――アクションといえば、第1話でルパンレンジャーがギャングラーと戦っているとき、カメラがキャラクターをぐるぐると囲んだり、頭上を飛び越えたりするアクロバティックな撮影手法が話題になりました。ああいったのも初めての試みですね。

少し説明しますと、空中からカメラを吊るして撮った映像と、別の定置カメラで撮った映像などを素材にして、それらをデジタルでつなげてワンカットで撮影しているように見せるテクニックが使われています。イメージとしては「VR」なんですけれど、テレビですからこちらの見せたい部分、見てほしい部分を臨場感のある中で振っている感じにはしています。アクション演出に関しては、福沢(博文)アクション監督の力が大きいですね。先ほど言いましたカメラを吊って動かすやり方も、回を重ねるごとにどんどん洗練させていって、ある回では福沢さん自身がカメラを構えて、アクションをしている中に入ってぶんぶんカメラを振り回すといった、わりとアナログなやり方も試みています。手法はアナログですけれど、出来上がった画面は本当に今までにない斬新なものに仕上がっています。

――今回の映画『en film』についてお尋ねします。『ルパパト』初の映画ということで、テレビと違った部分を意識されたことはありますか。

逆に、テレビで今までやってきたことを踏襲しつつ、それらをブラッシュアップして、より洗練させた形のものにしようという考えでやりました。新しいことをやるという思いで始まった『ルパパト』も、始まってはや半年。今までやってきた中で、試行錯誤を繰り返すことによって新しくなったことって、たくさんあるんです。それらを改めて見直して、今やることのできる最良のもので、いちばんお客さんを驚かすことのできる効果的な画を作る……というのを、常に考えてやっていました。

――そんな中で、映画ならではのいちばんの「仕掛け」といえば、田中直樹さん演じる名探偵エルロック・ショルメの登場と、テレビでは対立しているルパンレッドとパトレン1号が一時的とはいえ共同でギャングラーに挑む、という展開ですね。

特にルパンレッドとパトレン1号の共闘について、僕は映画だからといって快盗と警察が「仲良く手を組もうぜ」となるのがどうしてもイヤで、脚本の段階から香村(純子)さんに意見させていただいたんです。何かをきっかけにして一気に手を組むというより、だんだんとお互いを認めていくプロセスを経て、やっと共闘が実現する、というような仕組みにしたいとお願いしました。

――快盗と警察、どちらのファンもワクワクする展開になりそうですね。では最後に、杉原監督から映画の見どころ、イチオシのポイントを教えてください。

そうですね~。時間も短いですし、基本的に全編が見どころと言いたいんですけれど(笑)、特にというと、やっぱり今まで作品を支えてきてくれた2人のレッドが、河原でそれぞれの本当の気持ちを聞き合うシーンですね。そこは特にしっかりと観ていただきたいです! 魁利は特に、今まで本音でしゃべるということをしなかったキャラですから。伊藤(あさひ)くんも結木(滉星)くんも、このシーンはすごく演技に力が入っていて、画面の密度を高めてもらいました。ぜひ、公開の日を楽しみにしてください!

――そして、テレビシリーズでは新戦士のルパンエックス/パトレンエックスが登場し、快盗と警察の両方をかき回していく模様です。はたしてルパンレンジャーとパトレンジャーは今後、どうなっていくんでしょうか?

さあ、どうなるんでしょうか(笑)。正直なところ、僕にもわからないんです。でも、みなさん気になるでしょうね。コグレさんの正体も謎のままですし……。基本的に、作品を作りながらキャラクターもどんどん成長しているんです。だから、もともと宇都宮(孝明/プロデューサー)さんや香村さんが考えていた構想とは、いい意味でそぐわなくなっていく場合もあります。作り手が最初に考えていた枠を飛び出して成長している可能性が高いので、最終回がこれからどうなるか、もともとの構想から大きく離れた結末を迎えることがあるかもしれないんです。ですから、テレビをご覧になっているみなさんも毎週のオンエアを楽しんでもらって、キャラクターの成長をリアルタイムで見守っていただければうれしく思います!

(C)劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 (C)2018テレビ朝日・東映AG・東映