『めちゃ×2イケてるッ!』フィナーレ収録の翌日、そして『とんねるずのみなさんのおかげでした』の最終回が放送された3月22日。東京・台場のフジテレビ本社で、新たなバラエティ番組の芽が生まれようとしていた。

この日行われたのは、フジテレビのバラエティ番組を制作する編成局制作センター第二制作室が開催した、公開イベント形式の「企画プレゼン大会」。初めて開催した前回(昨年9月)に優勝した『超逆境クイズバトル!!99人の壁』は、昨年大みそかの午前帯の放送から、プライム帯をへて、第3弾が8月15日のゴールデン帯(19:00~21:00)に放送と、コンテンツとして順調に育っている。果たして、今回はどんな企画が番組化されるのか――。

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    「企画プレゼン大会」ファイナリストの面々

第二制作室のオフィス階数にかけて「13階クリエイター企画プレゼン大会」と名付けられたこのイベントは、会場に集まったフジテレビ社員の投票でトップ3に入った企画を、編成部が枠を空けて番組化。前回は社員のみの参加で53本の企画が集まったが、今回は外部スタッフにも応募の門戸を開放し、計72本(社員51本/外部21本)が書類審査にかけられた。その結果、9本(社員7本/外部2本)が、決勝に進出。1人持ち時間3分で、企画をプレゼンしていった。

前回『99人の壁』でチャンピオンとなった千葉悠矢氏は、今回もファイナリスト入り。他にも、入社2年目のAD、金メダルを目指して金髪に染めてしまった3年目、『ワイドナショー』の演出を手がける宮川直樹氏といった第一線のスタッフまで、まさにバラエティに富んだ面々が、グルメやチャレンジ、検証モノなど、個性あふれる企画を来場者にぶつけていった。

おじさん&おばさん版「はじめてのおつかい」

こうして熱いプレゼンが繰り広げられた結果、第3位(銅メダル)に選ばれたのは、『FNS歌謡祭』『MUSIC FAIR』『KinKi Kidsのブンブブーン』などを手がける浜崎綾氏の『夢の数だけ抱きしめて』(9月22日13:30~14:25)。ファイナリスト最年長の同氏が企画したのは、人生の大ベテランである「55歳オーバー」の芸能人が、密かに抱いている夢をかなえるというロケドキュメントバラエティで、いわば“おじさん&おばさんの「はじめてのおつかい」”だ。

浜崎氏は、ベテラン芸能人と番組の打ち合わせをした際、「本当はあんなことをやりたいんだけど、プライベートではもちろん機会がないし、番組スタッフに『何かやりたいことありますか?』と聞かれて提案しても、苦笑されてスルーされたそうなんです」と悲しい思いを感じたことが、企画を思いついたきっかけだったと説明。「浴槽いっぱいに大好きなフルーチェを作って心置きなく食べたい」「自分の手でカブトムシを捕まえたい」と、“夢”の一例を示した。

どんな大御所が、どんなバカバカしい夢を持って、かなえた瞬間にどんな顔を見せるのか…想像するだけでニヤけてしまい、実は投票に参加した筆者はこの企画に投票。浜崎氏は「夢を与えて心が温かくなるような番組に仕上げたいと思います」と意気込みを語った。

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    『夢の数だけ抱きしめて』(9月22日13:30~14:25)
    MC:バナナマン・日村勇紀、福原遥 / 挑戦者:森昌子、前田美波里、筧利夫 / プロデューサー:太田一平
    写真は、プレゼンする浜崎綾氏

お笑い賞レースの新ジャンルを確立

第2位(銀メダル)に選ばれたのは、制作会社アルファ・グリッド所属で『ジャンクSPORTS』『THE MANZAI』『ENGEIグランドスラム』などを担当する飛田竜平氏の『ロケ最強芸人決定戦 外王』(8月14日深夜1:35~2:35)。その名の通り、ロケVTRで一番面白い芸人を決めるという、新たな賞レースだ。

