとつかいやすいでしょう。
刃渡り10cm前後の「小出刃」でも十分魚や鶏をさばくことができ、むしろ本出刃よりつかいやすいこともあります。そのため、それほど出刃包丁をつかう機会がなく、1本だけ選ぶというのなら小出刃を選ぶとよいでしょう。
15cm程度で刃が薄めの「中出刃(相出刃とも呼ばれる)」も、魚をおろしてそのまま食べやすく切りわけしやすいので便利です。ただし、刃の厚みがないぶん、堅い骨などを切るには向きません。
【2】素材から選ぶ
出刃包丁の切れ味を決めるのは素材です。また、お手入れのしやすさも素材で決まります。どのように切れ味やお手入れの手間が異なるのか、それぞれの素材の特徴と合わせてご紹介しましょう。
鋼(はがね)|こまめなお手入れで切れ味バツグン
鋼とは、鉄に炭素を加えた金属のことをいいます。和包丁は主に鋼が使われています。
鋼の包丁は重みがあり、切れ味がよくて、しかも持続性があるのが特徴です。また、材質が硬いため、魚の骨もよく切れるんです。その反面、欠けやすくてさびやすい特徴もあるため、定期的にお手入れが必要になります。
こまめなお手入れをするのが苦にならない人、一生ものとして使いたい人には、鋼がおすすめです。
ステンレス|耐久性が高くお手入れカンタン
ステンレスは、鉄にクロムを添加した合金です。洋包丁には主にステンレスが使われています。
サビに強くて変色しにくく、手入れしやすいのが特徴です。また、刃こぼれしにくくて耐久性も高いのが魅力。価格帯も安価なものから高級品までさまざまな種類があります。その反面、切れ味は鋼に劣り、炭素を含む鋼より研ぎにくい点が短所です。
刃研ぎが面倒くさい人や、時間がなくて刃研ぎができない人には、ステンレスがおすすめです。
セラミック・チタン・複合材
陶器の一種である「セラミック」は、軽量でサビず金属臭がありません。切れ味は長持ちしますが、研ぐときは専用のシャープナーが必要。衝撃に弱く刃こぼれしやすい短所もあります。
「チタン」は、金属特有のにおいがなくサビません。セラミックより軽く刃こぼれしにくいのと、砥石で研げるのが利点。ただし切れ味を重視する人には向きません。
そのほか鋼やステンレス鋼を芯にして両面をステンレスではさんで接合した複合材もあります。切れ味とステンレスの手入れのしやすさ、折れにくさを両立した素材です。この素材を使った包丁を割り込み包丁ともいいます。最近ではダマスカス系の複合材が注目されています。
【エキスパートのコメント】
家庭用の出刃包丁は切れ味優先で選んでほしい!
普通の包丁と同様、出刃包丁を選ぶときも、切れ味と手入れのしやすさのバランスを考えて選ぶことがポイントです。
ただし、一般の家庭では出刃包丁を毎日つかうことは少ないはず。使ったときだけはしっかり手入れするということにして、切れ味を優先させて選んでみませんか。
「普通の包丁では切れないものや、切ると刃を損なうようなものを切る」という出刃包丁の用途を考えると、切れ味は重要です。
切れ味優先で選ぶのであれば鋼(はがね)製がおすすめ。なかでも鋼100%の本焼といわれるものはバツグンの切れ味です。
しかし、メンテナンスの簡単さが利点のステンレスや特殊鋼製の出刃包丁など、最近では新合金が開発されて鋼に劣らない切れ味をもつものが増えてきました。
【3】柄の形状や材質にも注目
柄の素材|木製・ステンレス製
柄の材質には、木製と、ステンレス製などがあります。
木製の柄には、「積層強化木」「朴」「黒檀」などが使われています。
「積層強化木」は、木板を何層も重ねて加熱圧縮したもので、湿気に強くて撥水性が高いのが特徴です。「朴」は、やわらかくて軽く、水に強くて傷みにくい朴の木も柄に使われます。「積層強化木」「朴(ほお)」ともに、耐久性は低いものの価格が手ごろで初心者におすすめです。
木製柄の究極が「黒檀」です。硬くて水に強く傷みにくさは随一。見た目も高級感があります。こちらはほぼプロが使います。
木製の柄にはほかに、黒檀に似てよりお手ごろな「紫檀(したん)」、朴よりも水につよい櫟(いちい)などがあります。
柄と刃が一体型となった「オールステンレス」のものは、衛生的で耐久性も高く、刃ががたつかないので安全です。ただし、出刃包丁では重くなりがちで、水に濡れたときにすべりやすいこともあり、初心者には向きません。選ぶ場合は、滑り止め加工がされたものを選びましょう。
柄の形|小判型、栗型、八角型の3種類
柄の形状には、小判型、栗型、八角型の3種類があります。
