7人乗りSUV「アセント」が家族向けスバル車に

最近発売した北米専用車種、7人乗り大型SUV「アセント」の評判も上々だという。こちらも、スバルには家族向けの車種がないというユーザーの声から生まれたクルマだった。スバルの強みを考えてSUVとして送り出したところ、「クール」という評価をもらっているそうだ。家族向けといえばミニバンを求める日本のユーザーとは、少し違う選択眼を米国ユーザーは持っているらしい。

  • スバルのアセント

    「アセント」が家族向けスバル車という需要に応えている(画像提供:スバル)

昔はセダンも強かったが、ここ数年でSUVへのシフトが明確になってきたというのが本間課長の実感だ。クルマの使い方としては、休日にアウトドアを楽しむ人が多く、販売店でもそういうスタイルを提案しているという。「WRX STI」などのスポーツモデルも売ってはいるが、これらも日常使いの中で楽しむ人が多いそうだ。

これ以外にユーザーの特徴としては、日本よりも安全性を重視する姿勢があるという。この分野は、ほとんどの車種がクラストップであり、安全でスバルを選ぶ人が多いことが伸びにつながったとも見ている。「アイサイト」(ステレオカメラを用いた安全運転支援システム)は2013年に導入し、2年後から本格的に訴求を始めた。インプレッサから導入した新開発プラットフォームも安全性を引き上げており、アピール材料になると考えている。

  • スバルの新型フォレスター

    安全性がスバル車を選ぶ理由になる。本間課長が米国の家族を例に挙げて説明したところによると、大きなピックアップトラックに乗っている父親が、「安全だから」という理由で母親に「フォレスター」を勧めるようなケースもあるそうだ(画像は新型フォレスター)

合理的な考えも米国ユーザーの特性だ。日本ではハイブリッド車というだけでクルマを選ぶ人もいるが、現地ではハイブリッドの価値をしっかりと聞き、自分の用途に合った場合にだけ選ぶ人が多いという。もちろん、使い勝手も重視する。耐久性もポイントのひとつで、1台を長く乗り続ける人が多いそうだ。

“タマ不足”は解消へ?

これだけ急激に台数が伸びたので、現地ではスバルのクルマが足りないという状況が続いてきた。増産したものの需要に追いつかず、「もっと送ってくれ」という声も多かったという。ただしスバルは米国にも工場を持っており、以前から担当していたトヨタ自動車「カムリ」の委託生産が終了した分をスバル車の増産に回したことで、現在はバランスのいい状態に落ち着きつつあるという。

もっとも、米国市場偏重の現状を危惧する声も多い。特に現大統領は、最近も輸入車に25%もの高い関税を掛けると豪語しており、もしこれが実現すると、スバルも大きな打撃を受ける可能性がある。これについて本間氏は次のように語っていた。

「確かに米国市場の存在感は高くなっています。会社全体が強くなるには他の地域の成長も必要で、グローバルでのバランスが大事だと思っていますが、米国での勢いは続けたいという気持ちもあります。今年は5%成長を目標に掲げています。ハードルは高いですが、達成できるのではないかと思っています」

  • スバルの本間課長

    米国では今年、5%の成長が達成できると本間課長は見る

確かに現地では、アセントに続き、このあと新型フォレスターが発売されるので、新車効果が台数を押し上げるだろう。米国でのスバル快進撃は今年も続きそうだ。