2018年5月30日、1stシングル「NEW WORLD」を引っさげてアーティストデビューした若手男性声優。それが内田雄馬だ。

  • 内田雄馬(うちだゆうま)。9月21日生まれ。東京都出身。アイムエンタープライズ所属。主な出演は『マクロスΔ』ハヤテ・インメルマン役、『アイドルマスター SideM』桜庭薫役、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』涼野ユウ役、『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレジェンドスター』鳳瑛二役など

作品のライブイベントなどで披露してきた、さわやかで伸びのある歌声とキレのあるダンスを武器にアーティスト活動を始める内田。今回は、内田のアーティスト面、声優面、そして新しい挑戦についてたっぷりと聞いた。

▼キャラクターは引き算、内田雄馬は足し算

――まずはアーティストデビューおめでとうございます。念願の……になるんですか?

ありがとうございます! アーティストデビューについてはほとんど考えたことはなかったんです。声優として活動しているので、アーティストは遠い話だなと。なので、「アーティストとして活動しませんか」とお話がきたときは嬉しかったですね。

――不安とかは。

ほとんどありませんでした。声をかけていただかないとできないことだと思っていたので、まずは挑戦してみようと。何が待っているのか、何ができるのかというワクワクやドキドキはありました。

――アーティストとして活動するにあたって、どういう方向性でいこうと考えました?

歌うのはもちろんなんですけど、踊るのも好きなんですよ。好きなアーティストにダンスをしている方が多くて、自分もやってみたかったんです。

――一番外せない部分がダンスだった。

ですね。デビュー曲のタイトルは「NEW WORLD」。新しい世界。アーティストデビュー自体が新しい挑戦なんですけど、これまでアニメやゲームの作品のライブで歌ったり踊ったりすることをやらせていただく機会があり、すごく楽しくて。なので、アーティスト活動では自分の新しい表現としてダンスをしたかった。そこが芯になっていると思います。

――それほどまでダンスに対して熱があるのはなぜなんでしょう。

これまで聴いてきた楽曲にダンスミュージックが多かったからというのもありますけど、体ひとつで歌って踊って、人を熱狂させて、感動させることができるのってすごいことだと思っていたんです。声優もある意味そうじゃないですか。体ひとつで演技をする。声優としてお芝居をやらせていただいている中で、体ひとつで表現できる幅をもっと増やしたいという欲求がありました。ハイクオリティな人間になりたいという憧れがあるんです。

――まさに新しい挑戦ですね。ふだんはどういった楽曲を聴かれるんですか?

中学高校のころはフォークをよく聴いていて、高校卒業のあたりからR&Bを聴くようになりましたね。そのあたりに聴いていた音楽の影響が強いです。特にR&Bのリズムの心地よさは好きですね。

――これまではキャラクターとして歌うことはあっても、個人として歌うのは今回がはじめて。そういった意識の違いみたいなものは感じられていますか?

キャラクターソングは、まず一番に作品の世界観やキャラクターのことを考えてどう歌うかを構築していきます。いろいろなものを足して、歌ったあとに「このキャラはこういった表現はしないかな?」と引き算していく作業が大事なんです。キャラクターの枠を飛び越えすぎてもいけないけど、歌を通して新しい側面を見せたい。本当いろいろな表現のバリエーションを経験として積み重ねてくることができました。自分として歌う場合はアーティスト内田雄馬として、できることをどんどん足していきたいと思っているんです。そうなると「あれもやってみたい、これもやってみたい」と欲張りになってしまうのですが(笑)。そこが大きな違いですね。

――無限に足していける。

足した分だけ上限が広がっていく感じですね。そうやって足していって、アーティスト活動で経験したことを、今度はキャラクターに返していく。そういう現象がいま自分のなかで起きていて、すごく楽しいんです。

▼やっと歌えるぞ

――それでは「NEW WORLD」についてですが、最初に聴いたときの印象は?

まずどういった楽曲を選ぶか、最初の方向性として「BRIGHTな楽曲にしたい」というのがありました。前向きな曲にしたかったんです。たくさんの候補曲を聴かせていただいた中で、「これだ!」と選んだのが「NEW WORLD」でした。

――レコーディングはいかがでした?

すごく楽しかったです。最初の一発目は緊張したんですけど、「はやく歌いたい!」って気持ちのほうが大きかったので、「やっと歌えるぞ」と思いながら収録していきました。いざレコーディングしてみると「こうしないといけない」という型はないんだなと気付いたんです。

――あまり苦戦せず。

苦戦というより、念入りにレコーディングしたのはラップですね。ラップも僕にとっては新しい挑戦で、聴くことはあっても歌うことはあまりなかったんです。もともとラップを入れるか入れないかって話もあったんですけど、この曲の最高の形がこれだなと思いましたし、やっぱり挑戦しないとな、と。自分の中で正解がわからなかったので手探りでした。

――自分の中での聴きどころは?

僕は自分の母音の音が好きなんです。「あーーー」ってロングトーンで突き抜けていくところ。「NEW WORLD」の発音もそうですね。楽曲的なところだと、聴いているだけではあまり違和感はないと思うんですけど、ロックとダンスミュージックが交互にくるので、意外と難しい楽曲なんです。そのつくりの複雑さも楽しんでいただきたいですね。

――2曲めは「BE MY BABY」。R&Bテイストがふんだんに盛り込まれたディスコミュージックになっています。

僕の踊りたいという気持ちから生まれた曲ですね。メロディラインやリズムの取り方が難しくて、ハードルの高い曲なんですけど、その分ハマッたところが気持ちいいんです。ファルセットと実声がミックスされていたり、切り替わったりがリズミカルにやってきて、聴き応えがあると思います。

――振り付けはもうある?

これからなんですよ。ダンスの先生に「ガッツリ踊りたいです!」と相談していて、どんな形になるのか、いまから楽しみです。振りの中でどう遊んでいけるかを考えています。「良いものが観れたな」って思ってもらえるものにしたいですね。

――3曲めは一転してさわやかな「ボクらのカタチ」。

「ボクらのカタチ」にあるのは「みんなで一緒に歌おうよ」という「WITHな気持ち」です。「ライブ会場でみんなと一緒に歌いたい」という気持ちを存分に込めてつくっていただきました。僕にとって音楽とは「誰かと共有する楽しさ」。なので、みんなと一緒に声を合わせて歌いたいんです。ライブではサビの"Let’s play the music!!"をみんなで歌いたいですね。

――内田さんは合唱もやっていましたよね。その経験からきているのかな。

それはありますね。コーラスも好きですし、一緒に歌っている人の声を聴いてセッションをするという形自体が好きなんです。

――内田さんは声優とアーティストふたつの顔を持っていますが、今後どういう活動をしていきたいと思っていますか?

お芝居も音楽も、娯楽でもあるし、芸術でもある。そして形は違えど人を感動させることのできる表現だと思います。どちらもできるようになったら、二倍楽しいぞ、という感覚ですね。声優はキャラクターがあって、ほかの役者さんと掛け合いをしていく、音楽も楽曲があって、作詞・作曲家さんがいて、バンドの人がいて……、どちらも人とセッションして作り上げていくものだと思います。なので、僕のなかでどちらも相乗効果で良くなっていったらいいなと思います。アーティストで得られた経験を声優に活かして、そして声優の経験をアーティストに活かしていく。そうやって返していけたらと思います。