漫才、ピン、ピン芸、女芸人と、お笑い界で数々のナンバー1を決める大会がある中、飛田氏は「ロケでも一番を決めたらいいのにと思ってたんです」と着目。「漫才が面白い人はロケも面白かったりするので、フジテレビで賞レースがない中(※『R-1ぐらんぷり』はカンテレ制作)で、ロケ番組が新たなジャンルとして確立されていったら」と力を込めた。

ルールは、同じ場所・台本で進行することを想定しているが、参加芸人のイジりどころは「絶対にかぶらない」と断言し、「芸人さんといっぱいお仕事したいですし、芸人さんが『面白いね』とか『この企画だったら本気出したい』と思ってくれる企画は、視聴者の方にも届くと思います」と熱弁。番組化が決まると、「とにかく熱が伝わるようなものを作りたいと思いますので、よろしくお願いします」と、あらためて意気込みを示した。

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    『ロケ最強芸人決定戦 外王』(8月14日深夜1:35~2:35)
    MC:宮川大輔、千鳥 / 審査員:堂本剛 / 挑戦者:ダイアン、銀シャリ、三四郎、かまいたち / プロデューサー:中嶋優一、蜜谷浩弥
    写真は、プレゼンする飛田竜平氏

新たな“知的発見バラエティ”に

そして第1位(金メダル)に輝いたのは、3年前まで報道にいたという山崎貴博氏の『NG探偵~禁止の理由を解き明かせ~』(番組タイトルは『サンドウィッチマンのNG調査団!!』8月4日16:30~17:30)。世の中で禁止(=NG)になっているものを探し、徹底的にその理由を解き明かしていくという内容だ。

『バイキング』を担当する山崎氏は、一連の相撲界の不祥事の中で、今年1月に大砂嵐関(当時)が自動車事故を起こしたという話題を取り上げた際、「力士が車を運転できないということが、協会のルールで決まってるということを初めて知りまして、驚いたんです」といい、ここから「他の業界でも独自の禁止事項が存在するのではないか?」と考えたそう。調べてみると実際に存在したことから、企画の立案に至った。

ネタによっては、その理由をクイズ化することも想定。さらに、「スポーツ選手やアナウンサーなどが自分に課しているNG事項みたいなこと取り上げるのもいいかなと思っています」と、レギュラー化したときの企画の広がりまでプレゼンし、「ぜひフジテレビの新しい知的発見バラエティができれば」と意欲を示した。

今回の放送では、「大丸東京店、大躍進のワケには様々なNGが!」「7年連続!顧客満足度NO.1スーパー・オーケーのNG連発に興奮」「主婦に大人気!世界一の料理動画サービス・クラシルに潜入!」に加え、特別企画として「超一流ホテル・コンシェルジュ VS セレブの衝撃オーダー その依頼に…OK出した?NG出した?」といったコーナーも展開。金メダルの放送枠は、時間帯も予算も一番良いということで、優勝を決めた山崎氏は「面白い番組にしますので、よろしくお願いします」と力強く語っていた。

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    『サンドウィッチマンのNG調査団!!』(8月4日16:30~17:30)
    MC:サンドウィッチマン / スタジオゲスト:三田寛子、足立梨花 / レポーター:遼河はるひ、ギャル曽根、関根麻里 / プロデューサー:小仲正重、狭間英行
    写真は、プレゼンする山崎貴博氏(左)とスタジオの様子

会場の参加者からの質疑応答も行われ、今回のプレゼン大会も盛況。終了後、取材に応じた山崎氏は「家族で見られるバラエティをフジテレビはもっと増やしたほうがいいという思いもあったので、こういう企画を考えました」と狙いを明かす。

そして、このプレゼン大会の立案者である坪田譲治第二制作室長(当時、現・第二制作室担当局長)は「応募総数も増えて、前回よりレベルが上ったんじゃないかなと思います」と手応え。また、「山崎という報道をやってきた人間が、バラエティの企画で優勝したということは、社内の違う部署でバラエティをやりたいという人たちにも刺激になったのではないかと思います」と、副次効果にも期待を示した。

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    坪田譲治氏(左)と山崎貴博氏

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    会場の様子

(C)フジテレビ