太平洋戦争中、宛先に届かなかった多くの手紙。19日放送のドキュメンタリー番組『NHKスペシャル』(毎週日曜21:00~)では、「届かなかった手紙 時をこえた郵便配達」と題し、70年余りの時を経て初めて手紙を届ける。
戦場の兵士と故郷の人々の間を行き交い、年間4億通にも達した軍事郵便。戦況が悪化するにつれて未達の手紙が増え、米軍や豪軍に押収され、その多くは返還されなかった。
死と向き合う極限の状態の中で、検閲に配慮しながら家族や友人への思いが紡ぎ出された言葉の数々。兵士たちが手紙に託した思いは行き場を失い、70年以上の長きにわたってさまよっている。今、そうした未配達の手紙が国内外で次々と発見。手紙を押収した米兵や豪兵が亡くなり、インターネット・オークションで売りに出されているためだ。
兵庫県の団体が戦時中の17万通の手紙を調べたところ、数十通が未配達と判明する。また、日本の研究者らは、海外各地の文書館を調べ、計100通を超す未配達の手紙を発見。番組では、宛先の遺族や関係者を探し、未達だった手紙を初めて届ける。
配達先では、手紙に秘められた様々なドラマが見えてくる。70年前に届かなかった思いをつなぎ、戦争の知られざる一面を描く。