就職活動でお世話になったアイテムの数々――。例えば、毎日のように着ていた「リクルートスーツ」、空き時間に大学の自習室で頭を悩ませた「SPI対策本」、エントリーシートを書くときは必ずコレと決めていた「お気に入りのボールペン」などには、個人の様々な思い出が詰まっている。

だから「簡単には捨てられない」、そんな思いを抱く人も多いのではないだろうか。そこで、神職に”お焚き上げ”をしてもらえるユニークな取り組みが準備された。商売繁盛にご利益のある神田明神(東京都文京区)で、今週末まで実施中だ。

  • 就職活動でお世話になったアイテムを"お焚き上げ"する取り組み。資生堂ジャパンが神田明神で行っている

そこには、悲喜こもごものドラマが

この取り組みは、資生堂ジャパンが「recipist(レシピスト)就活納めの儀」として実施しているもの。多くの企業で10月1日に内定式が行われることを見越し、10月3日から6日までの4日間限定で実施している(受付時間は10時~17時)。思い出の詰まった就活アイテムを持ち寄れば、スキンケア&ボディケアのブランドrecipistの新製品と交換できる趣向だ。

  • 神田明神の境内に設置されたイベントスペース

どんなアイテムが納められているのだろう?担当者によれば、やはり参考書やボールペンなどが多いという。あとは会社案内。中には、パンプス(靴)と絆創膏をセットで納めた女性もいた。「まだ、綺麗なパンプスでした。就活のときに企業に指定されたため買ったものの、足には合わなかったそう。靴ずれしてしまうからと、常に絆創膏も持ち歩いたそうです。我慢しながら、ずっと履き続けた。もう必要なくなったけれど、捨てるに捨てられないので納めに来た、そう話していました」。就職活動は、その人の人生をも左右する重要なイベント。だからアイテムの1つひとつに、こうした悲喜こもごものドラマが潜んでいる。

  • アイテムを奉納する穴には「がんばった」「ありがとう」「ささえでした」の文字。そのアイテムに対する思いに、イチバン近い穴を選んで納める

ところで就活でお世話になった人に感謝の気持ちを伝える、このタイミングが難しく、意外とできていない人も多いらしい。そこで、イベントスペースには「キチョハナカンシャ」のコーナーが設けられた。キチョハナカンシャとは「貴重なお話をありがとうございました」の略。綺麗なお花をバックに写真を撮って、先輩、家族、友だち、恋人などお世話になった人にメールなりLINEなりで感謝を伝えてもらおう、という狙いだ。このほか、「就活あるある」でほっこりできるコーナー、おみくじが引けるコーナーもあった。

  • 趣向を凝らしたコーナーが用意されている

なお本イベントは男性も参加可能。「何年前に就活を終えました」といった社会人でも良いとのこと。先の担当者は「就職活動でお世話になったアイテムを感謝の気持ちで納めることで、心にひとつの節目を迎えられます。recipistが、そんな新社会人のはじめの1歩を応援できる存在になれれば幸いです」と話していた。