強敵コロンビア代表をグループリーグ初戦で撃破する大金星とともに、世界に衝撃を与えた日本代表が日本時間25日0時、ロシア中部のエカテリンブルク・アリーナでセネガル代表との第2戦に臨む。異次元のスピードを搭載する左右のサイドアタッカーを封じ込める「一の矢」を担うのは、西野朗監督の下で初めて先発でそろい踏みした乾貴士(レアル・ベティス)と原口元気(ハノーファー)。タイプの異なるドリブルを駆使する、30歳と27歳の両翼が決勝トーナメント進出へのカギを握る。

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    乾貴士(左)と原口元気

2人のドリブラーが初めて先発で競演したコロンビア戦

乾貴士と原口元気。ともにドリブルを武器とする2人が、日本代表として先発でそろい踏みを果たしたのは、コロンビア代表から記録と記憶に残る大金星をもぎ取った、19日のワールドカップ・ロシア大会のグループリーグ初戦が意外にも初めてだった。

どちらかが途中出場し、ピッチ上で共演したのも過去に3度しかない。ハリルジャパン時代の昨年10月に行われたハイチ代表戦と、あとは西野ジャパンがワールドカップ直前に戦ったスイス、パラグアイ両代表戦。合計時間も74分間と、1試合分にも満たない。

ともに右利きで、左サイドからドリブルでカットインし、右足でシュートを放つプレーを最も得意とする。中盤の左サイドを競い合ってきた2人の関係を象徴するように、原口が先発し、後半途中から乾に代わったパターンが昨年6月以降で4度を数えている。

一転して原口が右サイドに回って共演する形が生まれ、コロンビア戦ではともにフル出場を果たしている。日本代表を率いる西野朗監督の狙いはどこにあるのか。左右の「翼」として攻撃力を発揮すること以上に、実は守備面で非常に高い信頼を得ていることが分かる。

少年時代から憧れ続けたスペインで急成長した乾

左サイドの乾はラ・リーガ1部で身につけた、高度な守備戦術を駆使している。相手のセンターバックがボールを持った時に、絶妙なポジショニングで複数のパスコースを消去。あるいは意図的にサイドへのパスを誘導し、味方の左サイドバックやボランチと連動してボールを奪い取る。

「スペインでプレーしたいと、小さなころからずっと夢見てきた。本当に憧れ通りだったというか、上手い選手が大勢いるし、すごく楽しくできているし、何の不満もありません。ここで長くサッカーができたら、自分のサッカー人生で最高の宝物になると思っているくらいなので。ドイツではストレスを感じながらプレーしていたし、そういう点でも全然違いますね」

横浜F・マリノスを皮切りにセレッソ大阪、ブンデスリーガ2部のボーフム、同1部のアイントラハト・フランクフルトを経て、ラ・リーガ1部のSDエイバルへ移籍したのが2015年8月。憧憬の念を抱き続けてきた地でいかに充実した日々を送っていたかが、乾が残したコメントからも伝わってくる。

個人技を前面に押し出すことが求められただけではない。ラ・リーガ全体に共通する、自身にとっては未知の守備戦術をマスターすることで、中堅と呼ばれる年齢になって久しい自分がレベルアップできる。その先にまだ見ぬワールドカップがあると、乾は信じて疑わなかった。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が指揮を執って2戦目となる、2015年3月31日のウズベキスタン代表との国際親善試合で先発。後半18分までプレーしてからは、日本代表で乾が刻んできた軌跡に長い空白期間が生じてしまった。それでも、不思議と焦りはなかった。

「2年とちょっとの間は代表に呼ばれなかったけど、代表に選ばれるかどうかは監督次第なので、特に気にしていなかったですね。まずはチームで結果を出す、ということだけを考えていたので」

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