東京都交通局は14日、都営浅草線の新型車両5500形の撮影会を実施した。2回目となる今回の撮影会では、6月11日の試乗会・撮影会で公開された第1編成(5501編成)に加え、先日搬入された第2編成(5502編成)も報道関係者らに公開。新型車両2編成が並んだ。
撮影会は馬込車両検修場にて行われ、第1編成は「エアポート快特 羽田空港」、第2編成は「アクセス特急 成田空港」の表示だった。2編成並んでの撮影が行われた後、第1編成が移動し、編成ごとに撮影することもできた。
6M2Tで運転最高速度120km/h、加速度3.3km/h/s
都営浅草線の新型車両5500形は8両編成で、総合車両製作所「sustina(サスティナ) S13シリーズ」をベースとした車体長18m・片側3ドアのステンレス車両。先頭車の1号車(Mc1)・8号車(Mc8)は定員121名(座席定員35名)、台車形式は「T-1D」、重量33.6トン。中間車は6両とも定員134名(座席定員45名)。2号車(M2)・3号車(M3)・6号車(M6)・7号車(M7)の台車形式は「T-1E」で重量30.8~32.0トン、4号車(T4)の台車形式は「T-1F」で重量28.9トン、5号車(T5)の台車形式は「T-1G」で重量28.5トン。
台車は空気ばね・ボルスタ付き台車とされ、6M2T(電動車6両・付随車2両)の構成で、パンタグラフ(ステンレス製シングルアーム、ばね上昇空気下降式)は3・6号車に2カ所ずつ設置されている。
車体寸法は長さ18,000mm(連結面間)・幅2,808.8mm(車側灯間)・高さ4,045mm(パンタ折りたたみ時)。車両性能は運転最高速度120km/h、設計最高速度130km/h、加速度3.3km/h/s、常用減速度4.0km/h/s、非常・保安減速度4.5km/h/s。ブレーキ装置は「自動列車停止装置連動・応荷重装置付電空併用電気指令式電磁直通ブレーキ 保安ブレーキ付」とされ、「M台車(片押踏面ブレーキ)」「T台車(片押踏面併用ディスクブレーキ)」とのこと。
制御装置は「VVVFインバータ、電力回生ブレーキ・最適励磁制御機能・新負荷回生制御機能付」。次世代半導体素子SiCを採用したVVVF装置で環境負荷の低減を図った。主電動機は「かご形3相誘導電動機全閉自冷式 155kW×4台/両」。低電圧電源装置は「静止形インバータ方式(SIV) 260kVA」。空気圧縮機は「三相誘導電動機駆動二段圧縮ピストン式オイルフリー 1300リットル/min」。信号保安装置は「デジタル符号伝送式及び商用周波数軌道回路式(デジタル処理併用) 連続速度照査方式(2重系)」、列車無線装置は「大地帰路方式誘導無線電話」、車両情報管理装置に「INTEROS装置」を採用した。
快適な車内空間とするため、冷房能力を強化しつつ空気清浄機能を有した空調装置を採用。冷房装置は「屋根上集中式 58.14kW(50,000kcal/h)×1台/両」、客室の暖房装置は「2段階切換式シーズ線ヒータ」とのこと。照明装置は車内・車外ともにLED化され、客室灯LED照明は40W相当とされている。防犯カメラは各車両4台ずつ、天井部分に設置された。
新型車両5500形では、座席幅が475mm(既存車両は座席幅460mm)に拡大され、シートの背面に寄せ小紋、座面に亀甲模様が施されている。車端部の座席はすべて優先席に。車いす・ベビーカー利用者や大きな荷物を持った利用者向けのフリースペースが全車両に設置され、袖仕切りの背当てなど居住性にも配慮した。袖仕切りは大型化され、ガラス部分に江戸切子調の柄を採用。カーテンや連結部のガラス引戸に沿線由来のイラストを取り入れ、落ち着きのある和の雰囲気の中にも遊び心のある空間デザインとしている。
荷棚は既存車両より130mm低くして荷物の上げ下ろしを行いやすくし、吊り手・手すりを増設するとともに、一部の吊り手を低くしてつかみやすくしている。情報提供装置として、ドア上に17インチLCDの2画面液晶モニターが設置され、多言語対応で訪日外国人にも充実した案内情報を提供する。ドアは万が一挟まっても引き抜きやすいタイプとした。
「sustina」は車体の長さ・ドア枚数でグループ分けされる
新型車両5500形で採用された「sustina(サスティナ)」は、総合車両製作所が製造した次世代ステンレス車両のブランド名であり、車両プラットフォーム(車体構造・機器システム)の仕様をできる限り共通化し、コストダウンを追求したことが特徴のひとつに挙げられる。「sustina」の車両は車体の長さとドア枚数によってグループ分けされており、車体長18m・片側3ドアの都営浅草線5500形は「S13シリーズ」となる。
ちなみに、静岡鉄道A3000形も都営浅草線5500形と同じ「S13シリーズ」。JR東日本E129系、しなの鉄道に導入予定の新型車両は20m・3ドアの「S23シリーズ」、JR東日本E235系、東急電鉄2020系・6020系、京王電鉄5000系は20m・4ドアの「S24シリーズ」となっている。いずれも共通プラットフォームでコストダウンを図りつつ、前面デザインや車体のカラーリング、内装などが工夫されている。都営浅草線5500形も、歌舞伎の隈取りをアレンジした凛々しく躍動感のある外観デザインとし、個性を際立たせた。
新型車両5500形は6月30日から営業運転を開始し、当面は都営浅草線内で運行予定だという。都営浅草線では、今後も新型車両が順次導入され、全27編成を置き換える計画となっている。