●小判型:小判のような楕円形をしているのが小判型で、出刃包丁に多い形。小判型は、握りやすくて力を入れやすいのが特徴です。最初の一本を求めるのなら、小判型が無難です。
●栗型:円の上部がとがっていて栗の形になっているのが栗型です。栗型の柄は、とがった部分に人差し指をひっかけて刺身を切ったり、切り目を入れたりできます。刺身包丁によくあります。
●八角型:八角形のものが八角型です。八角型は、握りやすくて滑りにくいので繊細な作業に適しますが、慣れないと角が手のひらに当たって疲れる場合もあります。3種類の中では一番高価で、プロ仕様のものにこの形が多く見られます。
柄の口輪
包丁の刃と柄が別素材であれば、刃と柄を固定する部品が必要です。その部品が金属の場合は口金(くちがね)、水牛の角の場合は角巻(つのまき)といい、それらの総称を口輪(くちわ)といいます。
口輪の素材には「金属」、「水牛」の角、「プラスチック」製や「真鍮」製があります。「プラスチック」製や「真鍮」製はポピュラーで安価。耐久性はプラスチックのほうがやや低いようです。
「水牛」の角などの高級な素材は、プロの料理人が使う包丁の口輪に使われています。「水牛柄」は、柄本体の素材は木製で、口輪に水牛を使ったものをいいます。木製の柄に水牛の口輪であれば、同時にすり減っていくため、境目がなく握りやすいのです。
安い包丁には口輪のないタイプもありますが、刃と柄のすきまに水が入ると汚れや細菌がたまって不衛生ですし、柄が長持ちしないので、口輪のついているものを選びましょう。
柄の方式|「差し込み式」or「一体式」
柄と刃をつなぐ方式には、「差し込み式」と「一体式」があります。
●差し込み式:和包丁の柄は「差し込み式」が一般的です。包丁の柄の中に入っている刀身のことを「ナカゴ」といいますが、このナカゴを柄に差し込んで固定する方式を差し込み式といいます。脱落防止に目釘が打たれているものもあります。
●ステンレス一体式:洋包丁に使われているのが「ステンレス一体式」です。刀身と柄が一体になっていて継ぎ目がないので水が入らず、腐ったりさびたりすることがなく丈夫で清潔を保ちやすいのが特徴です。食洗機にも入れられるので便利です。
【エキスパートのコメント】
「差し込み式」なら持ちやすい柄に交換できます
力を入れて切ることが多い出刃包丁では包丁をもったときのバランスや柄の握りやすさも商品を選ぶうえで重要です。柄の材質は天然木製のほか合成樹脂や強化木などがあり、形も長円形や角張ったものなどさまざまなので、自分の手になじみやすそうなものを選びましょう。
また、切れ味は気に入っているけれど柄が手になじまないというときには、刃が差し込み式のつくりの出刃包丁なら柄を交換することも可能です。
柄の口輪部分には合成樹脂や真鍮、水牛の角などがつかわれていますが、長持ちさせるためには柄の内部に水が入らないよう注意が必要。それが心配なら、丸洗いもできてしまうオールステンレスの一体型という選択肢もあります。
【4】「片刃」or「両刃」は利き手で選ぶ
【エキスパートのコメント】
通常の「片刃」は左利きの人には使いにくいので注意
基本的に出刃包丁は片側だけに刃をつけた「片刃」です。「片刃」は、包丁を横にして魚の骨をはずすといった作業をスムーズに行うことができ、また刃に「裏すき」がしてある出刃では魚の身が刃にくっつくことなく、美しくおろすことができます。
対して洋出刃は三徳包丁や牛刀と同じ「両刃」です。「両刃」は、垂直に刃を入れて切るときにはとても切りやすく、初心者にもつかいやすいのですが、包丁を傾けて刃を入れるつかい方ではやや不利です。とはいえ、刃が厚くて丈夫な洋出刃も、骨を切ったり叩いたりという出刃の調理には十分に適しています。
また通常の「片刃」は右利き用で左利きの人はつかいにくいので、左利き用か両刃を選んだほうがよいでしょう。
片刃の和包丁は「裏すき」に注目
「和包丁の良し悪しは裏側(刃がない側)を見ればわかる」というくらい、片刃の包丁の裏側は重要な役割を果たします。その要となるのが裏すきです。裏すきとは、刃の裏側の真ん中にかけて緩やかにへこんでいるわずかなえぐれのことです。
裏すきがあると、刃の裏面が凹状になっているので、切った食材が刃に貼り付きにくくなるという利点があります。また、刃を研ぐときにこのへこみのせいで刃裏が砥石にあたる面積が減り、研ぎやすいというメリットもあります。
選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)