色とりどりの野菜と穀物、ときには果実、をひとつの皿に盛った「ブッダボウル」。海外発信のこの「サラダ丼」は、野菜がたっぷり食べられてフォトジェニックということもあり、日本でも人気が上昇中だ。
-
色とりどりの野菜がのったブッダボウル
ブッダボウルにいち早く目を付け、ブッダボウル専門店「マリデリ」をオープンしたのがフード・アーティストの前田まり子さん。彼女が作り出すブッダボウルには決まりがなく、全ては彼女の気分次第。しかし、そのどれもがおいしくワクワク感にあふれ、訪れた人を魅了し続けている。
「平日の4日間、昼間だけ」という営業形態について、前田さんは「行き着いたベストなスタイル」だと笑う。このたび、著書『ブッダボウルの本』を刊行した前田さんに「好き」を仕事にする理想の働き方について、お話を伺った。
-
前田まり子
フード・アーティスト。イタリア、タイ、インド、カフェ、バーなど様々な飲食店で料理の腕を磨く。2000年夏、葉山にカノムパンをオープン。現在はMarideli helps u lose ur mind名義でランチ、ケータリング、ヴィーガンベイキング、メニュー開発など、Natural&healthyをテーマに活動中
感性で彩るマリデリのブッダボウル
-ブッダボウル、とてもきれいでおいしいです。前田さんのオリジナルレシピなのですか?
今日は夏野菜のガーリックオイル煮に小松菜やケール、おかひじき、生で食べられるカボチャのコリンキーなど10種類以上の野菜を使っています。味付けもシンプルにオリーブオイルと塩がメインです。まずは野菜ひとつひとつの素材の味を楽しんで、その後で全部混ぜてみてください。混ぜて食べた方がおいしいんですよ。
私のブッダボウルは、私のスタイルで作っています。心がけているのは、よく噛んで食べられるような大きさにすることくらいですね。野菜の歯ごたえが好きなんです。
いろいろな野菜のテクスチャーを、均等に一皿の中に盛り込むことを心がけています。違う食感を混ぜることによって、味にもメリハリが出るんです。
-
10種類以上の野菜が使われている
-色もとてもきれいですし、混ぜると更においしくなるのが不思議です。本(『ブッダボウルの本』)にもたくさんのメニューがありましたが、メニューは決まっているのでしょうか
野菜そのものの色がきれいですよね。野菜のチョイスは無意識なのですが、不思議と見た目も味もバランスがとれているようです。
メニューはその日の野菜によって変わります。ほぼ私の感覚でできあがっていますね(笑)。自分で食べてみて、「うん!おいしい」なんて言っています。
野菜は、近所の八百屋さんで買います。笑顔が素敵なネパール人の青年がいる八百屋さんが、お気に入りです(笑)。通販などでも野菜は買えますけど、私は自分の目で見て買うタイプ。元気な野菜が売られているところで買いたいんです。野菜を見てからメニューを決めていますね。
-なぜブッダボウルを専門にしようと思ったのですか?
ブッダボウルを初めて知ったのは、今から1年3カ月位前、マリデリを初めてから3、4カ月くらいたっていた頃です。友人がFacebookにアップしたブッダボウルを見て、「いいかも」と思いました。
広尾から恵比寿にお店を移転したタイミングだったのですが、広尾の店と同じことは止めようと思っていました。前の店はお弁当をメインにしていて、ビジネス街のサラリーマンがターゲットだったので、安くしないと売れなかったんですね。
そこで、恵比寿の店に移ったときに、「本当に自分が得意なことをやろう」ということで、動物性食品を使用しない「ヴィーガンプレート」を出すようになりました。ブッダボウルの存在を知ったのは、ヴィーガンプレートの手応えを感じていた頃です。
ブッダボウルに惹かれた理由は、名前の引きが良いこと。アメリカの西海岸ではやっていて「zen(禅)」の思想を取り入れたというのも好きでした。そして、日本ではまだ有名じゃない。「いいかもしれない。ブッダボウルいただき!」って(笑)。
-ヴィーガンプレートからブッダボウルに移行……メニューを変えることに抵抗はなかったのですか?
もともとヴィーガンプレートをやっていたので、移行には抵抗ありませんでした。
ヴィーガンプレートとは違うナッツを使ったり、キヌアを炊いてみたり、新しいことに試行錯誤することも楽しくて。試したり発見したりしているうちに、どんどん新しいお客様もやってきて、ファンがついてきたと感じています。