人気ロボットアニメ『機動戦士ガンダム』の40周年を記念したコラボレーション商品の発表会が30日、お台場・ガンダムベース東京で開催された。日本をデザインする工業デザイナーである奥山清行氏が手がける「RX-78-2 ガンダム」のプラモデルなど、新たな視点でとらえた「ガンプラ」が生み出されていく予定であるという。
今回の企画は、1979年に放送開始したアニメ『機動戦士ガンダム』と、来年で40周年を迎える「ガンプラ」を記念したもの。バンダイスピリッツホビー事業部の藤原孝史ゼネラルマネージャーによると、昨年のグループの「ガンダム」シリーズの売り上げは683億円に達しており、特に「ガンプラ」は累計出荷数が5億個を今年突破する見込みとなっているという。さらに出荷数の比率も海外が4割を超す勢いで、今後もさらなる成長が期待されている。
コラボレーションガンプラの中でも特に注目されたのが、フェラーリ・エンツォ、マセラティ・クアトロポルテなどを手がけた世界的な工業デザイナーである奥山清行氏が再解釈する「RX-78-2 ガンダム」である。このガンダムが登場する「機動戦士ガンダム40周年記念KEN OKUYAMA DESIGN ガンプラプロジェクトムービー」が制作され、ガンプラが発売される。奥山氏が本気でプロダクトとしてガンダムを検証しデザインしたらどうなるのかを、映像とガンプラの両面からアプローチする特別企画となっている。
大学生時代に『ガンダム』が始まったという奥山氏は、エンツォフェラーリが発表された際に「ガンダムに似ている」という反響があったことを振り返り、「これはまさにその通りで、僕の中ではずっとガンダムに影響を受けて車のデザインを手がけています。今だからこそ言えますが、あのエンツォのデザインはガンダムにインスパイアされたもの。それが今回やっとガンダムのデザインをやることができる」と喜びを語った。
現在登場する「ガンダム」のモビルスーツは、ストーリーの設定から導き出される、作品の世界観からデザインされることが多い。『ガンダムUC』や『ガンダムNT(ナラティブ)』などの映像作品を担当しているサンライズの小形尚弘ゼネラルマネージャーは、「"工業デザインとしてのガンダム"にすごく興味があります」と期待を込めた。
奥山氏によって新たにデザインされるのは、"ファーストガンダム"とも呼ばれる1979年放送アニメ『機動戦士ガンダム』に登場した「RX-78-2 ガンダム」。自らも「RX-78-2 ガンダム」の大ファンであるという奥山氏は、「RX-78-2 ガンダムはデザイン的にも非常に素晴らしい。けれども、あれをそのままプラモデルにすると動かないんです。その後、当時の技術でガンプラを作るにあたり、大変なご苦労を経て変わっていった『機動戦士Zガンダム』のガンダムMk-IIのようなデザインに変わっていきますが、そのガンダムとMk-IIのあいだで変わったところを戻したかった」と意図を明かした。
2体の構造的な違いの例として、それぞれの腰部に言及。ガンダムはアーマーが動かず"パンツ"のようになっており、一方でガンダムMk-IIはフロントアーマーが展開可能で、足の可動を助けている。ガンダムではこれが可動を難しくしている要因であるようだが、奥山氏はデザインにあたり、「ヒザが"パンツ"をはいたまま胸につくこと」「胴体を90度ねじれること」「右の手で左の肩、あるいは左の手で右の肩を、前からと頭の上から触ることができる可動域をもつこと」を開発チームに宿題として課したという。現在はやっと宿題への解決策が見えてきた段階で、奥山氏は「現在3Dで製作しているが、画像とアニメーションとガンプラが全く同じになる」と自信を見せた。
最後に藤原氏から、「今回のコラボでは、ガンダムの全身すべてをリファインしています。動いた時の説得力はもちろん、手に取ったときに違いを感じていただける商品になると思っています。正式な発表までは、公開されたビジュアルからいろいろな妄想をふくらませてほしい」と語った。奥山氏とのコラボレーションガンプラは現在鋭意制作中で、発売時期と価格は未定となっている。
(C)創通・サンライズ